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【ボルドーシャトー紀行】シャトー・オー・バイィ

【ボルドーシャトー紀行】シャトー・オー・バイィ

立ち居振る舞いも、話し方もエレガントなヴェロニク・サンデルス氏

 ボルドーの市街地から車でわずか30分弱。ペサック・レオニャンの小高い丘の上にシャトー・オー・バイィはある。第3紀地層の上に化石岩と砂利からなる土壌で、フランスでも素晴らしいテロワールとして認められている。30ヘクタールの畑には樹齢100年を超す古樹があり、その歴史の深さを感じさせる。非常に珍しいことらしいが、1つの畑に6種類もの品種が交じり合って栽培されている。
 シャトーが開いたのは17世紀前半。現在のシャトーは1872年に建設されている。20世紀初頭に幾度か危機を越え、1955年にダニエル・サンデルスがオーナーとなった。グラーブの格付けを受けたすぐ後のことだ。ダニエルとその息子ジャンが近代的な設備を投入し、新たな品質の基準を作り上げた。その後1988年にシャトーはアメリカの銀行家ロベール・G・ウィルメールに売却されたが、現在マネージメントを行っているのはサンデルス一族であるヴェロニク・サンデルスである。
 祖父・父の姿を見て育ったヴェロニクは、一旦は社会に出たものの、大学で醸造学を学び、シャトーへ戻ってきた。
 マネージャーの最も重要な役目は、ぶどう収穫時期の判断だという。「ワイン造りで一番重要なことは自然の声を聞くこと。最新機器を使うことも必要だけれど、自然はコントロールできないことを忘れてはいけません」

レストランも入るシャトー

 伝統と近代化をうまく組み合わせることが重要だと考えている。オー・バイィではいまだステンレスタンクではなくセメントタンクを使用しているのもその考え故だ。
 ここ数年、世界的に評価が挙がっているが、その品質は常に変わらないとヴェロニクは言う。「お客様が私たちを支持してくださるのは、持続性です。コンディションは毎年変わりますが、オー・バイィらしいエレガントさは変わりません。いつ手に入れても、いつ飲んでもお客様の期待を裏切らない。これが私たちのこだわりです」
 現に、稀に見る悪環境に見舞われた1991年、シャトーでワインが造られることはなかった。
 まだ知名度が高いとはいえないオー・バイィ、ヴェロニクは精力的に世界を駆け巡る。外見はオー・バイィのワインのようにエレガントな女性だが、その土壌のような強さを感じさせる。「今日は、今年のワインの初売りの日でね。さっきまで中国と電話をしていたの。時差があるから眠いわね(笑)」
 シャトーへ人々が足を運んでくれるようにと、テイスティングを常に受け入れたり、ショップを作ったりした。昨年にはシャトー内にレストランも開設し、料理とのマリアージュを提案している。
 ボルドー紀行、初回を飾るに相応しいシャトーだった。(本文中敬称略)

(左から)オー・バイィのファーストワイン「シャトー・オー・バイィ・グラン・クリュ・クラッセ/シェフのラビエール氏」/モダンに改装された貯蔵庫


文・写真:川口奈津子(編集部)

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