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「21世紀のモーツァルト」ジョヴァンニ・アレヴィ インタビュー

「21世紀のモーツァルト」ジョヴァンニ・アレヴィ インタビュー

頭の中の魔女

18世紀にオーストリアに生きたモーツァルトは、下書きをせず、頭の中で完成形の楽曲を作り上げたことで知られる。現代に生きるジョヴァンニは「21世紀のモーツァルト」と呼ばれ、イタリアでロックスター並みの注目を浴びている。
「私の頭の中にはいつも魔女が住んでいて、インスピレーションが得られる時は必ず、魔女が私の頭を叩いて最初に1~2フレーズの音楽を霊感みたいにふっとくれる。その短い音楽が頭の中で繰り返され、広がっていき、最後にはこれ以上広がらない、伸びない、というところに必ず来る、それが自分の音楽(曲)の終わりです。頭の中に鳴ったものを自分の中で整理し、頭の中で楽譜を作り、次に紙に書き、それから初めてピアノに触れるのです」。

哲学を深く学んだだけあって、その発する言葉は奥深い

哲学を深く学んだだけあって、その発する言葉は奥深い

内緒で弾いていた子供時代

「父は音楽家でした。私が家のピアノをおもちゃにしていたことで父は怒り、5歳の時、父はピアノに鍵をかけてしまったのです。しかし両親の留守中に私は鍵の在りかを探し当て、いつも家の中に流れていたショパンやモーツァルトを聴いたままに弾き続けました。隠れてピアノを弾く喜びと、見つかって叱られるかもしれないという恐怖との背中合わせ、それが私の音楽人生の始まりです。
10歳の時、学校で演劇発表会がありました。内向的な性格で立っているだけの役でした。終わって舞台袖に下がった時、奥にあるピアノを見つけたんです。吸い寄せられるようにピアノに近づき、ショパンの前奏曲イ長調を本当に無意識のうちに弾いてしまいました。まだ客席にいた生徒の両親たちからの大きな拍手と歓声で我に返り、『しまった!父に叱られる!』と逃げ出しました。父は、追いかけてきて私の演奏を非常に褒めてくれ、その日の午後、音楽学校への入学手続きをしたのです」。
自由にピアノが弾けるようになったジョヴァンニは連日8時間も10時間も弾き続けた。子供は手が小さいため楽曲を完璧に弾くことができない。しかし初めて楽譜を見たところ、それまで耳で感じたままに弾いていたものはほぼ楽譜通りであったという。17歳で初めて作曲を手掛けた。曲名は『JAPAN』。「『ドラえもん』などの日本のアニメをよく見ていました。日本とはどういう国かと想像を巡らせ、その憧れを曲にしたのです」。美しいメロディーで綴られたこの曲はコンサートの冒頭に必ず演奏されている。アメリカや韓国のツアーでも同様だ。

コンテンポラリー・クラシック

服装はいつもTシャツにジーンズ、ベートーベンのようなもしゃもしゃの髪を振り乱し、子供のような笑顔でステージ上を走り回る。聴衆の心をわしづかみにし、弾ませるエネルギッシュな音楽はジャズにもロックにも感じられる。しかし、自身はあくまでもクラシックにこだわる。
「私はコンテンポラリー・クラシック音楽の作曲家です。私が演奏するものはいつも厳密に楽譜に書いてあり、即興ではありません。クラシックとコンテンポラリーは対極の言葉ですが、あくまでもクラシックというベースがあって、その上でコンテンポラリーという新しい発想がある。古い部分、クラシックというものを学びながら新しいものに発展させていきたいという思いがあるので、コンテンポラリー・クラシックと呼んでいます。
音楽は大きく3つにクラシック、ポップス、ジャズと分類されますが、それぞれがしっかりした形式を持って、行くべき道に発展していると思います。ジャズと異なり、クラシックには即興があってはならないのです。『即興曲』というものもありますが、必ず譜面にすべてが書かれています。クラシックには絶対に崩してはいけないものがあります。ポップスやジャズにも独自の形式がありますが、細胞分裂のようにどんどん変化していける自由な音楽だと認識しています。
クラシックにはシンフォニーやソナタなどの形式というのが必ずありますが、時代によって確実に発展しています。今の時代から次の時代を見ると、それは必ずコンテンポラリーなものになる。ベートーベンの時代にはベートーベンがコンテンポラリーだったのと同じことです。バッハ、ベートーベン、モーツァルト……それぞれの時代にクラシックは進化しているので、その進化は認めていかなければいけない。けれども変えてはいけないものもあるのです」。

4枚目のアルバム『JOY』のジャケット写真。自由な精神が溢れ出るようだ

4枚目のアルバム『JOY』のジャケット写真。自由な精神が溢れ出るようだ

深く古いものを学ぶ必要性

20歳の頃、色々な不安を抱え、ピアニストとしても自信がなかったジョヴァンニは、作曲を学ぶと同時に大学で哲学の修士を獲得している。異例の経歴だ。
テレビ番組『世界の車窓から』で使用され問い合わせが殺到した、ヨーロッパの静かな秋の情景が似合う『ilbacio』、たくさんの小動物が飛び跳ねるような、楽しげで心も体も思わず躍ってしまう旋律が印象的な『300anelli』など、ジョヴァンニの音楽は人の心を動かし、ぐっとつかんで離さない。「クラシック音楽が進む方向性として、人間が安らげるもの、元気が出るもの、聴いて心に残るものではなければならないという考えが世界の流れになっています。私もそれに大いに賛同しています」。


ジョヴァンニ・アレヴィ ピアノソロコンサート JAPAN TOUR
11月20日(土) 17:30開演 アルカイックホール・オクト(兵庫県尼崎市)
11月24日(水) 19:00開演 トッパンホール(東京)
11月25日(木) 19:00開演 浜離宮朝日ホール(東京)
チケット発売:9月4日(土)
問:TEL 03-5457-2408(コンサート事務局)
公式HP:www.allevi.jp

ジョヴァンニ・アレヴィ
1969年4月9日、イタリア生まれ。ピアニスト、作曲家。ミラノ音楽院でピアノと作曲を学ぶ。同時期に哲学博士号を取得。 『13fingers』(1997年)と『Compositions』(2003年)の2枚のピアノ・ソロ・アルバムが批評家の大きな賞賛を集めた。04 年7月から世界ツアーを開始。05年5月には3枚目のアルバム『NOCONCEPT』を、06年には4枚目のアルバム『JOY』をリリース。世界の批評家 が彼を『ピアノの天才』『2000Mozart(21世紀のモーツァルト)』と評している。今秋11月、待望のJAPAN TOURが実施される

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