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創業から変わらぬこだわり京の名水でつくる京生麩

麩嘉

創業から変わらぬこだわり京の名水でつくる京生麩

麩嘉は創業から200年以上続く生麩の店。
老舗の看板を背負う当代小堀氏は、「生麩は脇役。前に出すぎてはいけません」と、
謙虚でありながら、決してブレない強い信念をもつ。
小堀氏は時代のニーズに合わせて変化してまで店を残そうとは思っていない。

手づくりを貫く

麩饅頭を仕込む当代小堀氏。生麩づくりの朝は早い。小堀氏も、他の職人と同じように早朝4:00には作業場に入る。麩嘉の生麩は、瓢亭、柿傳、辻留、京都の名だたる料亭や茶の湯三千家に出入りする料理屋で使われている

麩饅頭を仕込む当代小堀氏。生麩づくりの朝は早い。小堀氏も、他の職人と同じように早朝4:00には作業場に入る。麩嘉の生麩は、瓢亭、柿傳、辻留、京都の名だたる料亭や茶の湯三千家に出入りする料理屋で使われている

 侘び寂びを重んじる京都に育まれてきた日本食文化のひとつ「生麩」。そのまま刺身として、煮物や蒸し物として、仕立て方によって幾通りにも味わいが深まり、京料理において欠かすことのできない名脇役である。食すれば、もっちりとした歯ごたえと滑らかな口当たりに情緒を感じ、日本人としての心が静かに揺さぶられる。
 麩嘉は江戸時代から続く生麩の専門店であり、品物を京都御所に納めていた由緒ある老舗として知られている。
 当代小堀氏は「7代目ぐらい」。幕末の動乱や大火に巻き込まれ多くの文献を焼失していることから、創業年など定かではないからだ。
 麩嘉の仕込みは、深夜1時ごろから始まる。まだ夜が明けきらない早朝4時には小堀氏をはじめとするすべての職人たちが揃い作業はさらに進む。手際がよい。体が覚え込んだ動きに一切の無駄はない。
粟や蓬、胡麻を練り込んだものや、色づけして花を手毬をかたどったものなどもある。餡を包み込んだ生麩の生地に、川海苔を混ぜた麩饅頭から、瑞々しい笹の葉の香りが漂う

粟や蓬、胡麻を練り込んだものや、色づけして花を手毬をかたどったものなどもある。餡を包み込んだ生麩の生地に、川海苔を混ぜた麩饅頭から、瑞々しい笹の葉の香りが漂う

 その日に売るものはその日のうちにつくり、手作業が基本。だがしかし、食の安全に対する関心が高まるにつれ、衛生面などの管理基準が厳しいものとなり、昔ながらの製法を守り続けることは難しくなっている。
「もちろん、安全への配慮を欠いてはなりませんが、過剰すぎてもよいものが出来るとは思えません。海外の話ですが、寿司を握る時に手袋が必要だというのです。職人が素手で握るからこそ、絶妙なシャリの加減が出せる。生麩作りも同じ材料を同じ作業でつくっても、日によって仕上がりは違います。手に触れる生地の感覚を読みながら、配合を変えたり、材料を見直したり、具合を整えます」
 一人前と言われるまでに10年以上を要する厳しい世界に身を置く職人の感覚が、質の高い生麩をつくり出している。


麩嘉

京都府京都市上京区西洞院椹木町上ル
TEL 075-231-1584
www.fuka-kyoto.com / 錦店 店頭販売)

文|竹井雅美(編集部) 写真|バンリ

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