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【世界の名手たちが発見した定石】定石4

書籍「ゴルフ金言集」より

【世界の名手たちが発見した定石】定石4

NEVER UP, NEVER IN.

――ゴルフ定説

ゴルフ金言集 届かざる球は、入らず」わかりきったことであるが、これが定説になるところに価値がある。(中略)ホールに届かない球はホールインしないが、ホールをオーバーする球には入るチャンスがある。と言いたいのがこの金言の本意である。パットをするときにだれもが心配することは、オーバーしないかということである。この心配の反射作用として、まず、足りなめに打つということにある。足りなめということはネバーアップ、つまり達しないということである。(以上、原文を基に)

現代解説とこぼれ話

 ごく当たり前の原理ですが、では「達しない打ち方は悪いのか?」といえばそういうわけでもないのです。逆の原理でホールに届かない球は必ず打った時点よりホールに近づいているということです。ゴルフに於いて、5メートルのパットを入れることが理想とされているが、肝心なのは3パットをしないことなのです。
 プレイヤーAが5メートルのパットを3回は1パット、後の2回は3パットだったとしましょう。プレイヤーBは1パットを1回だけ、残りの4回は2パットで折り返したとしましょう。合計はお互い9パットで同じですがダメージは2回3パットをしてしまったAのほうが大きいはずです。5メートルのパットをワンパットで入れるのは運も手伝わなければできないが、ファーストパットの距離感をきちんと合わせて外れても楽々OK圏内にして2パットでいくには運よりも技術が先行します。要は2パットで収まるところを3パットした方が後悔が大きく、それが後のプレーに大いに影響を及ぼすものなのです。

定説追記

 この定説はゴルフ史上始まって以来の名手ボビー・ジョーンズ(年間グランドスラマー。100年近く経っても未だ誰も達成できない偉業)が発し、有名になったとされています。
 しかし、ここで大事なのはそのボビー・ジョーンズが、数年後この定説を打ち消したということなのです。大事なタイトルがかかった試合の最終ホールで2.5メートルのパットが僅かに届かず、その試合を制することができなかったという悔しい結果がありました。しかし、それを見物していたボビーの5歳からの師匠であるスチュワート・メイドンというプロが、「ボビー、君はこれからもっと多くの試合に勝てるようになるよ!」と言ってくれたことに由来します。その後、その言葉通りボビー・ジョーンズは数多くのトーナメントを制することになっていくのです。
「NEVER UP, NEVER IN.」をモットーにしていた時より、達しなくても距離感を意識したパットをすることで1パットの数は減ったが、3パットの数も甚だしく減ったと回顧録で語っています。このことはあまりにも知られていない定説への反論なのです。
“一般のプレイヤーはパットで方向(ライン)ばかり気にしているが、距離をもっと大事にすべき!”と私は声を大にして助言させていただきたい。


解説:広瀬義晋(ひろせ よしくに)

関西学院大学卒。著者の三男。同級生である中部銀次郎とともにジュニアよりゴルフ界で活躍し1966年には世界アマチュア選手権メキシコ大会の代表選手として参戦。1964年関東アマチュア選手権者。

ゴルフ金言集『ゴルフ金言集』とは、

光文社カッパ・ブックス昭和40年初版発行の当時ではまだ珍しいゴルフ指南書。著者が交流を深めていたサム・スニードなど国内外の名手とのこぼれ話や世界のトッププレーヤーたちが残したゴルフの金言名句を日本語訳し解説。当時のベストセラーとなる。

広瀬義忠著者:広瀬義忠(ひろせ よしただ) 

明治30年大阪生まれ。慶應大学経済学部卒。商社マンとして世界を回っているときに、英国でゴルフと出会いゴルフの魅力にとりつかれる。ついには商社を辞めて富士のすそ野に自ら設計したゴルフ場を造る。晩年はゴルフ評論家、著述家として「アサヒゴルフ」「ゴルフジャパン」などに執筆。昭和33年度関西シニア選手権者、富士平原ゴルフクラブ理事長などゴルフ漬けのまま生涯を終える。

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