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【世界の名手たちが発見した定石】定石7

書籍「ゴルフ金言集」より

【世界の名手たちが発見した定石】定石7

きょうのあたりは、あすは消えて、だれもが、これをとらえておくことはできない。

――ボビー・ジョーンズ

25483535_ml あなたは「もう俺はゴルフのいっさいがっさいを経験した。思うように自由自在に打てるぞ!」という実に幸福な感じを抱いた日が幾度かあったことであろう。これが、試合で思いがけない好スコアを出すことになる。
 事実、アメリカのように強豪ひしめきあう大試合では、こうした「わが生涯最良の日」を試合中に出現させるプレイヤーがひとりふたり出てくる。いわゆる「ばかづき」である。ところが、この人たちが次の試合では全く前のプレーとは似ても似つかぬプレーをしているのをたびたび見受ける。
 この「わが生涯最良の日」を長く続かせる方法はさしあたってないが、この夢をもう一度見ることは決して不可能ではないのである。(以上原文より抜粋)

現代解説とこぼれ話

 ゴルフをはじめて数年以上のキャリアがある人なら、ほとんどの人が「わが生涯最良の日」を経験したでしょう。世界的名手のボビー・ジョーンズですらこのように思うのであるから、今日の絶好調のゴルフを明日以降ずっと持続することは何人であろうとも不可能と私の経験上考えます。
 たとえばプロのトーナメントであっても前回の試合で優勝した選手が次週の試合では予選落ちすることも、その逆に前回予選落ちし、次週では優勝ということも珍しいことではないのです。
 ではなぜ、絶好調を持続できないのでしょう。
 ゴルフにおいて「わが生涯最良の日」を持続するにはあまりにも多くの条件が必要となります。前日と同じコースであっても、プレイヤーの体調、その日の天候、コースコンディション、スタートの時間、同伴者の関係……などなど全く同じな日というものがないからなのです。
 また、私の60余年の経験から持続不可能になる持論をひとつ述べましょう。それは結論から言うと「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」という格言そのものです。
 ある人にアドバイスを求められてスイングチェックをしたら、球の位置をボール1個分左に置き過ぎていました。そして、「ボール1個分だけ右に置いてごらん」と指摘したらみるみるうちにショットが安定し、本来のその人の打球が復活したのです。また、しばらくたってその人が不調を訴えた際、そのスイングは球の位置が右にボール2個分も寄せられていたのです。
 球の位置、アドレスの仕方、構え、グリップ、テイクバック、腰・肩のまわし方など、悪いところを直して絶好調になったとしても、やり過ぎでは何もならない。これぞ「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」なのです。


解説 : 広瀬義晋(ひろせ よしくに)

関西学院大学卒。著者の三男。同級生である中部銀次郎とともにジュニアよりゴルフ界で活躍し1966年には世界アマチュア選手権メキシコ大会の代表選手として参戦。1964年関東アマチュア選手権者。

ゴルフ金言集『ゴルフ金言集』とは、

光文社カッパ・ブックス昭和40年初版発行の当時ではまだ珍しいゴルフ指南書。著者が交流を深めていたサム・スニードなど国内外の名手とのこぼれ話や世界のトッププレーヤーたちが残したゴルフの金言名句を日本語訳し解説。当時のベストセラーとなる。

広瀬義忠著者 : 広瀬義忠(ひろせ よしただ)

明治30年大阪生まれ。慶應大学経済学部卒。商社マンとして世界を回っているときに、英国でゴルフと出会いゴルフの魅力にとりつかれる。ついには商社を辞めて富士のすそ野に自ら設計したゴルフ場を造る。晩年はゴルフ評論家、著述家として「アサヒゴルフ」「ゴルフジャパン」などに執筆。昭和33年度関西シニア選手権者、富士平原ゴルフクラブ理事長などゴルフ漬けのまま生涯を終える。

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