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alain mikli ~クリエイティブとビジネスでトップを走り続けるお茶目な紳士

「New TITANIUM Collection」を発表し、阪急MEN’S TOKYOに新店舗をオープンしたアラン ミクリ。大の親日家を自称するアイウェア界の大御所アラン ミクリ氏が来日し、ものづくりや日本への愛情を、お茶目なジョークを織り交ぜながら熱く語った。

alain mikli(アラン ミクリ)

alain mikli(アラン ミクリ)
1955年フランス生まれ。1978年以来、メガネのパイオニアとして審美性と機能性、デザインと技術を調和させたメガネを提案し続けている。欠点をカバーするだけでなく、個性を引き出し、イメージを変える力を持つ小物として、かける人のファッションやライフスタイルまでもデザインしている。

Stance

 1978年の創業以来、世界のアイウエア界を牽引してきた老舗トップブランド、アラン ミクリが都内5店舗目、日本では9店舗目となる直営店を、東京・有楽町の阪急MEN’S TOKYOにオープンした。自らお見立て会にも入店するなど、この店舗に注がれる愛情がうかがえる。
「阪急百貨店の社長と会った際、今の百貨店の在り方や流れを、良い意味で『壊していくぞ』という姿勢に賛同したんです。日本の百貨店は、あまり今あるものを変えずにやっていこう、というスタイルが強いと思うのですが、この阪急MEN’S TOKYOには違うものを感じ、とても新鮮でした。国の経済が決して良い状況にあるわけではないことは分かるし、もちろんそれは日本だけではないのですが、できるだけ何もしないというような風潮に今の日本はなってしまっている。その中で阪急は新しいことにチャレンジしたと思うんです」。
 日本の百貨店業界は国内需要の低迷や消費者の嗜好の多様化などで苦戦を強いられており、先が見えない。このような状況下で今秋誕生した阪急MEN’S TOKYOは『世界が舞台の、男たちへ。』が惹句のジェットセッタースタイルストアだ。
「内装やブランドのセレクション、ブランドの世界観など、とても良くまとまった感じのビルですね。アラン ミクリというブランドに対する信用にも、感謝をしています」
 日本のみならず、中国や韓国などアジアの富裕層と相性の良さそうな、ラグジュアリーな品揃えと店内。穏やかな口調ながら、ミクリ氏の言葉の中からも確かな手応えと満足が伝わってくる。

collection

『New TITANIUM Collection』は阪急MEN’S TOKYO店オープンに合わせて先行発売された新たなチタンコレクションである。
 アラン ミクリのデザインと、世界に誇る高度な日本のチタニウム加工技術が融合された、日本人による日本人のための『New TITANIUM Collection』なんです。阪急の話にもつながりますが、日本のチームにデザインやアイデアを出してもらって、私自身も、自分や会社のリズムやペースを壊す良いきっかけになりました」。
 特許取得のバネ丁番、Amflexを使用したストレスのまったくない掛け心地や、全国シェア96%で世界からの評価も高いメガネ工業都市、福井県鯖江市の工場で製造された高品質のチタンフロント。美しいアラン ミクリのデザインと確かな技術が見事に融合している。日本国内で生産されているために輸送などのコストが軽減され、通常のアラン ミクリのコレクションよりも手に取りやすい価格でありながら、高品質の維持に成功している。
「もうひとつ『New TITANIUM Collection』への思いがあります。日本、特に鯖江には、高い技術や優秀な工場がたくさんあるのに、今は世界の強豪の中で大変苦労をしています。受注が減り、このままでは工場がなくなりかねない。だから私は、鯖江に少しでも貢献したかったんです。それに、アラン ミクリはインターナショナル・ブランドではありません。他の欧米ブランドのように、同じ製品が全ての国に並んでいる、というようにはしたくないんです。特に眼鏡はニーズやフィッティングの問題などが国によって大きく異なります。もちろん、コレクションのコア(核)となる世界共通の製品は必要ですが、各国の市場を尊重してローカルなコレクションを作っていきたいですね」。
 アイウエアを愛し、日本を愛するミクリ氏だからこそ、このコレクションが実現したと言えよう。

