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流れにまず乗ってみる~株式会社クリエイティブオフィスキュー代表取締役/プロデューサー 鈴井亜由美氏

流れにまず乗ってみる~株式会社クリエイティブオフィスキュー代表取締役/プロデューサー 鈴井亜由美氏

 地方局制作ながら全国的ヒットとなった『水曜どうでしょう』(HTB)。出演者の“ミスター”こと鈴井貴之、同じく出演者の大泉洋。また大泉が所属する演劇ユニット「TEAM NACS」。これらの俳優・タレントたちをマネジメントしているのが、クリエイティブオフィスキューだ。札幌の1DKの事務所から始め、2012年に設立20周年を迎えた。北海道の小さなプロダクションが全国区のタレントを輩出するまでは、どんな道のりだったのだろう。副社長(現:社長)として実質的にマネジメントを引っ張ってきた鈴井亜由美氏がそれを一冊の本にまとめた。具体的な出来事は著書に譲るとして、彼女の行動の根底にあるものは何なのかを聞いた。

サプライズを提供するのがエンターテインメント

『CUEのキセキ クリエイティブオフィスキューの20年』著者:クリエイティブオフィスキュー。メディアファクトリーから発売中

「アーティストやスタッフたちには『エンターテインメントはお客様あってのサービス業。自己満足ではなく客観視を大事にしましょう』といつも言います」。鈴井氏にとってエンターテインメントとはサービス業なのだ。事務所設立と同時に飲食店経営も始めた同氏は、飲食店社員にも、プロダクション社員にも、アーティストにも「サービス業」の意識を持って仕事に当たるようにと説く。
「“ハッピーにつながるサプライズを提供すること”が我々のベースとなる考えです。お客様のお金と時間を頂くわけですから、サプライズがないといけないと思っています」
 鈴井氏は子どものころから人の喜ぶ顔を見ることが大好きで、誕生日会やプレゼント選びなど「どうすれば相手が喜んでくれるか」をとことん考えていたという。
 現在は、舞台公演などで観客に必ずアンケートを取り、マネージャー・アーティスト共にすべてに目を通すようにしているという。観客はどんなことに喜びを感じているのか。意外な気づきも多い。
「普通のファン心理から考えると、好きなアーティストが近くにいると嬉しいと思うのですが、応援してくださる道外の方々の多くは、道内で活動している時の我々が好きなんだそうです。所属アーティストは北海道が大好きで、東京の番組出演時も北海道の魅力を言いたくて仕方ないようで(笑)。そんな彼らの姿を見て『自分の地元を見直してみました』と言ってくださる方々もいます」 
「北海道のエンターテインメントを職業として成り立つものにする」ことを目指し、東京に進出させたアーティストもいる。しかし彼らは東京で多忙を極めていても、道内でのレギュラー番組に出演し続けている。

助言は柔軟に受け入れる

鈴井亜由美(すずい・あゆみ)小樽市出身。女優として鈴井貴之主宰の劇団「OOPARTS」に参加。事務所設立後、副社長として事務所を運営。TEAM NACS全国公演をはじめ、数々の映画、演劇等をプロデュース。2012年8月代表取締役社長就任。(ヘア・メイク:江頭亮子)

 道外の人に気づかされることも多い。「住んでいるから当たり前すぎて気づいていない魅力もあります。道外の人は着眼点が違っていますし、彼らと一緒に北海道の魅力をもっと発掘していければと思いますね」
 柔軟に状況や助言を受け入れ、対応していく鈴井氏は「まずは流れに乗ってみます。乗りながら自分たちらしいものを拾い上げて、集めていけばいい」と考えている。
 プロデューサーとは「サプライズを生む仕掛けをつくるために人を誰か、何かとくっつける接着剤」と語る鈴井氏。いまだによくできた仕掛けを見かけると「悔しい」と感じるという。今後は他業界へ人脈を広げ、こだわりのモノづくりを行う人々と新たなサプライズを仕掛けていきたいとの熱い思いを持っている。
「北海道は宝の島です。特に食に関しては日本を代表する産地です。海鮮物など自然の恵みを受けたものはもちろんですが、チーズやワインといった加工品も注目を集めています。一流シェフが技術を携えて北海道に移住してきていることもその表れといえるでしょう。プロデューサーとして参加した映画『しあわせのパン』(2012年1月全国公開)は北海道産小麦の素晴らしさを伝えたくてできた作品です。今後は海外から人を受け入れることも含めて、我々メディア・行政・道民と一緒になって宝を発信していきたいですね」
 鈴井氏はこれからも北海道から“ハッピーにつながるサプライズ”を産出し続ける。


文:川口奈津子(編集部) 写真:編集部(鈴井氏)

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