英国・ロンドンから最新情報をお届け!
第1回は"スーツの聖地"サヴィル・ロウから老舗ショップを紹介します。
text&photo: 山下真理恵

定番のクラシカルなスーツ。シルエットが美しい

ヨーロッパ諸国の王室御用達ショップ

「紳士の国」と聞いてまず思い浮かぶ国のひとつであろう英国。その中心地ロンドンは今も古き良き伝統と最先端のアートが入り交じった魅惑的な街だ。その中で今回は、ロンドンでも有名なBespoke tailors(オーダーメードの紳士服のお店)が並ぶ通り「Savile Row」を紹介したい。
 この「Savile Row」は日本語の「背広」の語源になったとも言われている。軒先からはフラッグが垂れ下がり英国情緒が漂うこの通り、店内には多数のジャケットやシャツ、ネクタイなどが整然と並んでいる。
 Savile Row Bespoke Tailorsのひとつ「MEYER & MORTIMER」は、1700年代後半に創業、現在に至るまで2世紀以上にわたり愛され、伝統を守り続けている老舗だ。英国王室をはじめ、ブルナイ王室などヨーロッパ諸国王室御用達の店である。顧客の年齢層は50~60代の男性が多く、また世界各国に顧客が多いため、定期的にEU、N.Y.、ワシントンD.C.、カナダを訪問して現地で採寸等を行っている。わざわざ英国各地やEU(主にパリ)米国からお店を訪れるお客様も多いのだとか。

 オーダーメードのスーツは採寸から出来上がるまでに最低でも3~4カ月は見ておかなければいけないという。こちらの店ではスーツはクラシックスタイルが定番。ウェストポジションが高めで、ジャケットの下部分がフレア(すそが広がっている)になっており、内側に少し厚みを入れ胸にボリュームをおく。私も街を歩いていて感じるのがビジネスパーソンの粋なスーツの着こなし方。「英国スタイルは、スーツがダークトーンの場合は中のシャツやネクタイ、チーフ等で色味を出して遊ぶのが定番」とマネージャーのPallさんは言う。シャツは淡いピンクやライトブルーが人気なんだそうだ。

本場で働く日本人

 ここでもうひとつ紹介したいのが、このお店で今年の4月からBespoke cutter(採寸した型紙や生地を裁断する役割)として働く日本人の金子勝さんの存在。金子さんは福島県出身、高校卒業後すぐにこの道に入り10年間の修行を積む。その後、Bespokeの本場イギリスで学びたいと思い渡英を決断、London College of FashionのTailoring courseで1年間学び6月に学業を終え、現在に至る。「実際の現場で経験を積みたくて、Savile Rowの片っ端からお店を訪ねて回りました。日本人の僕が店先で軽くあしらわれるような事も何度かありましたがこの『MEYER & MORTIMER』は快く受け入れてくれました。マネジャーのPallをはじめ、ここで働くスタッフはとてもフレンドリーで温かい! もうしばらくはロンドンで修行を積み、その後は日本で自分のお店を持つ事が夢ですね」。

 この「MEYER & MORTIMER」は、これまで一切の宣伝広告等を行っていないため、EU、USはもちろん、UKの雑誌にすら登場したことがない。普段は少し敷居が高く思えてしまうかもしれないBespokeだが、ロンドンを訪れた際は是非お店に立ち寄ってみてはいかがだろうか? フレンドリーなスタッフが温かく迎え入れてくれるはずだ。そして、確かな品質、職人のこだわりと英国の伝統を自分の目と肌で見て感じてほしい。

MEYER & MORTIMER LTD
- Savile Row Bespoke tailors
Address:6 Sackville St,London,UK W1S 3DD
Telephone:+44 (0)20 7734 3135
Home page:www.meyerandmortimer.co.uk

山下真理恵(やました・まりえ)
鹿児島県沖永良部島出身。1999年宝塚音楽学校入学。2001年「ベルサイユのばら2001」で初舞台、2007年退団。3カ月の短期語学留学をワシントンD.C.で経て、2008年9月よりLondon College of FashionにてAccess to fashion Promotion Media courseを修業、現在ロンドン滞在中