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☆アニメのミカタ☆文学とアニメの化学反応を堪能せよ!〈物語〉シリーズのすごさとは?

☆アニメのミカタ☆文学とアニメの化学反応を堪能せよ!〈物語〉シリーズのすごさとは?

怒涛のごとく押し寄せる言葉遊び

「読書は好きだけれど、アニメはあまり観ない」。そんな人にこそ、オススメしたいアニメがある。今をときめく人気作家・西尾維新の代表作をアニメ化した、〈物語〉シリーズだ。 2009年を皮切りに、続々とテレビアニメ化されて大ヒットを遂げた本シリーズ。原作の持ち味と、アニメの持つ力が見事な化学反応を起こし、酔いしれるような唯一無二の世界へと誘ってくれるのだ。
 本シリーズは、高校生の阿良々木暦と、怪異に取り憑かれた少女たちの繰り広げる物語。原作はほぼ会話劇で構成されており、怒涛のごとく押し寄せる言葉遊びが一番の魅力だ。ヒロインを暦が救うという展開が大筋だが、暦も各ヒロインも、交わすセリフから個性が浮き彫りになってくるという具合に、セリフがある意味、大事なキャラクターとなっている。
 だからこそ本作は、「映像化困難」と言われ続けてきた。そんな原作に真っ向挑んだのが、アニメ制作会社「シャフト」である。『魔法少女まどか☆マギカ』の成功も記憶に新しく、「シャフトのアニメなら観よう」というファンを生むほど、信頼の厚い制作会社だ。

映画で明らかになる〈物語〉の幕開け

 原作の流れるような掛け合いをアニメ化するにあたって、シャフトはあらゆる演出を試みた。まず特徴的なのが、テロップワークだ。カタカナ、漢字、ひらがなをテロップで差し込み、サブリミナル効果のように日本語の美しさ、多様性を表現。シャフトの演出では瞳のアップもよく使われるが、その瞳にも文字を刻むなど、そこかしこに文学的な香りを漂わせることに成功している。
 また、掛け合いを演じる声優陣の力量は圧巻の一言。長ゼリフでのトークをリズム感たっぷりに展開し、あっという間に観る者をクギ付けにする。そして、色彩や空気感、間合いなど、緊張感ある演出でキャラクターの感情の動きを表す一方、背景や美術設定はクール。そのバランスがたまらなく刺激的なのだ。
 独特な世界観を楽しんでほしいが、もう一つ注目してほしいのがヒロインたちの輝きだ。怪異に取り憑かれた少女たちはみな、どこか影を背負っている。その儚さが妖しいほどに美しい。かわいい少女キャラは癒やしをくれるが、心の闇を見せてくれる存在はもっと深く愛すべきキャラとなるはずだ。
 1月からは三部作での上映となる『傷物語』が劇場公開となる。ヒロインは、“怪異の王”ともいうべき、伝説の吸血鬼。すべての〈物語〉シリーズの原点となるストーリーだ。果たして、〈物語〉はどのように幕を開けたのか。ヒロインに隠された過去とは? ぜひとも、スクリーンで堪能してほしい。


MOVIE

『傷物語〈Ⅰ 鉄血篇〉』
2016年1月8日より全国にて
配給:東宝映像事業部
www.kizumonogatari-movie.com
ⓒ西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

Text

成田おり枝(なりた・おりえ)

千葉県市川市出身。大学卒業後、シネコン、ミニシアターでの劇場経験を経て、映画サイトの編集者へと転進。現在はフリーライターとして、映画・アニメを中心に、インタビューやコラムなど日々の取材に奔走中

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