Japan

「ちょっと深刻な話をしていいですか」とミクリ氏は続ける。「私は日本の文化は大好きだし、日本のサービスやでディティールにこだわる姿勢、デザインへの関心も素晴らしいと思います。私は日本の人達が大好きです。でも、日本の政治家にはがっかりしてしまいます。私の好きな日本の人々と、今の日本の政治家は、何か別の国の人のように見えます。企業と政治家が利益のために手を組む、というような関係性はリミットにきていると思うんです」。
「やはりちょっと真面目な話かな」と恐縮しつつ、静かに続ける。
「例えば放射能の問題に関して、食品やホットスポットなどの重要な情報が不透明です。今の日本の政治家は、問題を解決するために時間をかけているのではなく、隠すことに時間をかけているように見えます。掃除をせず、じゅうたんの下にゴミを隠すようにね。原発の話は世界各国どこへ行ってもタブーだけれど、ここまでの大きな被害、問題になるとさすがに普通は隠さないと思います」。
 紳士的に微笑みながらも、「デモをして、電力会社の前社長の退職金を東北の人に寄付するべきです。あ、これもぜひ書いてくださいね」。
「私が大好きな日本の伝統や文化に悪い影響を与えかねない」と日本の政治の現状を憂う。このように人としてもクリエーターとしても思慮深い彼だからこそ、次々に進化した製品を生み出し続けることができるのではないだろうか。

New TITANIUM Collection Made in japan 世界に誇る「TITANIUM」加工技術を持つ日本。この技術とalain mikliのデザインが融合したCollection。

New TITANIUM Collection Made in japan
世界に誇る「TITANIUM」加工技術を持つ日本。この技術とalain mikliのデザインが融合したCollection。

Origin

 今回、チタンコレクションと同時にTomoki Sukezane×alain mikliも発売。20~30代男性から支持されているファッションディレクター祐真朋樹氏とのコラボレーションで、アラン ミクリには珍しい丸フレームと、アセテートにウッド調の加工をした印象的な2タイプ。共にコラボレーションの多い両氏だ。
「祐真さんはとても髪の毛が長いので、それに対して私は、大きな嫉妬を感じました(笑)。彼との製作過程に難しさは感じず、彼がコラボレーションに慣れているというのもあって、お互いをすぐに理解し合えました。彼は眼鏡を専門とする人ではないので、とてもピュアな視点でいろいろな発想をしてくれたことが良かったですね。自分たちが忘れていたシンプルな部分や、消費者の喜びそうなことなどを思い出させてくれました。会社を長く経営していると、技術や生産に気を取られがちになり、消費者のためのモノづくりとして原点にあるはずの発想を忘れてしまうことがあるんです」。
 丸いフレームの眼鏡を掛け、「これを掛けると魅力的な女性をじっくり見つめたくなるんですよ(笑)」と、テンプルを指でつまんで戯れてみせる。シンプルでありながらもしっかり個性のあるデザインで、掛けるだけで楽しい気分に変えてくれそうだ。

Challenge

 ミクリ氏のコラボレーションの歴史は長く、数々のビッグブランドや企業、著名人などとコラボレーションを行ってきた。今年、韓国のLGエレクトロニクス社とのコラボレーションにより発売された3Dテレビ用眼鏡は、20年前に彼がアイウエアを担当した映画、ヴィム・ヴェンダース監督の『夢の涯てまでも』(1991年製作)を彷彿とさせる。
「実は私は、あの映画に出てきたようなテクノロジーが搭載された眼鏡を昔から作りたいと思っていたんです。例えばカメラがついていて、掛けるだけで映像が見えるような眼鏡です。自分でも製作を試みているのですがなかなか商品化には至っていません。今回LG社からこの話をいただいて、理想とする商品を開発するために資金を投下できることなどに魅力を感じ、引き受けました。今回のこのチャレンジはとても良かったなと思っています。実現の過程でいろいろと難しい面もあったのですが、また機会があれば、他の企業ともぜひチャレンジしてみたいですね」。
 クリエイティブとビジネス両方での成功を収めたアラン・ミクリ氏。企業やデザイナーとのコラボレーションのみならず、映画やテクノロジーの世界にまで視野を広げ、高い柔軟性を持って物事に取り組み、長きにわたってアイウエアの世界でトップを走り続けている。「この仕事はパッションが大事です」と断言する。

「自分のアイデアに妥協しない。まずはそれが一番大切です」。
 これからのアラン・ミクリ氏も、私たちを楽しませ、魅了し、掛け心地の良い高品質なプロダクトを作り続けてくれるに違いない。


alain mikli shop 有楽町阪急 Men’s TOKYOalain mikli shop 有楽町阪急 Men’s TOKYO
東京都千代田区有楽町2-5-1
tel. 03-3575-2233
営業時間 月~土 12:00〜21:00
www.mikli.jp

文:和田とも子

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