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シャープが開く新たな扉

新しい取り組みの成果は?

大阪イノベーションハブで開催されたCoCreation Jamの作業風景

大阪イノベーションハブで開催されたCoCreation Jamの作業風景

 今回はアイディア創出、技術開発の両側面からプロトタイピングに取り組んでいる。短期間の日程でアイディアを出し、ハードウェア・ソフトウェアを練り上げて試作品を作り上げる「アイディアソン、ハッカソン」である以上、試作したプロダクトとその効用を説明するプレゼンテーションの二つの成果物がイベントの成否を分ける。
「参加者はとてもモチベーションが高いですね。出来上がったプロト作品も大変クオリティーが高い。実質2日間で基本機能が組み上がっていました。我々のクラウド技術開発センターの所長が『見習わなあかんのちゃうか』と言っていたくらいです」(松原氏)
 シャープ社内にもインパクトがあったという。
「コンセプトや特徴を説明するプレゼンテーションの時間は3分くらいで短かいのですが、ユーザ目線で端的に表現されていました。技術者だけのチーム構成では『如何に自分たちが作り上げたプロダクトがすばらしいか』という想いをここまで伝えることはできないでしょう。社内に持ち帰ってプレゼンテーションの様子と試作品が動作するの映像を見てもらうと『2日間でこのレベルまで組み上がるのか』と皆、驚いていました。本イベントのチームはデザイナー、ハードウェアエンジニア、ソフトウェアエンジニア、ビジネスコンサルタントと多様なバックグラウンドから構成されています。そのチームがポジティブマインドでプロト開発を行うと短期間でも大きな成果が生まれることが印象的でした」(竹内氏)

「ツンデレ」は扉を開いた

 本イベントでは多くのアイディアが生まれた。その中からプロダクト試作まで行い、最終的にアワードを勝ち取ったのは「ツンデレロボ」と「集客くん」の2つ。特にコミュニケーションの表現方法をツンデレ型にカスタマイズしたツンデレロボはシャープ社内でも評判が良かったという。
「おかげさまで22個ものアイディアを提案いただきました。いずれも魅力的なものでしたので、いくつかの候補に絞り込むのに苦労しました。『ツンデレロボ』に関しては、本来ロボットというものは従順なものを想定しているのですが、それとは逆で、言うことを聞かず、こちらの期待と違う振る舞いをする姿に面白さを感じました。こちらの指示内容を理解した上で、わがままに振る舞われるのも一つのコミュニケーションですね。COCOROBOのツンデレ感を表現するために、声色やセリフを変え、目と頬をLEDで光らせ、尻尾を新たに取り付けるなど大いにカスタマイズしています。この短期間でコンセプトに基づきハードウェア、ソフトウェアを組み込んだプロトタイプが稼働していました」(竹内氏)
 外部の専門家とのオープンな取り組みはシャープの開発者を刺激したようだ。
「我々が考えていた、大きな方向性に沿うようなアイディアが幾つか提案されていました。商品やサービスはある程度マスボリュームを想定して企画しますので、ユーザ期待と齟齬がないか、この機会に再確認できました。一方で我々の考えていたものとは全く違う世界もありました。ツンデレロボがその最たる例で、シャープだけでは企画提案すら出ないようなアイディアです。カスタマイズを前提とした特定ターゲットへのリーチをどのように捉えるか、自社だけで完結しない仕組みも必要なのかもしれません。こういう取り組みへの参加は初めてでしたが、期待以上の成果が得られたと思います。家電が様々なネットワークにつながる世界というのは我々自身もアイディアを出し、技術開発を進めていますが、技術の進化やユーザニーズが変化するスピードは著しいです。我々だけで技術やサービス開発を進めてもユーザ期待にはなかなか追いつきません。周りの皆様の力をお借りて、技術やサービス開発を加速していく所存です」(松原氏)
 ときどき壁にぶつかったり、コードに絡まったり、COCOROBOが進む道は平坦ではない。そのたびに泣き言をつぶやくのであろう。
 この先、しっかり成長して孝行息子・娘に育つのか、社内外の多くの人々が期待を寄せている。


文|本丸達也(発行人)

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