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☆アニメのミカタ☆『バケモノの子』細田守監督作品が、世界で求められる理由とは?

☆アニメのミカタ☆『バケモノの子』細田守監督作品が、世界で求められる理由とは?

世界での公開が決定済み

 あらゆる国で親しまれ、世界をリードするような文化といえる日本のアニメーション。その中でも今、最も注目を集めているアニメーション制作会社のひとつが、細田守監督作品を世に送り出している「スタジオ地図」だ。この夏に放つ『バケモノの子』は、フランスの老舗配給会社ゴーモンが、アジアを除くインターナショナルセールスを担うこととなり、すでに主要各国での公開が決定している。なぜ、細田作品は世界で愛されるのか?
 本作は、バケモノと少年の奇妙な師弟関係を軸に、バケモノたちの棲む異世界での修行と冒険、親子の絆やヒロインとの淡い恋など、あらゆる世代が共感できる要素が詰まった新冒険活劇。アクションも満載で楽しませてくれそうだが、本作のポイントとなるのは、やはり、ひとりぼっちだった少年が、様々な出会いを通してどのように成長を遂げていくのか。人生の輝きをどのように見出していくのかにあると思われる。

人生賛歌をテーマに未来を肯定すること

 これまでの細田作品に目を向けてみよう。『時をかける少女』(06)では、元気いっぱいの少女を通して、青春のあふれるほどのパワーと前を向いて走ることの清々しさを。『サマーウォーズ』(09)では、大家族に仲間入りをした弱気な少年が、家族同士が手をつなぐことの強さを知っていく姿を。『おおかみこどもの雨と雪』(12)では、“おおかみおとこ”と恋に落ちた女性が、結婚・子育ての不安を乗り越えて成長していく姿を、胸が締め付けられるほどの感動とともに描き切った。
 細田作品に登場する主人公たちは、ファンタジックな世界にいながらも、決して特別な人間ではない。アニメーションというエンターテインメントの中に、誰もが思い当たる瞬間が散りばめられているのだ。観客は、主人公の辿る道のりと自身とを重ね合わせ、平凡と思える毎日にもどれほどの優しさや思いやりがあふれているのか。懸命に生きることがどれほどの価値のあることなのかを見つける。だからこそ、私たちは細田作品に感動し、未来への可能性をも信じたくなるのではないだろうか。
 日々には、悲しいことや辛いこと、嫉妬やマイナスの感情だってたくさんある。世界を見渡せば、あらゆる混乱も終わらない。それでも人生は、「生きていきたい」と思えるものだと信じたい。そんな普遍の思いを細田作品は伝えてくれる。世界で受け入れられる秘訣は、人生賛歌をテーマとし、未来を肯定すること。その情熱と誠実さが世界で求められているのだろう。


Text

成田おり枝(なりた・おりえ)
千葉県市川市出身。大学卒業後、シネコン、ミニシアターでの劇場経験を経て、映画サイトの編集者へと転進。現在はフリーライターとして、映画・アニメを中心に、インタビューやコラムなど日々の取材に奔走中。

MOVIE
『バケモノの子』

7月11日より全国にて
配給:東宝
公式サイト:bakemono-no-ko.jp
2015 THE BOY AND THE BEAST FILM  PARTNERS

文|成田おり枝

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