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佐藤江梨子「人は一人で歩いていかなければならない」

佐藤江梨子「人は一人で歩いていかなければならない」

佐藤江梨子インタビュー「どういう状況になっても自分をなくすことがないように、一人で歩く練習をしなくちゃいけない」そう繰り返す佐藤さん。その言葉に女優として、そして人間として今グングン成長しているのだろうと感じた。

日常にいそうな人物を演じることが非日常だった

『キューティーハニー』のセクシーな如月ハニー、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の傲慢な澄伽(すみか)。今回『すべては海になる』では、打って変わり“日常にいそうな”書店員の女性・千野夏樹を演じた。
「4年くらい前に頂いたお仕事でした。それから今まで、ずっと“千野さん”というキャクターが自分の中にいたので、やっと上映されるという嬉しい気持ちでいっぱいです」。女優がオーラを消して“日常にいそうな”女性になるのは難しく思える。
「ナチュラルメイクでエプロンして、そのまま撮影の合間にスーパーへ買い物に行ったり、撮影してても周りにも騒がれないと、書店員の雰囲気がだんだん馴染んできて(笑)。私にはこういうのが非日常で、すごく楽しかったです」。

目指す女優像は…

 自分たちの普段の生活や、恋愛をしていれば交わされそうな台詞。心の奥までズキンと刺さる言葉。それが『時効警察』などの脚本や演出も手掛けてきた小説家、山田あかね監督の魅せる世界だ。
「監督は原作も脚本も書かれているので、小説と脚本の間の疑問はなかったです。でも稽古の時から思っていたんですが、監督が千野さんに見えてくることがあって。私が今回演じた千野さんって、実は山田監督っぽい要素を持った女性なんですよね」。

“愛は商売になる”などの衝撃的な台詞も出てくる。愛や人との関係について話すうちに、佐藤さんの人柄を垣間見た。
「相手は自分のことが好き、という状況を悪用する人って現実にいますよね。そういう人に比べたら、例えば最近聞く、恋をしたくない、恋愛せず面白く生きたい“非モテ”の人たちの方がよっぽど気持ちが純粋でいいと思います。でもそう言いつつも、人が育つには人しかいないんですよね。恋人でも友達でもいいから、人は大切にしてもらいたいんですけどね」。

 幾度か佐藤さんから「結局、人は一人」という言葉を聞いた。「彼と別れたとか、友達にカッコイイ彼ができたなんて些細なことで悲しんでいた自分がとても幼稚だったと思います。悲しいことがあっても、それを乗り越え進歩しなきゃいけない。結局人は一人なんですよね。この作品を通して、どういう状況になっても自分を無くすことがないように、一人で歩く練習をしなくちゃいけないと、より一層感じましたね。でも、弱く不安になる時ももちろんあります。そんな一人でいることに疑問を感じたり苦しくなった時、この作品は勇気を与えてくれると思います」。

 女優の魅力は、作品や文化に触れられること、そして人との出会いだという。憧れる女優は桃井かおりさん。「桃井さんがある賞を受賞された時におっしゃっていたコメントが、とても私の心に残るもので本当に感動してしまって。その時の悩みがその一言で吹き飛んだことがあったんです。ところが後日お目に掛かった時にその話をしたら、『私、それ言ったこと覚えてない』って(笑)! 私も桃井さんの様な器の大きい素敵な女優さんになりたいんですよね」。


『すべては海になる』
監督・原作・脚本:山田あかね
出演:佐藤江梨子、柳楽優弥
公開:1/23(土)より新宿バルト9、梅田ブルク7、名古屋ピカデリーほか全国ロードショー
配給:東京テアトル
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無為な恋愛を繰り返し、傷ついてばかりの書店員、夏樹(佐藤江梨子)。夏樹がセレクトした「愛のわからない人へ」という本棚は人気を呼んでいた。ある時、万引き事件をきっかけに、夏樹は高校生の光治(柳楽優弥)と出会う。光治はイジメに耐え、崩壊する家庭を一人で立て直そうとしていた。本を介してつながった二人はお互いを支えに距離を縮めていくのだが…。
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ヘアメイク: 大森裕行(VANITES) スタイリスト: 奥田ひろ子(ルプル)
衣装協力: CEST LAVIE(ワンピース)03-6419-9400/Merry by lirimanabell(ネックレス)03-5458-1801
アビステ(ピアス)03-3401-8101
文:鵜居かよ(編集部) 撮影:堂本正令

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