ホーム / Intercity / / 官民連携による地域活性化プロジェクト 京都 岡崎
官民連携による地域活性化プロジェクト 京都 岡崎

官民連携による地域活性化プロジェクト 京都 岡崎

官民連携による地域活性化プロジェクト 京都 岡崎

東京遷都以降、衰退しかけた京都を活性化する契機となった第4回内国勧業博覧会。博覧会のメーン会場だった岡崎には琵琶湖疏水をはじめ、京都近代化をけん引する施設が多く造られた。その後も多くの文化・交流施設が建設され、国内でも類を見ない魅力を有している。博覧会から100年。次の100年を豊かなものにするために、岡崎のさらなる活性化が今始まる。

 千年の長きにわたり日本の中心であり続けた京都。明治維新後、東京遷都により人口が激減し、幕末動乱の疲弊と相まって、京都は都市としての輝きを失いかけた。しかし先人たちは琵琶湖疏水の開削、日本初の水力発電所など数々のイノベーションによって、みごと京都を復活させたのだ。平安遷都1100年にあたる明治28年(1895年)、第4回内国勧業博覧会が開催され、内外に京都の経済・文化の復興と再生を示した。東京で3回行われた後、大阪での開催に先立ち京都で行われたことは、当時の京都が活力を取り戻し、新首都からも一目置かれていた表れだろう。
 その博覧会のメーン会場となったのが岡崎だ。
 博覧会は、出展数16万9000点、4カ月の会期中の来場者数113万人と、大盛況だった。
 閉会後、会場跡に京都市動物園、京都市美術館、京都会館、国立近代美術館、京都府立図書館、京都市勧業館などさまざまな文化交流施設が建設された。岡崎のランドマーク平安神宮も遷都1100年記念事業として博覧会開催と同時に創建されたものだ。これらの施設は近代建築史においても貴重な建築物である。
 さらに野村美術館、細見美術館など民間の美術館や京都観世会館(能楽堂)、南禅寺、無鄰菴といった文化財も点在し、岡崎には年間500万人が訪れる。
 しかし、老朽化が進む各施設や文化遺産を将来に継承することと、機能強化・活用を図ることの両立が課題となっている。この他、単一施設への訪問が多くエリアとしての知名度が低いこと、施設間連携や情報発信の弱さ、夜間の寂しさなども指摘されている。同時に、これらの課題点を克服することで、さらに魅力的なエリアへと発展する可能性に期待をされている地域でもある。

京都岡崎魅力づくり推進協議会代表・京都市美術館館長
潮江宏三氏に聞く「100年後を見据えたこれからの10年」

潮江宏三氏

 輝かしい次の100年を迎えるため、官民一体のエリアマネジメント組織「京都岡崎魅力づくり推進協議会」が立ち上がった。次世代を見据えた魅力づくりに取り組み、京都のみならず、全国のまちづくりモデルとなろうと意気込む。“世界の人々が集いほんものに出会う「京都岡崎」”を見据えて、その実現に向け、向こう10年間で取り組む方策を打ち出した(図1)。
 今年7月、協議会の代表に就任した京都市美術館館長、潮江宏三氏に話を聞いた。
 岡崎に近い京都大学で学生時代を過ごし、以降京都で暮らす潮江氏にとって岡崎は“庭”。魅力も可能性も知り尽くしている。
「岡崎には、日本が新しい時代に入り、京都が蘇生していった痕跡が多くあります。水力発電所はいまだ現役ですし、琵琶湖からの水運の要だった疏水も飲料水に利用されています。単なる建造物ではなく、京都の産業を復興させようという京都人の息吹が、そこには感じられると思います」。
 南禅寺から、舟を運搬するための傾斜鉄道として使用されていたインクラインを登って蹴上発電所を通り、疏水の上を歩いてまた南禅寺まで戻るルートを辿ってみると、穏やかな自然の中にも、そこはかとなく湧き上がるパワーを感じる。
 京都市美術館をはじめとする文化・交流施設が、充実する岡崎は、京都の人々にとって文化・芸術を楽しむ場所という位置づけだ。しかし、「コンサートや美術展など1つのことを目的に岡崎を訪れる方が多いので、岡崎の魅力を十分満喫せずに帰られる方も多いんです」。この回遊性のなさが岡崎最大の課題だ。要因は各施設、団体の連携が十分発揮されていないことだった。
「地域の関係者も危機感を持っており、何とかしなければとの声が上がり、今回のプロジェクト発足につながりました。行政が旗を振るだけでは、真に地域の意向に沿った施策はできません。あくまでも地域の関係者が主役ですので、基本的には地域組織が取り組みを盛り上げていく形です」。
 例えば、方策5(図1)「新たな賑わいの創出」の取り組みとして、10月27日から4日間「岡崎・あかりとアートのプロムナード」が行われる。これまで観光シーズンであっても岡崎エリアの店は18時頃に閉店していた。しかし「夜の魅力創出」を掲げ、商店街やレストランはもとより、官民の文化・交流施設も夜間開館を行うなど、地域一体で盛り上げる。
「2~3年はトライ・アンド・チェックだと思っています。結果を検証しながら次に何をすべきかをみんなで考えていく。時間はかかるでしょうが、次の100年のためには不可欠なステップです。既存のものだけでなく、潜在的な魅力も掘り起こしていければと思います」。
 近代期、京都復興の象徴であった岡崎。いまいちど活性化し、全国のモデルとなり得るのか。挑戦は始まったばかりだ。
 ちなみに潮江氏の個人的お薦めスポットは「京都会館前の欅並木」だそうだ。


「岡崎・あかりとアートのプロムナード」
10月27日(木)~30日(日) 18~21時
文化・交流施設の一斉夜間開館を行い、京都市美術館の壁面を彩る「岡崎ときあかり」をはじめ、平安神宮、大鳥居や京都会館のライトアップなど、あかりで夜を演出する

京都岡崎のさまざまな取り組みはHPで
www.city.kyoto.jp/sogo/project/okazaki/

文:川口奈津子(編集部) 撮影:橋本雅嗣(雨音Graphics) モデル:千葉素子 きもの提供:白イ烏

Scroll To Top