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プレパラート オリンピックで結婚・出産は増える?~若年層の結婚観

プレパラート オリンピックで結婚・出産は増える?~若年層の結婚観

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背景① 若年層の経済環境の厳しさ

 まず、経済環境が厳しく、家庭を持ちたくても持てない若者が増えていることがあるだろう。
 若年層では1990年代後半から非正規雇用者が増加している。現在、雇用者のうち非正規雇用者が占める割合は、15~24歳では男性が43.9%、女性が50.6%、25~34歳では男性が15.3%、女性が40.9%である。この中で25~34歳の男性の割合は少ないが、それでも15年前の3倍に増加している。
 非正規雇用者は正規雇用者と比べて年収水準が低い。年齢とともにその差はひらき、男性の30歳代後半ともなると倍近くの差となる。
 また、正規雇用者であっても現在の若年層ではひと昔前ほど将来の収入増を望みにくい。最近は日本経済は回復基調にあるが、バブル崩壊後に長らく続く景気低迷に加え、高年齢層の雇用増などにより、賃金カーブは低下している。標準労働者の年収を10年前と比べると、最も年収の高い50代男性の年収は8割に減少している。
 また、20~30代男性の年収と既婚率は相関が高く、年収300万円未満では既婚率は1割に満たないが、年収300万円を超えると既婚率は一気に3倍程度に上昇する。なお、非正規雇用者の平均年収はいずれの年代でも300万円に満たない。
 さらに、結婚の前段階である恋愛の状況も、正規雇用者と非正規雇用者では大きく異なる。
 20~30代の男性で恋人がいない割合は、正規雇用者では45.3%だが、非正規雇用者では80.0%にのぼる。また、それぞれ約半数には交際経験がない。なお、女性も雇用形態による違いはあるが、男性ほどではない。

背景② 異性との交際の消極化

 経済問題とも関連するが、異性との交際の消極化もあげられる。
 現在、結婚の大半は恋愛結婚によるものだが、18~34歳の未婚男女で異性の交際相手を持たない割合は増加傾向にある。2010年では男性は6割、女性は5割にも達し、しかも、その半数は、そもそも異性との交際を望んでもいない。
 また、株式会社オーネットの調査によれば、25~34歳の独身男性のうち「草食系男子:恋愛にガツガツせず、心優しいが女性が苦手」は15.7%、「絶食系男子:恋愛に興味はなく女性無しで人生を楽しめる」は14.4%存在する。これらをあわせると約3割であり、先の、そもそも異性との交際を望んでもいない未婚男性の割合と一致する。
 若者たちは、なぜ恋愛をしないのだろうか。
 20~30代男女が恋人を欲しいと思わない理由は、男性では「自分の趣味に力を入れたい」(55.7%)と「恋愛が面倒」(55.3%)の二つが半数を超えて多く、そのほか「仕事や勉強に力をいれたい」「異性と交際するのがこわい」「異性に興味がない」などが上位にあがる。
 しかし、女性でも同様の理由が並ぶが、1位には「恋愛が面倒」(60.1%)があがり、選択割合が6割を超えることが特徴的だ。
 さらに、異性と交際する上での不安をみると、男女とも1位・2位には「異性に対して魅力がないのではないか」「異性との出会いの場所がわからない」が並ぶ。しかし、3位以降に違いがあり、男性では「どのように声をかけてよいかわからない」「どうしたら恋人になれるのかわからない」「恋愛交際の進め方がわからない」があがり、恋愛マニュアルがわからずに消極的な様子が窺える。
 一方、女性では3位に「自分が恋愛感情を抱けるか不安だ」があがる。女性では恋人を欲しいと思わない理由の1位が「恋愛が面倒」であり、そもそも恋愛から一歩引いており、恋愛への興味が薄れている様子が窺える。


kuga久我 尚子(くが・なおこ)
株式会社NTTドコモを経てニッセイ基礎研究所入社。生活研究部門研究員。専門は消費者行動、心理統計学、金融マーケティング。早稲田大学大学院(工学)・東京工業大学大学院(MOT:技術経営、学術)修士課程修了。東京工業大学大学院博士課程在籍(学術)。

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