厲家菜
東京・六本木

西太后の愛した家常菜 門外不出のメニューを忠実に再現

中華(清朝宮廷家常菜)厲家菜

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 中国・北京。胡同と呼ばれる細い路地が入り組んだ地域に佇む一軒家レストラン。ぶらりと歩いていたら通り過ぎてしまうようなこのお店に世界の美食家が集まる。オーナーの祖父はかつて清王朝で西太后の家常菜(家庭料理)を管理。その厲家に伝わる門外不出のレシピによって、西太后が愛したメニューを現代に蘇らせたのがここ「厲家菜」だ。
 北京本店の知る人ぞ知る隠れ家的雰囲気を再現した店は、六本木ヒルズの商業エリアからはずれた、けやき坂通り住居棟の一角にある。大きな木の扉の入り口を開けると、両サイドに全部で3つの個室があるのみ。都会の喧噪を離れ、まるで誰かのゲストハウスに招かれたかのような雰囲気で食事を楽しめる。
 メニューはすべて北京本店のシェフである厲愛茵氏が監修。美と健康、さらには味だけでなく目で食を楽しむことにもこだわり、日常150品が食膳に並んだという西太后のために供された美食がテーブルを彩る。すべての料理が清王朝時代の調理法に準じているため化学調味料などは一切使用しておらず、最低でも15品提供される前菜はたしかに中華の一品でありながら、どこかフレンチのヌーベル・キュイジーヌを連想させ、“歴史の追認”よりむしろ“新しさへの驚き”を強く感じさせる。ジャンルで括るとすれば中華だが、この料理は無理にカテゴライズせず「西太后の家常菜」と呼ぶのがもっともふさわしいように思う。
「宗教的理由から肉を一切食べられない日のもの」「西太后の美しさへのこだわりに対し調理人が応えた」など一品ごとに、その背景にある逸話や物語を楽しめるのもここ厲家菜ならでは。
 木の扉を開けて表に出る。そこはたしかに六本木。まるでこの扉が時空を超えるために裂かれたスリットであるかのように、歴史を行き来した不思議な感覚を味わえる場所でもある。


東京都港区六本木6-12-2
六本木ヒルズ けやき坂通りレジデンスB棟3F
TEL 03-5413-9561
交通 東京メトロ 六本木駅、都営大江戸線 六本木駅から徒歩約3分
営業時間 ランチ11:30~15:30(最終入店14:30)※ランチのみ水曜日休業
ディナー18:00~23:30(最終入店20:30)
席数 個室3室(各室6席、2部屋をつないで最大12席まで対応可能)
クレジットカード 可
予算 昼6,300円~、夜10,500円~
www.reikasai.com

文・撮影:佐藤久

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