英国人フォトグラファー、ニック・ナイトが発信する最先端のアートを、芸術の街・ロンドンで体感する
text & photo: 山下真理恵

Exhibitionのエントランス。ナオミ・キャンベルの巨大パネルが来場者を迎える

ニック・ナイトによる"革命"

 数々の名高い美術館やギャラリーが集まる芸術の街ロンドン。多くの美術館が入場料なしで見学できるというのもロンドンの大きな魅力のひとつではないだろうか。今回紹介したいのは、穏やかなテムズ川沿いに荘厳な景観で佇む「Somerset House」。この壮大な建物はウィリアム・チェンバーを中心に18世紀後半に建てられたNeo-Classicalな建造物であり、現在は政府関連機関や芸術関連、野外コンサートや映画イベント等、多岐にわたり利用されている。その中で私が訪れたのは「Embankment Galleries」。12月20日まで行われている、SHOWstudio"Fashion Revolution"というExhibitionだ。

 ニック・ナイトという名前を聞いたことはあるだろうか? イギリス出身の彼は、ファッション業界において最も影響力のあるフォトグラファーのひとりである。「Vogue」や「I-D Magazine」、「Dazed and Confused」等のハイファッション誌をはじめ、世界中のセレブリティやモデルとフォトセッションを精力的に行っている。「SHOWstudio」というのは、9年前にニック・ナイトにより設立されたファッション・ウェブサイトである。現代では欠かすことのできない存在になったインターネット。彼は、ファッション業界を先導する多くの人気デザイナーやアーティストとこれまで類を見ないようなコラボレーションを行い、 様々な新しいプロジェクトに意欲的に取り組み、ウェブサイトを通じて多くの人々に作品のプロセスやfinal work、プロジェクトの意味を伝えてきた。「我々が経験してきたファッションは変化し続けている。ファッションイメージはもうプリントアウトされた写真だけではない。今日、我々は劇的に新しいファッションの世界、写真・映画・パフォーマンス・音楽・アートとテクノロジーが統合され、無限に広がるランドスケープに面しているのだ」。今回のExhibitionの中で、彼はそう述べていた。そしてSHOWstudioは彼にとってこれまでで最も素晴らしいボヤージュであるとも。

ニック・ナイトによるLive photo shoot。繊細にポージングなどを要求する

ナオミ・キャンベルの3D像「NAOMI」。像上に書かれている文字はオーディエンスが好きに色を選んで書いたり 消したりできる

Somerset Houseではスケートも楽しめる

 エントランスに到着すると、まずはナオミ・キャンベルのフォトパネルが目に入り、ピンクの文字で鮮やかに「SHOWstudio FASHION REVOLUTION」とペイントされた扉が人々を迎える。このExhibitionはこれまで彼が取り組んできた数々のプロジェクトの結晶の固まりのようなものであった。入場客を驚きの連続で包み込むようなインタラクティブな工夫があちこちに施され、彼のファッションへの情熱、細やかな神経の行き届きが随所に感じられた素晴らしい内容になっていた。また、このExhibitionではニック・ナイトによるLive photo shootも見られるという、画期的な取り組みも行われている。滅多にない絶好の機会に私も大興奮、食い入る様に撮影風景を見ていた。日本でも様々なExhibitionや海外からのギャラリー展が開催されるが、こういった刺激的なExhibitionはロンドンならではの傾向にあるように思える。
 また、Somerset Houseのもうひとつの顔でもあるスケートリンクは、ロンドンでも人気の冬の風物詩。今年は10周年を迎え、ジュエリーブランド「ティファニー」によるスペシャルイベントを開催。スケートカフェやバーでドリンクを飲みながら、合間にティファニーショップでの買い物も楽しんでみてはいかがだろうか? 荘厳な建物に囲まれた中でのスケートは気分をより一層盛り上げてくれるに違いない。

「Somerset House」
Strand, London WC2R 1LA
www.somersethouse.org.uk
www.showstudio.com

山下真理恵
鹿児島県沖永良部島出身。1999年宝塚音楽学校入学。2001年「ベルサイユのばら2001」で初舞台、2007年退団。3カ月の短期語学留学をワシントンD.C.で経て、2008年9月よりLondon College of FashionにてAccess to fashion Promotion Media courseを修業、現在ロンドン滞在中