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佐々木希インタビュー「煌めく映像世界で彼女が手にしたものは」

映画『星ガ丘ワンダーランド』

佐々木希インタビュー「煌めく映像世界で彼女が手にしたものは」

ひらひらと静かに舞う粉雪、キラキラと輝くスノードーム、夜空を彩るライトアップされた観覧車。
息をのむほど美しいファンタジックな映像世界が随所に見られる映画『星ガ丘ワンダーランド』。
注目のCMクリエイターが手がける初監督映画に出演した佐々木希にこの作品の魅力について聞いた。

 ある田舎町にできた遊園地の繁栄と衰退を物語の軸に、母親に残された家族と突然新たな母親を迎え入れた家族。その美しい母の謎めいた死をきっかけに、二つの兄弟・姉弟の不器用な心の交流を描くミステリータッチの人間ドラマ『星ガ丘ワンダーランド』。監督を務めたのは気鋭のCMクリエイター・柳沢翔。GoogleやNTTドコモのCM制作などを手がける話題の映像作家がオリジナル脚本で挑んだ初映画作品だ。

美しい映像世界に魅せられて

 20年前の雪の降るある日。母(木村佳乃)は父(松重豊)と幼い兄弟(兄:新井浩文、弟:中村倫也)を残して去っていった、赤い手袋を片方だけ弟の温人(はると)に預けて。その母が帰ってくると信じ、とある駅の落とし物預り所で働きながら待つ温人――。
 その温人を演じるのは、TBSドラマ「下町ロケット」などで好演をみせた中村倫也。一方、母が選んだもう一つの家族の姉弟の姉・七海(ななみ)を演じたのが女優・佐々木希だ。
「ライトアップされた観覧車や光が透けて輝くスノードームなど、夢の世界にいるようなキラキラした映像がすごく印象的なんです。この映像の美しさや凝った演出を見るのもこの作品の楽しみ方の一つだと思います」と目を輝かせながら少し興奮気味に話す佐々木は、「スタッフ全員でモノづくりをしている感覚がとても楽しかった」と柳沢監督をはじめとした若さ溢れるこの撮影現場のことを嬉しそうに振り返った。
「普段は物静かな柳沢監督ですが、映像に対して強いこだわりを持っていて、胸の奥に秘めた熱い想いが感じとれる方。また、カメラマンの今村(圭佑)さんは、若い才能に溢れ、常に新しい映像手法にチャレンジする姿にとても刺激を受けました。もちろん、主演の中村倫也さんをはじめ、共演のキャストの皆さんと過ごす時間は、とても居心地の良いものでした」と柔らかな表情を浮かべる。
 彼女の魅力は周囲を和ませてくれるその明るくて柔らかな表情にある。この撮影現場でもその魅力が大いに発揮されたようで、柳沢監督も「とても明るく現場でふるって自らムードメーカーを買って出てくれた。撮影現場の華でした――」とインタビューなどで答えている。この話に触れると、「そんなことないですよ~、本当かな~?」と照れくさそうにしているところが何とも彼女らしい。

役者としての自信に満ちて

 そんな魅力に溢れた佐々木は、昨年末に念願の舞台を経験するなど、女優としての実績を積みながら活動の場を広げている。今回の作品の中でも印象に深く残る演技をみせた。それは、母の死をきっかけに出会うこととなった義理の兄弟の温人と心通わせる場面で、二人が新たな一歩を踏み出すためのきっかけとなる重要なエピソードの一つだ。
 その七海役について彼女に尋ねると、「演じるのが難しいと感じた半面、とても楽しみな役だとも感じました」と微笑み、七海という女性の心情を詳しく語ってくれた。
「撮影の間は七海のことがとても切なく感じられました。それは、育ててくれた義母のことを慕いながらも、血が繋がらないことで本当の家族にはなれないのでは……といった不安な気持ちを心の奥に仕舞い込み、頑張って生きている女性だったからです」
 そんな七海とは対照的に、自分の気持ちに真直ぐな弟の雄哉(菅田将暉)は、義母の突然の死を受け止めることができず、やり場のない憤りを姉・七海にぶつける。姉として弟の気持ちを受け止めようと苦悩する七海。
「私には二人の兄がいます。共働きだった両親に代わり、幼い私に料理を作ってくれたり世話をしてくれたりしました。この作品の七海と雄哉とは立場が逆ということもあり、七海とは重なる部分が少なく、むしろ同じ立場の雄哉の気持ちの方が理解しやすかったですね。言いたいこと言っちゃうんですよ、下の子は(笑)」
 そんな少し距離を感じるという七海役を演じるにあたり、演者として佐々木が取った方法は――
「誰にも経験があることだと思いますが、子どもは親を含め大人に気を遣う瞬間があります。自分の言いたい気持ちを押し殺す、その感覚を自分の中で増幅させ七海という女性を理解しながら演じました。この七海をはじめ、この映画の登場人物たちは、みな抱えているものが違い、その分いろいろな愛の形を見ることができます。人間臭さをきちんと描いているからこそ、きっと皆さんに共感してもらえると思っています」
 彼女はこの作品から役者として大切なことを、また一つ学んだに違いない。その自信に満ちた表情が、彼女を魅力的に輝かせている。今後の活躍が楽しみだ。 


c2015「星ガ丘ワンダーランド」製作委員会

©2015「星ガ丘ワンダーランド」製作委員会

『星ガ丘ワンダーランド』

3月5日(土)より全国ロードショー

Story

星ガ丘駅の近くにある、今は閉園してしまった遊園地、星ガ丘ワンダーランド。駅の「落し物預り所」で働く温人は、落とし物の持ち主を想像しては似顔絵を描くことが日課だった。そんなある日、20年前に姿を消した母の訃報が届いた。かつて笑顔と喜びにあふれていたワンダーランドで自殺をしたという。その死をきっかけに、温人は離れ離れになっていた兄、そして義理の姉弟と出会うことになる。そして彼らが出会うとき、閉ざされていた過去が明らかになっていく……。

出演:中村倫也 新井浩文 佐々木希 菅田将暉 杏 市原隼人 木村佳乃 松重豊
監督:柳沢翔
配給:ファントム・フィルム

公式サイト:hoshigaoka-movie.com

Profile

佐々木希(ささき・のぞみ)
1988年2月8日生まれ、秋田県出身。2005年「週刊ヤングジャンプギャルコン」、2006年「プリンセスPINKYオーディション」でグランプリを受賞し芸能界デビュー。以降女優としてもテレビドラマ、映画、舞台と活躍の場を広げる。主な出演作に『アフロ田中』(12/松居大悟監督)、『風俗行ったら人生変わったwww』(13/飯塚健監督)、『呪怨-終わりの始まり-』(14/落合正幸監督)、『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』(15/チアン・ショウチョン監督)、『呪怨-ザ・ファイナル-』(15/落合正幸監督)など。今後は『縁(えにし)~The Bride of Izumo~』(16/堀内博志監督)、「カノン」(16/雑賀俊朗監督)の公開を控える。

文|江崎充哉(編集部) 写真|福永晋吾

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