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檀れい「ふるあめりかに袖はぬらさじ」

檀れい「ふるあめりかに袖はぬらさじ」

焦らないように、冷静に

 有吉佐和子の傑作『ふるあめりかに袖はぬらさじ』で、檀は花魁の亀遊(きゆう)を演じる。坂東玉三郎演じるお園とともに、物語の根幹を成す重要な役どころだ。
「台本を初めて読んだ時は、どのページもセリフがぎっしり書かれていて、(共演者との)やりとりが大変だな、と思いました。
 また、読み進めていくとセリフや人の感情が複雑に入り組んだ場面もあり、すべて読み終えた時にはしっかりとした読み応えを感じることができました。『あぁ、なんて大きな作品なんだろう』と強く感じたのを覚えています」

 檀以外のほとんどの出演者は、5月3~6日まで愛知・御園座、12~27日まで京都・南座で同作品を演じており、檀は東京・赤坂ACTシアター公演(9月28日~)からの出演となる。檀自身も台本を読んだ上で、南座での公演を観劇した。
「台本を読んでいる時は、文字や言葉に追われてしまって見えないものがありますが、実際に舞台を観ると雰囲気や表現方法、演技の『間』などを感じることができて、観客としてすごく楽しめました。どんどん引き込まれてしまって、お芝居の時間があっという間に感じましたね」
 時間を忘れさせられるほどの舞台を目の当たりにした。しかし、その完成度の高さは檀にちょっとした戸惑いを与えた。すでに稽古を積み、約1カ月の公演を終えている中に飛び込むことに難しさを感じたという。
「皆さんはすでにお客さまの前で舞台に立たれているので、(作品の)形が出来上がっているんです。その中に一から加わることに難しさは感じますね。早く追いついて、いい形に仕上げなければという気持ちもありますし。ただ、焦らないようにしたいと思います。あまりバタバタして大事なものが見えなくなってしまっても困りますし。
 皆さんより遅れて入る分、冷静さを忘れずに、日々のお稽古、そして舞台の上でどんどん吸収して成長していけたらなと思っています」

大切なのは“いい緊張感”

 宝塚時代を含め、数々の作品に出演している檀は、仕事をする上で今も「緊張感」を大切にしているという。
「今作では板付き(幕が上がった時点で役者が舞台上にいること)で登場しますが、光のない舞台の上で、1人ポツリと緞帳が上がるのを待っている……初日から(演技が)落ち着くまでは緊張するだろうなと思います。ただ、緊張しすぎると“悪い緊張感”になってしまい、今までお稽古してきたことが全然うまくいかなかったり、ちょっとしたところで失敗してしまったり、それがまた次の失敗につながったりすることがあります。
 納得のいく良い表現をするためには、緊張感は必要だけれどもどこかで肩の力も抜けている状態。そんな“いい緊張感”をもって集中して舞台に立つのが一番大切だと思います」

「どんな亀遊になるか、私も楽しみ」

 物語の舞台は、江戸時代末期、開港間もない横浜の遊廓。外国人からの身請け話と、叶わぬ恋路への悲観に苛まれた亀遊は自ら死を選んでしまう。しかし、亀遊はひょんなことから一躍、“攘夷女郎”のヒロインに祭り上げられてしまう……時代に翻弄された花魁は、これまで波乃久里子、宮沢りえ、寺島しのぶといった数々の名優によって演じられてきた。作品の誕生から今年で40年、檀はどのような亀遊を見せてくれるのだろうか。
「実はまだ考えていません(編注:インタビューは稽古に入る前の5月に収録)。玉三郎さん自身が素晴らしい役者であると同時に、素晴らしい演出家ですから、今は役に対して真っ白なままお稽古に臨みたいと考えています。玉三郎さんが言ってくださる言葉や、玉三郎さんが演じるお園という役を全身で感じて受け止めて、それによって私が演じる『亀遊』という女性がどのようになっていくのか、私自身もすごく楽しみなんです。素直な気持ちでお芝居をしたいと思っています」


撮影:岡本隆史

『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
作:有吉佐和子 演出:齋藤雅文
出演:坂東玉三郎、檀れい、松田悟志、伊藤みどり、藤堂新二、団時朗ほか
公演期間:2012年9月28日(金)~10月21日(日)会場:赤坂ACTシアター
内容:横浜の遊廓「岩亀楼」で、若い遊女・亀遊が自ら命を絶ってしまう。そのうちに、亀遊が自害したのは外国人への身請けを拒んだことが原因だという瓦版がまかれ、亀遊は一躍、攘夷女郎のヒロインに祭り上げられる。一方、岩亀楼には攘夷女郎がいたと評判が立ち連日客が押し寄せる。亀遊の話を聞きたがる客にお園が話をするうちに、どんどん話が大きくなり、脚色されていってしまう……

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