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【世界の名手たちが発見した定石】定石5

書籍「ゴルフ金言集」より

【世界の名手たちが発見した定石】定石5

自信があふれる自己流は、確信なき正統派に勝る。

――アーノルド・パーマー

41746602_ml アメリカの有名な歌手、ビング・クロスビーと、喜劇役者のボブ・ホープは、ともに親しい友であり、ともに大のゴルフ狂である。腕はともにシングルハンディの下のほうの7、8クラスである。(中略)ビング・クロスビーは、人に教えを受けず、独自のスイングで押しとおすのに反し、ボブ・ホープは機会あるごとにベン・ホーガン、サム・スニード、ゲーリー・プレーヤーなどにレッスンを請うて、技術の上達には、このうえなく熱心である。この両人が、つねに勝負をしている。どちらに勝ち星が多いか。
 あなたの予想に反して、自己流のクロスビーがつねに勝ち越しているのである。このことは、ボブ・ホープが「私はずいぶん高い金を払って、名手にレッスンしてもらっているが、クロスビーはいっさいがっさいが自己流で、レッスンに金を払ったということを聞いたことがない。その彼に、私がつねに負け越しているのは、なんとも解けぬ謎である。」
と、こぼしていることから、よくわかる。
 上手になりたい人も、楽しみたい人も、ゴルファーなのである。(以上原文より抜粋)

現代解説とこぼれ話

 これは、この本のなかで私が最も共感する金言です。現在63年のキャリアをもつ私ですが、そのゴルフ仲間にMさんという仲間がいます。年齢は私の2つ上で、かつては70台、80台をコンスタントに出す、実にステディなゴルフをする人です。が、そのスイングは誰が見ても正統派なスイングではなく、とても70台が出るスイングでも打球でもないのです。そんなMさんにゴルフを始めた動機と上達方法を聞いてみました。「30年間ゴルフをやってきたが、ただの一度も習ったことがない」と言い放ったのです。さらに驚いたことに「ゴルフのスイングで左手は一回も意識したことはなく、スイングのすべては右手のみで上げて打っている」という言葉です(一般的に初心者は左手をしっかりと言われるでしょう)。右手のみのパワーで打つので当然スライス回転の球ばかり打っているのです。逆に言うとフック回転しないので彼は「私は球が一方にしか曲がらないので、皆よりフェアウェイを倍の幅使えるのだ」と自負しています。結果として、左右にばらつきのあるプレイヤーの中で彼が最も安定しているのです。皆が驚くような美しい打球は皆無であるが、彼のスイングする頭には常に右手で上げて右手で打って、ということしかないのでストレスもなく、30年のゴルフ人生で一度もスランプとは無縁なんだそうです。まさにこれこそが“自信あふれる自己流”なのです。


解説:広瀬義晋(ひろせ よしくに)

関西学院大学卒。著者の三男。同級生である中部銀次郎とともにジュニアよりゴルフ界で活躍し1966年には世界アマチュア選手権メキシコ大会の代表選手として参戦。1964年関東アマチュア選手権者。

『ゴルフ金言集』とは、 ゴルフ金言集

光文社カッパ・ブックス昭和40年初版発行の当時ではまだ珍しいゴルフ指南書。著者が交流を深めていたサム・スニードなど国内外の名手とのこぼれ話や世界のトッププレーヤーたちが残したゴルフの金言名句を日本語訳し解説。当時のベストセラーとなる。

広瀬義忠著者:広瀬義忠(ひろせ よしただ) 

明治30年大阪生まれ。慶應大学経済学部卒。商社マンとして世界を回っているときに、英国でゴルフと出会いゴルフの魅力にとりつかれる。ついには商社を辞めて富士のすそ野に自ら設計したゴルフ場を造る。晩年はゴルフ評論家、著述家として「アサヒゴルフ」「ゴルフジャパン」などに執筆。昭和33年度関西シニア選手権者、富士平原ゴルフクラブ理事長などゴルフ漬けのまま生涯を終える。

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