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【イマドキ女子の恋するマーケティング論】Vol.4「ショールーミングを斬る」

【イマドキ女子の恋するマーケティング論】Vol.4「ショールーミングを斬る」

スマートカスタマーを捕まえろ

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 ある興味深い消費者意識調査を紹介しよう。大日本印刷発行の「メディアバリューレポートVol.51『家電製品の購入プロセス』」では、ネット通販の急拡大に直面する家電業界にスポットを当て、ネット・通販、店頭購入各層の商品に対する意識調査を実施。その結果、ネット・通販活用層は単に低価格で商品を購入するためにネットを利用しているだけでなく、製品への関心や支出意欲も高く、新商品情報にも敏感であることが明らかになった(図2)。
 これまで、値下げと店舗拡大バトルを繰り広げてきた家電量販店だが、近年では店頭(オフライン)とネット(オンライン)を融合させたO2Oサービスを展開するチェーンも増えるなど、販売戦略にも違いが現れ始めている。中でも、リテールの天敵ともいえるショールーミングを味方に取り込んだヨドバシカメラのサービスはユニークだ。ショールーミング目的で来店し、店頭商品を無断でカメラに収めて帰るご法度客が相次いだことを背景に、「どうぞ撮影してください」と言わんばかりに、商品にバーコード(「EANコード」、日本規格は「JANコード」のバーコード規格)を設置。これをヨドバシショッピングアプリで読み取れば、商品情報、レビュー、リアルタイムの店舗在庫状況ほかオンライン注文まで、充実のサービスを簡単スピーディに利用できる(図3)。
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 この「商品バーコード」サービスをはじめ、O2O領域に特化したウェブサービスを展開するのがモノプレーン社だ。同社サービス「Passta(パスタ)」は、iOS6を搭載したiPhoneの新機能「Passbook(パスブック)の対応コンテンツをわずか3ステップで作成することができる優れもの。これを利用すれば、お店のクーポンやポイントカード等をまとめて管理し、最適のタイミングで活用することができる。消費者のショッピングライフをより楽しく、有意義なものへと進化させると注目を集めるサービスだ。
 つまりは、ショールーマーのような賢い消費者の性質を密に捉え、そこに対し有効なターゲティングとサービスを打つことができれば、悩めるリテール業界が再起動を図るきっかけになり得るのではないだろうか。それでは、カスタマーマインドをくすぐる次世代サービスとはどういったものだろう。

時代は「O2O総合エンターテイメント」サービスへ

 まず、オンラインサービス利用者の増加に合わせ、ECサービスのようなオンラインフィールドの整備と拡充を進める必要があることは言うまでもない。しかし逆に、オフラインのリアル店舗に自ずと客足を向かせるようなサービス、店舗作りに力を入れ、カスタマーマインドに迫るという手もある。
 例えば、レンタルビデオショップチェーン TSUTAYA(ツタヤ)の「代官山 T-SITE」(東京代官山)は、レンタルショップの枠を越え、文化やセンスといった個人の感性に触れる空間作りから高い人気を集める。中には、各種レンタルサービスのほか、CD/DVDや書籍の販売、カフェ&バー、トラベルカウンター、クリニック&エステなど、カスタマーライフに添ったサービス施設が多く置かれ、さながら小さなショッピングモールと化す。これは専業ラインに留まらず、そこから顧客目線で視野を広げたサービスラインアップを揃え、顧客の取り込みに成功しているケースと言えよう。
 それとともに、同社ではウェブコンテンツも充実させ、HP上には店頭で行われるイベントなどの告知や、取り扱い商品の関連情報、書店員改め“コンシェルジュ”が選ぶおすすめ本の紹介など、リアルタイム情報が次々にアップされる。
 同社のオン・オフの双方向性をうまく活かした複合的サービスは、まさに「O2O総合エンターテインメント」。次世代サービスのあり方を示すひとつのモデルと言えるだろう。
 
 オンとオフ、二極化する消費者各層への対処法をいかにうまく使い分けることができるかという器用さも、今後のリテール業界には求められそうだ。しかしいずれのサービスも柱となるのは顧客の“ホシイキモチ”。これをいかに長く、太く掴み続けることができるのか――。次世代サービスの構築を考えるにあたり、まずは商人自身も顧客心を捉えるショールーミングへ出かける必要があるのかもしれない。


文|松永理佐

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