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【ある女性経営者のグローバル視点】プレゼンテーション(2)~『アナと雪の女王』は日本だけが「薄い」?!

ある女性経営者のグローバル視点

【ある女性経営者のグローバル視点】プレゼンテーション(2)~『アナと雪の女王』は日本だけが「薄い」?!

日本人の声帯は逆に武器にもなる?

ただ少し見方を変えると、この日本人の声帯は、逆手に取ったら大いに武器になるものかもしれません。冒頭では『Let It Go(25か国バージョン)』で、日本語が薄いと感じた旨を書きましたが、ネット上の世界中の人々の書き込みでは、Japaneseの声が「カワイイ」と絶賛されています。これはもしかしたら他にはない、日本語と日本人の声帯のなせる業かもしれません。そう言われてみれば、外国人女性で「歌唱力がある」「声が素敵」と思う人はいても、「この人、声がかわいい」と思ったことはないな、と。
きゃりーぱみゅぱみゅや初音ミクが海外でヒットしている背景も、この平たいサウンドに聞こえる日本人女性の声が、その自己主張しない純真なイメージに重なり外国人男性の心をくすぐるのかもしれません。日本が国家戦略として、アニメコンテンツの輸出を考える際には、映像だけでなく日本人女性の日本語という切り口もあり得るのでしょう。

2.プレゼン法考察

日本人は声帯からして違う、という話をすると、だから日本人は声が通らなくても仕方ないのだ、とか、だから日本人は語学が苦手で当然だという議論になってしまうかもしれませんが、それだと立場上とても困るので、もう少し声の世界を広げて考えてみたいと思います。

音楽以外の分野で「声」を駆使する人々

声が商売道具となるのは、何も音楽の世界だけではありません。大手予備校の人気講師やスポーツ教室で子供たちに人気のあるコーチなどの話し方には、ある共通項があると感じています。それは、滑舌が良く、腹式呼吸で声量もあり、明快な抑揚とリズム感のある話し方です。小学生の塾の人気講師に聞いたところ、その塾では多くの方が発声のトレーニングを受けておられるということでした。もちろん生徒を笑わすツボなども工夫された上でのことですが、発語の仕方も、生徒たちを惹きつける大事な要素の一つのようです。大学の教授陣も、学生が寝てばかりとぼやかれる前に、ご自身がボイストレーニングをされると授業の雰囲気も変わるのかもしれません。
声だけが勝負のコールセンターのオペレーターさんたちの実態を覗いたことがありますが、皆さん毎日業務時間の一定の時間を割いて早口言葉や発声のトレーニングをされていらっしゃいました。こちらも発語という要素でクレームの処理や、商品の販売量が左右されるという事実があり、とても真剣にされていらっしゃいました。

プレゼンのトレーニング考察法

プレゼンテーションの場面でも、もちろん中身の論理展開が一番の勝負ポイントなわけですが、声の出し方も重要な要素だといつも感じます。同じ話を聞くのでも上記のように楽しく時間が過ぎたり、眠くなったりというのは話し方によるところが大きいものと思われます。
滑舌を良くするために早口言葉を、大きな声を出すために複式呼吸で、というようなことは世のプレゼン本に良く書かれていますが、ここではさらに声楽の専門家に聞いた訓練法なども参考にしてみたいと思います。
日本語オペラや日本語ミュージカルなどでは、日本語が薄く浅い言語であるために普通の話し言葉のように歌ったり話したりでは、大ホールでは聞こえない。そのために歌詞が日本語でも敢えてローマ字を下に書いて、子音を意識し、また母音に力を込めて歌うそうです。例えば「す」という言葉はほとんど口を動かさずとも発音できますが、これを「s-u」と書いて、まず「s」の子音を意識し、「u」は大きく唇を前に出し、力を込めて発音する。そしてもちろん他の言語と同様に腹式呼吸で歌う。この結果、聴衆にも聞こえる声として届けることができる、と。もちろんビジネスの場でここまで大げさに話すことはないでしょうが、人前で話す際には、日本語のこの特質を知った上で意識して変えていくうちに、無意識でも発語や発声が変わってくると思います。よく通る声で話すことにより、自信を持って発言しているように聞こえるのが不思議です。

3.まとめ

以上は、日本語で人前で話すことを念頭においてお話ししましたが、このような方法で口の周りの筋肉や横隔膜が鍛えられることにより、外国語の発音にも好影響があるものと思われます。外国語のプレゼンについては、また号を改めてお話ししたいと思います。
人気講師が生徒たちを退屈させずに一年間授業を回すのも、オペレーターが電話でクレームを処理するのも、会議の場で良く通る声でプレゼンすることにより評価が上がるのも、その一つのカギは発声にあるとすると、馬鹿にできない話だと思います。日常生活においても、ハキハキと話す方が周囲に好印象を与えるのであるとすれば、発声、発語の方法を大事にするだけで職場や家庭の雰囲気も変わるかもしれません。
それにしても遠くにまで聞こえない言語とは……日本語はどこまでも神秘的な言葉なのですね。


竹内 明日香(たけうち・あすか)
日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)にて国際営業や審査等に従事後、2007年に独立し、海外向けに日系企業の情報提供を開始。2009年にアルバ・パートナーズを設立し、国内企業の海外事業支援と情報発信支援(プレゼンサポート等)を提供。東京大学法学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員

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