ホーム / Lifestyle / 伝統 / もてなしの和菓子を守り抜く 京菓子司「末富」
もてなしの和菓子を守り抜く 京菓子司「末富」

日本伝統文化の継承

もてなしの和菓子を守り抜く 京菓子司「末富」

新たな和菓子の世界を拓く

 先々代、先代が築き上げてきた知識や技術、もてなしの心を正しく受け継ぐことは欠かせない。一方で、先へと飛躍しなければ次代に伝え続けることは難しい。「今はお茶を淹れることが少なくなり、急須さえ知らない若者もいます。お茶とともに、和菓子に親しむ人が減っている現状に危機感を強く持っています。こちらを向いてもらえるようにしないといけません」
 山口氏は、伝統を守りながらも新たな京菓子界を切り拓こうと、海外のブランドやレストランとのコラボレーションを積極的に進めている。そのきっかけはフレンチの巨匠、アラン・デュカス氏との出会いにある。アラン・デュカス氏が20年前に末富を訪れてから、山口氏は海外で京菓子を披露する機会を得るようになった。おそらく山口氏の菓子に対する実直な姿勢にフレンチの巨匠は感銘したのだろう。
「アラン・デュカス氏が手掛けるモナコのル・ルイ・キャーンズ アラン・デュカスや東京のベージュ・アラン・デュカスでコース料理のデザートを任されました。日本の懐石料理のデザートは、水菓子といわれるように、果物が好まれることもあり、他の料理に比べれば軽い扱いのように思います。対してフレンチは、菓子専門のパティシエが担うほどデザートの扱いを重んじています」
 パティシエからの刺激は多く、学ぶほどこれまでの概念がほどけていったという。「異文化を通して新たな気づきを得られ、視野が広まりました」
 2012年12月、京都ホテルオークラに赤・白・シャンパンなどのワインと共に和菓子を楽しむ店「一之舩入 あんカフェ ル・プティ・スエトミ」をオープンさせた。あんカフェの原点は、菓子を作りに行ったフランスで、仕事を終えたシェフたちが焼き菓子やチョコレートとワインを楽しんでいたことを知ったことにある。
 伝統は守るべきものだが、それだけでは古いだけの価値のないものとなり、時代に取り残され、老舗とはいえ看板を降ろさなければならなくなるだろう。
 山口氏は変えるべきでない伝統を守り抜くために新しいものを作り出している。老舗末富のさらなる飛躍が楽しみでならない。

一之舩入 あんカフェ ル・プティ・スエトミ

「一之舩入 あんカフェ ル・プティ・スエトミ」。史跡、一
之船入を臨む開放的な空間の中で、新たな末富の世界観を楽しめる 。生菓子はもちろんのこと、生麩の専門店麩嘉や日本茶の専門
店一保堂といった京都の老舗とのコラボレーションメニューなど、こちらでしか味わえない甘味も揃っている


京菓子司 末富
京都府京都市下京区松原通室町東入
TEL 075-351-0808
www.kyoto-suetomi.com

一之舩入 あんカフェ ル・プティ・スエトミ
京都府京都市中京区河原町通二条下る
一之船入町384 ヤサカ河原町ビル1F (京都ホテルオークラ北隣)
TEL 075-211-5110
okura.kyotohotel.co.jp/restaurant/suetomi

※本誌(no.66/2015年1月20日発刊号)におきまして、掲載内容に誤りがありまし
たので、お詫び並びに訂正をさせていただきます。関係 者各位並びに読者の皆
様に大変ご迷惑をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます。

【誤】ホテルオークラ北隣
【正】京都ホテルオークラ北隣

文|竹井雅美(編集部) 撮影|バンリ

Scroll To Top