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佐藤可士和「『現代に最適化された』クラシック音楽」

佐藤可士和「『現代に最適化された』クラシック音楽」

SMAP、ユニクロ、TSUTAYA、国立新美術館、明治学院大学、ふじようちえん、今治タオル……。ロゴデザイン、ブランディング、プロダクトデザインなど、多様な手段で対象物を世に発信するアートディレクター、佐藤可士和。タイトルロゴデザインで参加したクラシック音楽祭の仕事について語る。

佐藤可士和インタビュー

集まる個性をタイトルロゴに

低料金、短時間、数日間に約300の公演、世界から1000人以上の一流の演奏家、服装自由、子連れ入場可……。クラシック音楽業界の常識を覆した奇跡のイベント「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(熱狂の日)」に今年、タイトルロゴデザインで参加した。「クラシック音楽の民主化」を掲げ昨年71万人を動員した音楽祭。今年も東京国際フォーラム・丸の内エリアでGWに行われる。
「短期間にものすごいたくさんの人が集まって作り上げる音楽祭ですよね。ロックフェスティバルはあるけれど、クラシックではほかに例がない。いろんな個性が集まりつつも、一つのテーマにまとまり、しかも見たことのないようなものになる。タイトルロゴはそれをそのままタイポグラフィーで表現しました」。

「クラシックはフランス料理みたい」

きっかけは大手音楽事務所KAJIMOTOとの別の仕事だった。クラシック界の状況とともに、KAJIMOTOの象徴的な仕事としてのラ・フォル・ジュルネを1年かけてリサーチし、コンセプトを深く理解した。
音楽が大好きだ。クラシック音楽にも好きな曲はたくさんある。それでもコンサートに行こうという気にはなかなかならなかった。「クラシックってフランス料理みたいなものだと思うんですよ。ただフランス料理には昔ながらの重いイメージとは違う現代的なものもある。店構えもカジュアルではないけれど軽やかな感じ、そういった新しいフランス料理が伝統を壊しているのかというと違う。ファッションでもデニムに合わせられるハイブランドのタキシードなど、フォーマルのあり方が変わってきている。そういう『現代に最適化されたあり方』というのがクラシック音楽にはあまり感じられなかったですよね」。

クラシックの本質を探る

本質を探り、あるべき姿を見出す。彼の仕事はいつもこのプロセスで生まれる。「最高の音楽を最高の環境で聴く、ということがクラシック音楽だと思うんですよ。現代に最適化されたもの=目的や本質に立ち返ることのできているものじゃないかな。形式にとらわれない本来のクラシックをラ・フォル・ジュルネはやろうとしている」。
クラシック音楽界では抜群の知名度を誇るラ・フォル・ジュルネ。しかし「実は僕も仕事をするまで知りませんでした。もっと知られていいと思いますね。こういうものを求めている人は大勢いるんじゃないかな」。


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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭 2010
クラシックの民主化をコンセプトに掲げ、音楽の世界に革命を起こした奇跡の音楽祭。今年のテーマは「ショパンの宇宙」。約45分と短いコンサートを、複数の会場で朝から晩まで数多く用意し、一流の演奏を低料金で提供し、毎年テーマとなる作曲家を設定してその全貌を紹介し、実力ある演奏家が一堂に会する……。天才プロデューサー、ルネ・マルタンによる革命的試みは、05年の日本上陸直後から日本でも大きな反響を呼んだ。
4月28日~5月4日、東京国際フォーラム全館及び周辺エリア
公演数:約300公演(うち有料公演約170)
主催:東京国際フォーラム 企画制作:CREA/KAJIMOTO
チケット発売:4月3日午前10時開始
問:LFJ音楽祭事務局 03-5221-9100(平日10:00-17:00)
URL:www.lfj.jp

文:羽田祥子(編集部) 撮影:川隅知明

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