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空に太陽がある限り 太陽電池が実現するサステナブルな電気社会

中部国際空港 セントレア旅客ターミナルビル屋上に設置された1440枚(計2000㎡、総出力240kW)の太陽電池

やっぱりスゴイ、太陽の力

「約42兆キロカロリー(※2)」これは1秒間に地球に降り注ぐ太陽エネルギーの量だ。わずか1時間で地球で消費されている電力をまかなえるほどの圧倒的なエネルギー量である。このエネルギーを私たちが使用できる電気に換えるのが、言わずと知れた太陽電池。資源の豊富さなど、地球環境にやさしいたくさんの利点を持つこの太陽電池の導入が、現在、急速に広がっている。
(※1) 2007年 世界の太陽電池生産シェア 1位:Q-Cells(独、38.9万kW)、2位:シャープ(日、36.3万kW)、3位:Suntech(中、32.7万 kW)、4位:京セラ(日、20.7万kW)、First Solar(米・独、20.7万kW) /出典:PV News.2008.3をもとに経済産業省が作成
(※2)出典:太陽光発電協会(JPEA)ホームページ

一口に太陽電池といっても、半導体の原料や構造により種類は様々。特性も異なる

太陽電池の利点

  • 発電時にCO2などの温室効果ガスや大気汚染物質を発生させない
  • 他の発電方法と比較して、冷却水・廃棄物などの環境負荷が少ない
  • 駆動部分がないのでメンテナンスが容易で長寿命
  • 需要地の側に設置ができるため、送電時のロスを低減できる
  • 騒音や振動がなく小規模での設置ができるため、土地の制約が少ない
  • 昼間が出力ピークとなるため、一般電力需要ピークの緩和効果がある

住宅用太陽光発電システムの設置の平均費用は工事費込みで1kWあたり69.6万円。自宅の屋根に取り付ける際の平均的な費用は約250万円(※3)と 安くはない。そこで経済産業省は94年から05年度にかけて補助金の交付を実施した。09年に同省は新たなスキームで補助金制度を開始。05年度の約9倍の238億円を予算としている。これにより1kWあたり7万円の補助が出る、その上、地方自治体からも1kWあたり1万~10万円程度(※4)の補助金が支給され住宅用太陽光システムの導入を手厚く支援する。さらに経済産業省は固定価格買取制度導入の検討を本格化。システム導入後の優遇制度も整いつつあり、さらなる国内住宅用システムの需要増が見込まれる。
(※3)平均設置容量3.59kWとして計算/出典:2007年度 新エネルギー財団調べ
(※4)補助金の額と算出方法は自治体によって異なる

京セラ株式会社 広報室 東京広報課副責任者 今増昌一さん

日本メーカーの弱みと強み

一方、天候に左右され電力の安定供給が難しいことや、他の発電方法の2~3倍と言われる価格などは依然として太陽電池の課題である。中国の新興太陽電池メーカーの2007年生産量シェアは22.0%まで拡大しており、シェア24.6%で生産量第1位を守る日本メー カーたちは、価格面で今後さらなる苦戦を強いられそうだ。また、早くからフィードインタリフ制度(※5)を実施し太陽光発電システムの導入と需要拡大を推 し進めてきた欧州では、昨年の世界的金融危機の影響を受け発電事業者への投資が縮小。特にスペインでは、急速に進んだ太陽電池の導入量に上限を設けられたため需要が落ち込むなど、市場が揺らいでいる。

このような状況と今後の太陽電池市場について、国内メーカーはどのように考えているのだろう。京セラ株式会社の今増氏にお話を聞いた。
「欧州市場は緩やかな回復傾向にはありますが、まだ厳しい状況で、昨年に比べると市場は一旦シュリンクするでしょう。しかし反対に補助金制度などの後押し を受けて国内需要が拡大していくだろうと考えています。当社の強みは原料調達から太陽電池モジュールまでの一貫生産体制を自社内で構築しているため、あらゆる工程で工夫が施せ、高品質と長期信頼性を実現している点にあります。海外メーカーの低価格商品なども発売され始めていますが、私たちは施工、営業、アフターフォローに注力しており、トータルサービスにおいて十分競争力があると考えています」。

電力の自給自足も

同社は5月にイオンと業務提携し、全国のイオンのショッピングセンターでの顧客との接点創出など、国内の拡販戦略を進めている。
京セラは75年に太陽電池開発を開始。多くの企業が採算性の難しさから撤退していくなか、同社は将来を見据えて事業を継続してきた。事業が軌道に乗ったのはこの数年のこと。長年かけてじっくりと育て上げた事業は大きく実を結び、同社の昨年度太陽電池セルおよびモジュールの生産量は前年度比約40%もの増加となった。事業計画においても「グループを挙げて環境・エネルギー市場での事業拡大を図る」としており、環境技術を中核事業とするべく積極的な開発と品質 向上を進めている。
1秒間に地球に降り注ぐ約42兆キロカロリーの太陽エネルギー。ビルや家庭での太陽光利用が一般的になり、変換効率のさらなる向上が進めば、ビルや家庭で発電した電力による、自給自足の生活も夢ではない。サステナブルな電力社会をつくるこれからの技術に期待したい。
(※5)今月のエコトバ参照

固定価格買取制度が始まれば、自宅で発電した電力の買い取りがさらにおトクに!

今月のエコトバ:フィードインタリフ制度(FIT制度、固定価格買取制度)

再生可能エネルギーの価格(タリフ)を法律で割高に定めて買い取ることで、再生可能エネルギーの普及と技術開発を促進する助成政策。この価格は設置時期が後になるほど助成額が減額され、早く設置するほど得になるよう設定されている。
ドイツやスペインでの導入の結果、風力・太陽光発電が爆発的に増加。地域経済への波及効果、関連雇用、温暖化ガスの排出量削減などで目覚ましい実績を挙げた。07年時点で世界の46の国や地域が導入している。
日本では家庭の太陽光発電の余剰電力を高額で買い取る固定価格買取制度が、環境政策「日本版グリーン・ニューディール」に急きょ盛り込まれ、現在検討が進められている。


文:永野 幸(アクビ・インタラクティブ)

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