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【AS TIME GOES BY】企業の境界、個人の境界

【AS TIME GOES BY】企業の境界、個人の境界

 1990年代後半、「企業の境界」というセオリーが経済学で広まった。コアコンピテンスにつながる技術や組織を企業内部に取り込むのか、外部との取引により調達するのか、いわゆる“Make or Buy”のバランシングは時代や業種により、解は異なる。しかし、多くの業種においてソフトウェアの重要性が増すにつれ、この内外製の境界は曖昧になり、メビウスの輪のように境界を失いつつあるように思える。その典型がロボットソフトウェアの開発、活用だ。
 産業用、無人輸送機、介護支援、人工知能などロボット定義の範囲は広いが、人とのかかわりが密接なため、いつまでもその頭脳が外製のブラックボックスのままということにはならないだろう。ロボットの頭脳に自らの手でカイゼンを続けられる企業こそ、製造業であれ、サービス業であれ、トップランナーとなり得る。ソフトウェア開発はある程度、レバレッジが効くため、企業の器の大小は副次的である。
 4本目の矢を包んでいた風呂敷に書かれたキーワードを拾うと「地方」「中小企業」「少子高齢化」「ロボット(新産業)」あたりが見受けられる。キーワードを用いて官庁的に作文すると「人材・労働力不足の地方中小企業において、農業、製造業、サービス業などのあらゆる分野で自動化、ロボット化を支援することが、地方創生への近道」である。
 地方経済下では企業、個人のいずれも大都市圏と比べて成長への選択肢は限られる。企業と個人が、ワーク・ライフ・バランスの境界線引きで対峙することなく、同じ方向を向いて、それぞれの領域を果敢に広げ、共にチャレンジすることを望んだ姫路の中小企業(上部画像)は未来の中小のあるべき姿を投影しているのかもしれない。地方には底力がここかしこに潜在している証左でもある。


Photo:本業(金属加工)の境界を越えて、高精度屋内測位を利用したロボット用自律走行ソフトウェアを開発中の兵庫ベンダ工業株式会社(兵庫県姫路市)

文|本丸達也(発行人)

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