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【ある女性経営者のグローバル視点】古今東西お風呂事情

【ある女性経営者のグローバル視点】古今東西お風呂事情

ヨーロッパのお風呂事情

12160774_m ヨーロッパでは、カラカラ浴場跡や「bath」の語源である英国バースに残る遺跡など、日本でも漫画化されて有名になった「テルマエ」と呼ばれる公衆浴場が、少なくとも都市に一つは存在し、テルマエ最盛期の4世紀には全ヨーロッパで1000か所近い浴場があったと言われます。毎日数時間から丸一日過ごす人までいて、生活の大きな部分を占めていたようです。
キリスト教の影響が強くなると、男女混浴で、裸で入るという形態が性風俗の退廃の象徴であるとして大衆浴場が廃止されていき、中世にはお風呂に入る習慣がすっかり廃れたそうです。そして現在に至るまで西洋人はシャワー中心の生活になったとか。しかし、裸でお湯に浸かるのは本能的に気持ちが良いことだからなのか、大衆浴場は唯一裸で入ることが許された医療温泉施設として細々と生き残ったと言われます。そしてその入浴好きな人たちの思いが、ドイツのバーデン・バーデンなど、現在の温泉リゾートにつながっているとのことです。

最後に

キリスト教が普及してから廃止された庶民の入浴文化ですが、実はゆっくりお風呂に入らず短時間にシャワーで済ませることを間接的に推奨したことが、結果的に国民の生産性を上げることにつながったともいえるのかもしれません。その後プロテスタントが出てきても、シャワー文化は「プロテスタンティズムの精神」の禁欲主義の延長としてそのまま継承されたのでしょうか。日本のホワイトカラーの生産性が欧米に比べて低いのは、もしかすると長々と入浴していることにも関係があるのでしょうか……?それは考えすぎでしょうか。
私個人は、前述のようにお湯をシェアしながら団らんするこの文化を、ぜひ世界にも紹介したいと思うのですが、他方で、入浴という行為は水資源に恵まれた日本だからこそできる特典でもあることに気づかされました。毎日入る習慣がない国がほとんどで、そもそも物理的にも経済的にも不可能だという国も少なくない中、毎晩湯船に浸かれるのは、本当にとても贅沢なことなのでしょう。ガスや電気で毎日お湯を沸かしているわけで、間接的には地球温暖化にもつながるなどと言われてジャパンバッシングの火種になってもいけないですから、もう少し世界のお風呂事情を調べてみたいと思う一方で、あちこち聞きまわるのはこのくらいにしておこうかと思います。大事な入浴のリラックスタイムとお風呂上がりのビールの愉しみを奪われてはいけないですから……。


竹内 明日香(たけうち・あすか)
日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)にて国際営業や審査等に従事後、2007年に独立し、海外向けに日系企業の情報提供を開始。2009年にアルバ・パートナーズを設立し、国内企業の海外事業支援と情報発信支援(プレゼンサポート等)を提供。東京大学法学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員。

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