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田辺誠一インタビュー「『愛してる』と素直に言える強さを」

田辺誠一インタビュー「『愛してる』と素直に言える強さを」

僕は僕のままでいい

 昔から人に合わせることが苦手だったと田辺は打ち明ける。
「初めてそう思ったのは中学時代。『遠足に行ったらお土産を買わなければいけない』という、見えないルールに縛られることにプレッシャーを感じました。欲しくもないのにみんなと一緒に手裏剣を買ってみたりして(笑)。無理をして人に合わせるという風潮は、日本独特だと思います」
 本作で田辺が演じた亮太のモデルとなった晃子の夫も、旅先ではあまりお土産を買わない。本当にその人にふさわしいもの、必要だと思えるものだけを贈りたいと考えるからだ。見つからなければ、見つかるときまで待てばいい。
「亮太の自然な生き方は僕と重なります。マイペースというか、縛られていないというか。僕も変わっていると言われることがありますが、端から人と違うことをしようなんて思っているわけではない。自分の信じる道をまっすぐ歩んでいたら、自然とそうなっていたという感じではないでしょうか」
 心に響いた亮太の言葉を、田辺は教えてくれた。
「自らの命をかけて出産する決意をした奥さんから『赤ちゃんが欲しい?』と聞かれたときに亮太は『選べない、どっちも欲しい』と答えます。本当は『おまえに生きてほしい』と言うべきなのかもしれませんが、僕はこの言葉にとても正直な愛を感じました。特に現代人は、人の顔色をうかがって行動する傾向が強いように思いますが、大事なことは誰を気にするでもなく、自分の大切な人に『愛してる』と素直に言える強さをもつことではないでしょうか」

理想は“相思相快”な男女関係

 性格や価値観に通じるものが多いと感じた今回の役柄は自然と演じることができたと言う。亮太の妻・晃子は、自らの意思を貫く強い女性だが、亮太に似ているという田辺も、やはり強い女性にリードされたいタイプなのだろうか。
「ついていきたくなるような強い女性も、守りたくなるようなか弱い女性も、どちらも好きです。タイプは特にありません。その人がそのときどきで見せる魅力に寄り添っていければ幸せです。男女にとってもっとも大事なのは、お互い無理せず、自然と楽しく過ごせる関係性だと思います」
 この自然体で暮らす心の余裕を、日本人にもっと感じてほしいと田辺は考えている。
「島国という閉鎖的な土地柄が影響しているのか、日本は諸外国に比べ『こうしなければならない』という固定観念がとても強いと感じます。それが個々のプレッシャーになり、さまざまな社会問題へ連鎖的に繋がっているような気がして残念でなりません。人間は本来、善なるものであるはずだから、その悪循環からいかに離れて生きるかが大事だと思います」
 そう話す田辺は、いったいどのような方法で日々のプレッシャーを遠ざけているのだろうか。
「趣味に没頭することでしょうか。今は建築模型作りに凝っています。設計図を引き、それを建築用の発泡スチロールで立体化するんです。それを眺めつつ『ベランダはもう少し広めにとろうかな』なんて考えながらお酒を呑むのが至福のとき」と、まるで少年のような無邪気な笑顔を覗かせる。
 現在、建設予定はないという夢のマイホームだが「建てるとしたら40坪くらいかな」と、堅実なところもまた魅力だろう。

田辺式「無有(ムー)大陸」理論

 デジタルマニアとしても知られる田辺が「ドラえもん以上に使える」と愛してやまないものとは何か。
「僕は家族でよく海外旅行に出かけます。プランニングも自分でするのが好きですが、知らない土地では右も左も分からないということもしばしば。そんな時、誰よりも力になってくれるのが、iPadです。ホテルやレンタカーの手配、レストランの検索など、できないことはないくらい優秀です。この前もiPadの地図を頼りに、スペインからアフリカまでドライブしました」
 デジタル製品について熱く語る田辺だが、ものを使う上では自ら決めたルールがあるという。
「どんなに便利なものでも依存すると後に自分が辛くなるだけなので、もしそれがなくても快適に過ごせるという心構えをもつようにしています。精神世界の話で、ムー大陸という理想郷がありますが、僕の中でその字は『無』と『有』がイコールの『無有大陸』だったような気がするんです。ものはあくまで物質に過ぎず、頼りすぎると人間は逆にものに使われる立場になってしまう。それはなんだか悲しいじゃないですか」と、自論を展開するが、実際に山奥で3日間、大好きなiPadが使えなければ「発狂してしまうかも」と苦笑する。
 飾り気のない、いい意味でマイペースな田辺に、Twitterでお馴染み“お得意の”イラストで今年の干支「蛇」を描いてもらった(誰が何と言おうと、蛇である)。

「2013年も楽しく自然体で、心躍るものを探しましょう」(田辺画伯)


メ~テレ50周年特別ドラマ「ゆりちかへ ママからの伝言」
<放送日>2013年1月26日(土)よる9時~ テレビ朝日系列24局ネット
<出演>常盤貴子 田辺誠一 十朱幸代
<原作>テレニン晃子「ゆりちかへ ママからの伝言」幻冬舎文庫刊)
田島安江「もう一冊のゆりちかへ テレニン晃子さんとの日々」(幻冬舎文庫)
<脚本>吉澤智子
<監督>若松節朗
<ストーリー>母の強さを知り、会いを受け取る物語。「私、お母さんになりたいの」――そんな思いを抱える主人公の晃子だったが、待望の妊娠と同時に奇しくも癌が発見される。夫や母、周囲の戸惑いをよそに、自らの強い意志のもと治療よりも子供を選ぶ決断をする。出産後、医師から余命半年であることを宣告された彼女は「いつか娘に伝えたいこと」を、未来に向けて綴り始める。「恋」「友達」「勉強」「お金」「おしゃれ」……。母が娘に残した愛のメッセージとは。故・テレニン晃子さんの同名手記に基づくヒューマンドラマ。

文:松永理佐(編集部) 写真:中島正之 スタイリスト:CaNN 中川原 寛 ヘアメイク:杉山裕則

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