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インタビュー/interview
BUAISOインタビュー
広島県知事 湯﨑英彦氏「瀬戸内 海の道構想」で瀬戸内ブランドを発信する
瀬戸内の多島美や穏やかな気候は、古来より朝鮮通信使や、明治以降はヨーロッパ人などからも讃えられてきた。
広島県は、県境を越えた連携を図りながら、この瀬戸内の魅力を国内外に向けて発信し、
観光振興や地域経済の発展に役立てたいと考えている。
「瀬戸内ブランド」の潜在力
瀬戸内海は、いにしえより海上交通の大動脈であり、朝鮮半島を経てユーラシア大陸につながる「海の道」であった。遣唐使船や朝鮮通信使、あるいは日本海から畿内に至る北前船が往来し、交流と交易で栄えた海の街道でもある。これら多くの船が潮待ち風待ち寄港した港町には、さまざまな文物が伝播され、芸術・文化交流の舞台、物流の拠点として栄えた。
瀬戸内の多島美や温暖な気候は古来より諸外国の人々を魅了してきた。シルクロードの命名者であるドイツ人の地理学者・リヒトホーフェンは「広い区域にわたる優美な景色で、これ以上のものは世界のどこにもないであろう。将来この地方は世界で最も魅力ある場所の一つとして高い評価を勝ち得、たくさんの人々を引き寄せるであろう。多くの類似点を持つギリシャ諸島よりも良い運命に恵まれんことを祈ってやまない(『支那旅行日記』)」と記している。
モータリゼーションが進み、陸路、空路での輸送が主流となるに従い、海運の時代に交通の要所として栄えた瀬戸内の港町が、少しずつ元気を失っているという危機感が湯﨑氏にはある。
「観光のポテンシャルとして、瀬戸内の持つ魅力は非常に大きなものがあります。広島県だけで考えても、多島美、厳島神社、大和ミュージアム、牡蠣・小魚などの水産物など、認知されるべき資源は多いのです。瀬戸内海地域ならではのこうした景観、芸術文化、食文化などの資源の優位性を改めて認識し、広島県としても役立てていきたいですね。例えば、北海道は地域としてのブランドイメージが世界に浸透し、観光客に分かりやすいイメージを与えています。瀬戸内の大きな魅力が、ブランドとして認知されていないことが非常に残念です。
現在の広島県への観光客数を見ると、欧米からの入国が多く、アジアからはそれほど多くありません。『瀬戸内海の道構想』の策定によって、今後の躍進が予測されるアジアの観光需要も取り込んでいきたいと考えています」。
地域資源を発掘し、
磨き上げて発信する
「10年、100年にわたる長期的なものとして『瀬戸内海の道構想』を捉えています。瀬戸内の良さは地元の人たちには深く浸透しているのですが、これまではっきりとしたブランドとして外にアピールすることをしていなかったように感じます。『見る』だけでなく『体験する』『空気を共有する』観光資源として、大いに発信していきたいと考えています。
瀬戸内ブランドとして特徴に挙げられる景観、芸術文化、食文化の3つの要素を前面に打ち出し、まずは日本国内の旅行好きな方々にアピールしていきます。尾道は、映画の舞台となった街であり、風情溢れる古民家が建ち並ぶ地域でもあります。しまなみ海道は、橋や島々の美しさ、ドライブやサイクリングや船で楽しむ体験、離島で過ごす日常とは異なる時間と空間を提供できます。
アートとしての切り口が瀬戸内には数多くあります。瀬戸内国際芸術祭などの芸術イベントも多く開催されています。大三島などに残る古い芸術は『数百年前の先鋭的アート』として貴重なものです。温暖な気候ならではの柑橘類などの農産物、瀬戸内海からの豊富な水産物が魅力であることは言うまでもありません。
これらの地域資源を改めて発掘し、磨き上げ、エリア全体としてつなぎ、発信することにより、『瀬戸内』のブランド力を高め、国内外からの観光客や交流人口が増加することで、地域経済の活性化と雇用促進を図りたいと考えています。将来的には、全世界の人たちに『瀬戸内』が認知され、一度ならず、二度三度と訪れたい場所として選ばれることを目指します」。
歴史や自然と観光とは切り離すことができないものだ。あとから作ることができないものだからこそ、観光資源としてきちんと活用することに成功すれば、ほかの地域がまねできない瀬戸内の優位性となる。瀬戸内海地域の持つ豊富な資源は、そうした意味でも非常に魅力的だ。
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