柿傳
東京・新宿

「新宿にも大人の道草の場所を」川畑康成も愛した茶懐石の名店

京懐石柿傳

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 茶室の設計、調度品や茶器、その作法を含めすべてに意味があり、細やかな “もてなし”とそれに対する “礼” など、日本そして日本人の精神が凝縮された伝統文化である茶道。江戸時代、町人文化の勃興とともに茶の湯が庶民にも広まると多くの茶会が催され、茶事における出張料理の専門職「柿傳」が誕生する。
 その由緒ある名前を店名に掲げるこの店は、先代が 43 年前、この地にビルを建てた際「新宿に大人の道草の場所を」という知人からの助言を受けて開業。その知人とはノーベル賞作家である文豪の川端康成氏。看板などに記されている店名の書も氏によるものだ。
 表千家の先代家元より指導を受け、茶事における懐石料理の純粋性を受け継ぐ料理は、旬の素材を用い、華美ではないが器との関係性など絶妙のバランスで配されており、日本の伝統的な美意識を見ることができる。
「大人の道草」という言葉でも分かるように、伝統文化を守りつつも、けっして堅苦しく敷居の高い場所ではない。作法について厳格に強要されるわけでもなく、むしろ茶の湯文化の雰囲気に触れながら、ゆったりと食事を楽しんで欲しいというのが店のコンセプトだ。
 テーブルやカウンター席も良いが、せっかくこの店にゲストを招くならば茶室を用意したい。大小4つの茶室の中でも残月の間は京都・表千家の書院 “残月亭” を写したもの。オリジナルは千利休の聚楽屋敷にあった九間書院で、豊臣秀吉が突上げ窓から残月を賞でたという逸話に由来する部屋だ。
 5名以上ならば、懐石料理を楽しみながら茶席の作法を学べる懐石マナー教室を個別に催すこともできる。海外の賓客をもてなすのに料理とともに日本の伝統文化に触れる場を供するのもの良いだろう。椅子席が配された茶室もあり、海外や年配のお客様に好評だという。


東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル 6F~9F
TEL:03-3352-5121
交通:JR新宿駅中央東口から徒歩約1分
営業時間11:00~22:00(L.O. 椅子席20:00、茶室19:30)
年中無休(年末年始、夏期旧盆期間除く)
席数:茶室(個室)4室、椅子席37席
クレジットカード可
予算:懐石料理 椅子席8,085円~、茶室18,112円~
松花堂5,775円、昼食時限定のランチ4,620円など
www.kakiden.com

文・撮影:佐藤久

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