ホーム / Lifestyle / 伝統 / もてなしの和菓子を守り抜く 京菓子司「末富」
もてなしの和菓子を守り抜く 京菓子司「末富」

日本伝統文化の継承

もてなしの和菓子を守り抜く 京菓子司「末富」

上菓子屋と呼ばれる、寺院や茶家などに納める和菓子を誂える京都の老舗。
実直に伝統を守り続けるその姿勢にひいき客が多く、
京菓子界では重鎮的な存在となっている。
その4代目主人となる山口祥二氏は、変わりゆく時代を捉え、
伝統の上に新しい世界を切り拓き始めた。

もてなしの心を守り抜く

 明治26年創業の末富は、茶道各家元と付き合いが深く、茶の湯の菓子を作る店として知られている。東本願寺の御用菓子をはじめ、妙心寺、知恩院などの寺院とのつながりも深いことから京菓子界の重鎮として一目置かれる存在でもある。
 その4代目主人の山口氏は、京菓子とは「もてなし」であると言う。
 茶の湯の菓子はオーダーに合わせたその時々の菓子を手掛けることが多い。「お客様の意図やお好み、お茶会の趣旨などから望まれていることを汲み取りまして形にいたします。お客様はお茶会のご亭主(茶会に客を招くホスト役)様。お招きするお客様のために趣向を凝らされ、おいしい一服を差し上げるためにさまざまな心配りをされるのです。お菓子もそのひとつ。ご亭主が納得のいくものを作り、その意匠で招待客に感動をもたらすことができれば菓子屋冥利に尽きます」
 菓子はすべての工程を店で行い、ほぼ手作業によって作られている。その中で最もこだわるのは餡作り。まずは素材である小豆を妥協なく吟味する。「ふっくらと粒の大きさが揃い、2段3段と積み上げることができるような、少し楕円形のものが良い小豆です」
 餡作りは全行程を終えるまでにおよそ6時間かかる。その作業量の多さと体力が必要になることから、最近では餡作りを専門業者に外注する菓子屋が増えているというが、末富は自家製を貫く。その手間を惜しまない姿勢こそが客を惹きつけているのだろう。
 心を込めた菓子作りだけでなく、変わらぬ味を守り続けることも「もてなし」と言えるのかもしれない。

京菓子司 末富

4代目主人の山口祥二氏。菓子は受け継がれてきた伝統的技法を用い、一つひとつ手作業で作り上げる

京菓子 末富

干支の打物作り。木型に米を原料とした微塵粉(みじんこ)を入れて打ち出す干菓子を、打物(うちもの)という


京菓子司 末富
京都府京都市下京区松原通室町東入
TEL 075-351-0808
www.kyoto-suetomi.com

一之舩入 あんカフェ ル・プティ・スエトミ
京都府京都市中京区河原町通二条下る
一之船入町384 ヤサカ河原町ビル1F (京都ホテルオークラ北隣)
TEL 075-211-5110
okura.kyotohotel.co.jp/restaurant/suetomi

※本誌(no.66/2015年1月20日発刊号)におきまして、掲載内容に誤りがありまし
たので、お詫び並びに訂正をさせていただきます。関係 者各位並びに読者の皆
様に大変ご迷惑をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます。

【誤】ホテルオークラ北隣
【正】京都ホテルオークラ北隣

文|竹井雅美(編集部) 撮影|バンリ

Scroll To Top