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旅行は自分でカスタマイズする時代 ネットが変える旅スタイル~エクスペディア  ホールディングス株式会社 代表取締役 兼ゼネラルマネージャー 三島 健 氏~

旅行は自分でカスタマイズする時代 ネットが変える旅スタイル~エクスペディア ホールディングス株式会社 代表取締役 兼ゼネラルマネージャー 三島 健 氏~

低価格で革命を起こしたLCCとインターネット旅行会社

 格安航空会社(Low Cost Carrier 以下LCC)が提示する低価格運賃の一因はインターネットによる直販である。
 旅行業界においてもインターネット旅行会社が急成長している。利便性と価格面が利用者に支持され、一大勢力となった。中でも94年にマイクロソフト社内の事業としてスタートし、現在、世界60カ国で事業を展開し、06年に日本でのサービスを開始したエクスペディアは、世界最大の規模を誇る。欧米をはじめ、アジアでも、旅行はカウンターの前で決めるのではなく、PCの前で決めるのが主流となってきた。
 日本では他国に比べて動きは遅いが、同様の潮流は明らかだ。旅行会社は、ホテルやパッケージ旅行商品を企画販売し、ホテルなどから手数料を徴収することでその収益を確保している。インターネット旅行会社のビジネスモデルに変わりはないが、店舗を持たない分、固定費がかからないのでより格安な価格の設定が可能となる。空席、空室状況に応じて売り出す数や価格を自由に設定できるなど、インターネットの特性を生かした自由度の高さも大きい。ひいては利用者の利便性向上にもつながり、インターネット専業の旅行会社が業績を伸ばしてきた。既存の大手旅行会社もインターネット販売と店舗販売の融合を図る戦略を展開している。
 エクスペディアとエアアジアによる合弁会社は、エアアジア航空券のオンラインによる第三社独占販売権を獲得し、世界各国でエアアジアの航空券を販売する。

まだ伸びる日本のインターネット旅行市場

 日本旅行業協会会員の08年の総取扱額は、前年比2.3%減の約8兆円だった。不況が騒がれ、ダウントレンドが続いていても依然巨大マーケットだ。しかし、世界最大規模のインターネット旅行会社から見ると、日本のオンライン旅行市場は今後の伸びが期待される未成熟市場のようだ。
「日本ではまだインターネット手配の比率は低いですね。だいたい旅行業界売上全体の8~十数%です。インターネット旅行会社創業の地アメリカでは50%以上、韓国では47%です。日本でも今後インターネット利用の売上比率は確実に上がっていくと思います。大きなPR展開をすることもなくエクスペディアの利用数は上がってきています。インターネットの利点として、価格がその場で一覧できるためホテルの比較検討がしやすい、航空券の発券までの時間が短いといった点が挙げられます。ただ、特に日本では相手の顔が見えないことに不安を持つ方も多いので、すでにインターネットを便利に使う方の成功体験をどう伝えるかというのは一つの課題です。
 エクスペディアが柱としているのは、恒常的に最低価格を保証するという『価格(プライス)』、いつでも、どこからでも利用できる『利便性(コンビニエンス)』、加えて自分の好きなようにカスタマイズできる『柔軟性(フレキシビリティ)』の3点です。特に柔軟性という部分は今後非常に重要になってくると思います」。
 自分でプリントアウトしたチケット、ホテルからの1度きりの確認メール。確かに利用経験のないユーザーは「本当に予約できているのだろうか」と不安に思うだろう。実際、インターネット予約で全くトラブルがないわけではない。しかし、インターネットショッピングが市民権を持ち始めている昨今、特に海外旅行経験者の中にはアレルギーなくインターネット旅行会社を上手に利用し、思うままの旅行を楽しんでいる上級者もいる。上級者ゆえに求める自由度も高い。そういったユーザーが増え、インターネット旅行会社が成長する中、エクスペディアはアジア最大手のLCCエアアジアと合弁会社を3月に設立したのだ。

エクスペディアには価格、エアアジアには知名度がメリット

「柔軟性を高める意味で、選択肢を増やすことは大事です。その点で、LCC各社との取引拡大はユーザーの期待に応えるためにも不可欠です。現職に就任した1月下旬以降もLCCについてはよく議題に上りましたし、世界的に波が来ていると実感しましたね。今回エアアジアと合弁会社を立ち上げたのは非常に大きな意味があります。エクスペディアのメリットは、世界で運営する22のサイトで、エアアジアの自社サイトと同じ価格で販売できることです。インターネット販売で限定的な値引きが可能なわけです。インターネット手配の利用率が上がり、価格競争が進む中で、この低価格のインパクトは大きいですね。逆にエアアジアはアジア最大手ではありますが知名度はそれほど高くありません。エアアジアにとっては新たな販売チャネルとしてエクスペディアの知名度を利用できるメリットがあります。もちろん、アジア以外のLCC各社とも交渉は続けています」。

エクスペディアとエアアジア


文:羽田祥子、川口奈津子(編集部)

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