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江口洋介「義理人情としきたりの世界」

江口洋介「義理人情としきたりの世界」

脅しと本音とはったりがはっきりした世界。そして義理人情に深い。江口が考えるヤクザの世界だ。下町で育ち、町のヤクザを身近に見て育ったという。
この秋、ヤクザの世界を描いた舞台『シダの群れ』に出演する。小さな組の内部抗争や人間の欲望を描いた物語だ。組長の外腹の子で、頭が切れ、組長の長男よりもむしろ二代目に適任と思われている男という役柄である。「話の舞台となる岩松組は、どの町にもいる、町の権力者でもあって、町の人が困れば助けてもらいにいくようなヤクザ。家族が少し大きくなったような組織の中で、組を守る思いと欲望と、2号さんも含めた男女のいざこざが入り乱れていくんです。

昔ながらのヤクザには、日本人のDNAにある義理とか人情とか、ある時は指を詰めるというような責任をとるしきたりとかがはっきりとありますよね。ガキの頃から何となく親父から聞かされていました。お祭りにも入れ墨を入れた人が神輿に乗っているのを身近な感覚で見ていました」。
1987年のデビュー以来、ドラマや映画、音楽など幅広い活躍を見せる。舞台での活動を始めたのは近年だ。BUAISO世代にはトレンディドラマでの活躍が印象深いかもしれない。「舞台は時間を作るという感覚ですね。観に来てくれた人との数時間を作る。その日の観客のテンションで空気感が全く違う。ライブに近い感覚かな。1カ月以上リハーサルを重ねるのも舞台ならではだよね」。
演じる役柄が広い。趣味も釣りや車など幅広くそれぞれに造詣が深い。「節操なく色んなことに興味があるんですよ(笑)。色んな人間がいて色んな役がある。偏るより色々演じた方が面白い。いつも新しいものに挑戦していたいよね。なあなあになっちゃったらアウト。
今回キャスティングや脚本を手掛けた岩松了さんとは以前、映像で仕事をさせていただきましたが、その時『任侠ものをやりたいんだよ』とよくおっしゃっていました。岩松さんの世界観をどう広げていけるか、1カ月の稽古で思い切りやってみたいですね」。

42歳のBUAISO世代として、父親として、地に足をつけた視線を持つ。「閉塞的な世の中だ、ってあまりにもメディアが言いすぎている気がしますね。でも本当にそうなのか。メディアに流されないことが大事だと思う。考えようという意識を高めれば流されなくなるはず。
教育でも決まりごとを作りすぎて窮屈だよね。例えば公園でボールを打つこと。誰かがいたら当たって危ないけれど、誰もいなければやっても良いんじゃないか。そういう自分が判断する余地を残しておくべきだと思う。自分の判断、尺度が大事なんじゃないかな」。


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舞台『シダの群れ』
このドラマは、抗争を鎮圧し、やがて仲間の粛清に入り、一人の組員を阻害することで仲間意識を高めていくヤクザの組の物語である。あるいは、ヤクザの世界にとどまらぬ人間の営みの普遍がそこにあると理解し、組織を死守しようとする男と、それがヤクザの世界だからと別の世界を求め、そこを離れようとする男の、友情に似た内的抗争の物語――
9月5日(日)~29日(水) Bunkamura シアターコクーン
作・演出:岩松了
出演:阿部サダヲ、江口洋介、小出恵介、近藤公園、江口のりこ、黒川芽衣、尾上寛之、裵ジョンミョン、伊藤蘭、風間杜夫
お問い合わせ 03-3477-3244(10:00~18:00)
www.bunkamura.co.jp

ヘアメイク:勇見勝彦(THYMON) スタイリスト:熊谷隆志
衣装:Theory/リンク・インターナショナル(リンク・セオリー・ジャパンTEL 03-6865-0206)
文:羽田祥子(編集部) 撮影:川隅知明

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