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☆アニメのミカタ☆“青春のきらめき”をアニメーションで切り取る岩井俊二の新たな挑戦に注目

☆アニメのミカタ☆“青春のきらめき”をアニメーションで切り取る岩井俊二の新たな挑戦に注目

『花とアリス』前日譚を描く

 リリカルでノスタルジック。心の機微をまぶしいほどの映像美で描き、“映像の魔術師“とも呼ばれる岩井俊二監督。『花とアリス殺人事件』では、初の長編アニメーション映画にチャレンジするという、アニメファン・映画ファンにとっても嬉しいニュースが舞い込んだ。2004年に原作・脚本・監督を務めた『花とアリス』の前日譚を、アニメーションで綴る物語だ。
『Love Letter』(95)では、真っ白な雪に亡くなった恋人へのやりきれない想いをのせ、時空を超えたラブストーリーを紡ぎ出した。『スワロウテイル』(96)では、異国情緒たっぷりの架空都市を作り上げ、移民たちの野心と傷をフィルムに刻んだ。映像が語り部の一人ともなる岩井作品だが、その中で、青春のきらめきをギュッと詰め込んだのが『花とアリス』だ。
 主人公は、日常や恋、友情に揺れる思春期の少女・花とアリス。自由奔放で気まぐれで、まっすぐで。『花とアリス殺人事件』では、そんな魅力たっぷりの二人の出会いが明らかになる。声優には、『花とアリス』同様、アリス役に蒼井優、花役に鈴木杏がキャスティングされており、蒼井と鈴木が10年ぶりに彼女たちとの再会を果たしている。

岩井監督はアニメーションにどのような表現を持ち込むのか

 心の動きをビジュアルとリンクさせる岩井監督の映像美は、水彩で描く絵画のよう。風景にしても、自分自身の経験をも思い起こさせてくれるような、どこかノスタルジックな味わいがあるのだ。アニメーションの良さは、リアルを追求するのではなく、叙情を込めて人生の美しさを描写できるところにある。まさに、岩井監督の感性は、アニメーションとの相性は抜群だろう。
 さらに、『花とアリス殺人事件』のイラストレーションには、岩井監督に加え、気鋭のイラストレーター・久野遥子と、新海誠監督の『星を追う子ども』(11)『言の葉の庭』(13)などの美術監督を務めた滝口比呂志が参加。心強いスタッフを得た岩井監督が、アニメーションにどのような表現を持ち込むのか。様々な技術へのチャレンジを試みてきた岩井監督の手腕に、大いに期待したい。
 その挑戦とともに、とにかく楽しみなのは、元気いっぱいの花とアリスに会えること。今やすっかり大人の女性となった蒼井と鈴木が、花とアリスとして再び青春を生きる。時間をもひょいと乗り越えてしまうのも、アニメーションの起こす奇跡ではないだろうか。“殺人事件”とは穏やかではないが、花とアリスの出会いにはどんな秘密が隠されていたのか。ぜひともスクリーンで見届けてみてはいかがだろう。


MOVIE

『花とアリス殺人事件』

2015年2月20日より新宿バルト9ほか全国にて
配給 :ティ・ジョイ
公式サイト: hana-alice.jp
©花とアリス殺人事件製作委員会

Text

成田おり枝(なりた・おりえ)

千葉県市川市出身。大学卒業後、シネコン、ミニシアターでの劇場経験を経て、映画サイトの編集者へと転進。現在はフリーライターとして、映画・アニメを中心に、インタビューやコラムなど日々の取材に奔走中

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