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神戸市がスタートアップ支援に帆を揚げる

神戸グローバルスタートアップゲートウェイ(KGSG)開催

神戸市がスタートアップ支援に帆を揚げる

神戸市産業振興局経済部担当課長・多名部重則氏

神戸市産業振興局経済部担当課長・多名部重則氏

神戸市がスタートアップ企業支援に本気で取り組みを始めた。
154万人の市民を抱える政令指定都市がなぜ動き出すのか。
自治体としては異例のプログラムである
神戸グローバルスタートアップゲートウェイを仕掛けた
神戸市産業振興局経済部担当課長、多名部重則氏にその狙いを聞いた。

なぜ神戸市がITスタートアップ支援に動くのか?

 企業が成長していく過程が従来から大きく変わり始めています。通信技術の飛躍的な発展やデバイス機器の高性能化、小型化、価格の低廉化が契機となり、ソフトウェア・ハードウェアをアイディアとつなぎ合わせることで生活を一変させるサービスが生まれています。その多くは米国シリコンバレーからです。対して日本のITスタートアップ企業で世界を舞台に飛躍するものはなかなか現れません。日本の相対的経済地位が以前より下がっているのも理由の一つでしょうし、若い企業が成長し、新陳代謝を繰り返すアメリカに比べて、日本における時価総額トップ30の顔ぶれが何年たっても変わらず、世代交代が進んでいないことも日本のビジネス環境の弱みであると考えています。
 従前の産業施策の延長であれば、日本においても神戸においても大きな変化は起きないでしょう。自治体だけで実現できることも限りがあります。そこで神戸市(役所)と外の境界をなくし、オープンをキーワードにあらゆるものを巻き込み、あらたな潮流を生み出すことにしました。
 例えば、技術開発は研究室の閉じた環境で行われていましたが、消費者志向のサービスであれば、オープンな環境で技術とビジネスモデルを磨いたほうが、結果として機能や品質の向上につながります。神戸には鉄鋼業や造船業などの重厚長大の産業をはじめ、医療関連、ファッション・製靴関連業、観光業、農業と産業ポートフォリオは比較的整っているのですが、スタートアップ企業が続々と生まれてくる状況にはありません。
 スタートアップ企業が萌芽するには、エコシステムの土壌が不可欠です。神戸市のスタートアップ支援施策は好循環を引き起こす呼び水になることが狙いです。

アクセラレーションプログラムに進むプログラム5社には多彩な顔ぶれが選ばれた。その内の1社「GOFITURE」は、外国人向け人間ドックなどの検診マッチングのためのウェブプラットフォームの提供を目指している。

アクセラレーションプログラムに進むプログラム5社には多彩な顔ぶれが選ばれた。その内の1社「GOFITURE」は、外国人向け人間ドックなどの検診マッチングのためのウェブプラットフォームの提供を目指している。

神戸市が目指すエコシステムとは?

 エコシステムを育むにはいくつかの要素が必要です。大企業、大学、イベント、それを支える市民、ベンチャーキャピタルのような資金支援者、アクセラレーター的な支援者などです。これらが適切に投入されると、スタートアップ企業はバクテリアのように急激に繁殖し始めます。シリコンバレーから始まり、シンガポール、パリ、ロンドン、ストックホルムとグローバルに広がるスタートアップ・エコシステムは神戸市の都市規模レベルであれば実現できると考えました。
 これからの社会は、ITと自治体から提供されるオープンデータを活用して市民・企業が行政に直接参加、共生していくオープンガバナンスにシフトしていくと思われます。行政主導で決定、実行、評価するのではなく、市民やスタートアップ企業の力を借りるケースが増えていくはずです。スタートアップ企業が伸長する契機を神戸市が提供し、彼らが小さな成功を一度つかめば、民間の資金や支援を得られやすくなります。成功したスタートアップ企業家は次の世代に資金面などで支援していくというグッド・サイクルがこの神戸の街で生まれることを願っています。


KOBE Global Startup Gateway

神戸経済の持続的成長を目指し、社会にイノベーションを起こすスタートアップの集積・成長を支援するプログラムの一環で、アクセラレーションプログラムに参加する5チームの起業家を選出するスタートアップコンテストを実施。コンテストにより選ばれた5チームの起業家は、KOBE STARTUP OFFICEを拠点としたサポートを受けることができる。

文|江崎充哉(編集部)

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