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【プレパラート】 アベノミクス第二幕のスタート ~第一幕で生まれた都市・地方の格差

【プレパラート】 アベノミクス第二幕のスタート ~第一幕で生まれた都市・地方の格差

はじめに

 昨年末の衆院選は事前の予想通り、与党の圧勝で幕を閉じた。「アベノミクス解散」と銘打たれたこの選挙は、その名の通り、アベノミクス2年間の真価が問われ、経済政策が全面に出た戦いであった。与党は、雇用者100万人増や、22年ぶりに高水準となった有効求人倍率などを実績として掲げた。一方、野党は、増えた雇用者は労働環境の厳しい非正規雇用者であり、物価上昇は実質所得の減少を招き家計負担を増していること、アベノミクスの恩恵は都市部を中心とした大企業や正規雇用者などにとどまっており、現在の経済政策をさらに進めれば、地方部の中小零細企業や非正規雇用者などで生まれた格差を拡大しかねないことなどを指摘した。
 新年を向かえ、2015年の日本経済の行方をうらなうためにも、改めて、これまでの状況を振り返りたい。雇用形態を背景とする年齢による格差は前号で触れたため、今回は都市と地方の格差について注目する。

消費者全体の景況感の動き

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 まず、消費者全体の景況感の動きをさらっておきたい。
 二人以上世帯の「消費者態度指数」は、2012年12月の安倍政権発足と同時に上昇し、2013年の春から夏にかけては高水準で推移している(図1の全体)。背景には、金融政策による市場の活性化や企業業績の改善による収入増から、消費者の期待感が高まったことがある。しかし、2013年10月に、2014年4月からの消費増税が決定されたとたん、「消費者態度指数」は大きく低下している。増税後は、6~8月頃は一旦上昇したものの、9月以降は低下し、11月には増税時と同水準にまで落ち込んでいる。「消費者態度指数」は、政権発足前の2012年11月では40.1、2014年11月では37.4であるため、結局、現在は安倍政権発足前と同程度の低水準へと落ち込んでいる。
 ところで、「消費者態度指数」は、向こう半年間の「暮らし向き」や「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久財の買い時判断」、「資産価値の増え方」を尋ねて得た5つの「消費者意識指標」から算出される。
 これらの個別指標の動きを見ると、アベノミクスの2年間では「雇用環境」と「資産価値の増え方」が比較的高水準で推移している(図表略)。背景には、公共工事の増加などによる人手不足や、金融市場の動きは安定的ではないものの、依然として株高の恩恵を受けている層も多いことなどがあるだろう。しかし、足元はいずれも低下傾向にあり、2014年11月の「雇用環境」は安倍政権発足以来の最低水準にある。一方、「収入の増え方」や「暮らし向き」は低水準で推移している。これらは「消費者態度指数」と同様に、2014年11月には増税時と同水準にまで落ち込んでいる。


久我 尚子(くが・なおこ) 2001年、早稲田大学大学院終了後、株式会社NTTドコモ入社。2010年よりニッセイ基礎研究所。現在、生活研究部准主任研究員。専門は消費者行動、心理統計、マーケティング。内閣府統計委員会専門委員。著書に「若者は本当にお金がないのか?統計データが語る意外な真実」など

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