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世界に誇るジャパニーズウイスキーの実力

Whiskey Culture of Japan

世界に誇るジャパニーズウイスキーの実力

銀座「ダルトン」ウイスキーの嗜みを訊く

―半世紀続くBarを訪ねて―

今から半世紀前、国産ウイスキーがまだ特級、一級、二級に分類されていた頃。
スコットランドのセントアンドリュースで、スペイサイド地方の一番小さな蒸留所が造った
一杯のシングルモルトを、一人の男が口にした。
「これは必ず日本人の味覚に合うはずだ」。そう確信した男は、その酒を日本に持ち帰り、
オープンしたばかりの自分の店で客に振る舞った。
スコッチの銘酒「マッカラン」が、日本に初めて持ち込まれたときの逸話である。
男の名は石澤實(こくざわ みのる)。店の名はダルトン。
彼がいなければ、日本のウイスキー事情は、少し違う形になっていたかもしれない。

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時を超えて愛される大人たちの憩いの場

 多くのウイスキー愛好家に愛されるモルトBar「ダルトン」。銀座のビルの一角にある、英国調にしつらえられた僅か12席の小さな酒場で、どれほどの大人たちがグラスを傾けたであろうか。樽詰めされたウイスキーが、齢を重ねるほど深い琥珀色と馥郁たる香りを帯びてゆくように、店内には長い歳月の上にしか生まれない独特の雰囲気が漂っている。例えるなら、さしずめ48年熟成のシングルモルトといったところか。
 現在の販売元にマッカランの輸入を促すなど、数々の逸話を持つ創業者、「Mr.ダルトン」こと石澤實のもと、この店で修業したバーテンダーは90人に上るという。有名なBarの経営者になっている者も、少なくない。出迎えてくれたのは、二代目オーナーの石澤力也と二人で店の伝統を護る、Mr.ダルトン最後の弟子、三浦佑太。
「ダルトンのレシピは酒本来の味を愉しんでいただくために、通常よりも少し濃い目に入れてあります。水割りやソーダ割は、敢えてステアしません。比重が違うので、ゆっくりと混ざり合っていく味わいの変化を感じていただきたいからです」
 先代から受け継がれるもてなしへのこだわりは、店内の至る所からも感じられる。BGMは、会話と酒が進みそうな、心地よいモダンジャズ。カウンターに置かれた、創業時から使われているバカラの灰皿。どんな客の好みにも応えられるよう、棚に並ぶ数百本のウイスキー。そのほとんどがシングルモルトだ。ジャパニーズウイスキーも、もちろんある。Barでのウイスキーの愉しみ方を尋ねてみた。
「Barというのは、少しだけ日常から遠ざかったひとときを過ごせる場所。人それぞれの楽しみ方があっていいと思います。ウイスキーも一本一本に歴史があって、味も違えば香りも違います。人それぞれ好みが違うので、何万種類もある中から、自分に合うウイスキー、究極の一本を探すお手伝いができれば、何よりもうれしいですね」
 受け答え一つにも、客に愉しんでもらおうという姿勢を崩さない。三浦は微笑みながら、ダルトン100周年のカウンターに立っていたいと、夢を語った。

Whiskey_402ダルトン
東京都中央区銀座6-6-9 ソワレ・ド銀座ビル4F
TEL 03-3571-4332
営業時間 17:00~翌1:00(土~23:00)
定休日 日祝
ginza-bar-doulton.com


※文中敬称略

文|志馬唯 写真|福永晋吾、花村謙太朗

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