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THE SPIRIT OF THE JAPANESE

カカオティエ・小山進に刻まれたクリエイトの原点

THE SPIRIT OF THE JAPANESE

一流と呼ばれる人には、いつまでも変わらない旺盛な好奇心や探究心をもつ人が多い。小山進氏もその一人。
パティシエ エス コヤマのオーナーであり、パティシエ、ショコラティエ、そしてカカオティエの顔を持つ。
彼は、2011年、フランスのショコラコンクールで初出品にして最優秀賞を受賞。
以降、5年連続最高位を獲得するほどの輝く実力を持ちながら、そこにとどまることを知らない。
何が必要なのかを問い続け、誰とでもなく、何ににとでもなく、自分との勝負に挑み続けている。

世界が認めるショコラティエ

京都に生まれ育った小山氏は、五条の路地裏が子どもの頃の遊び場。そこでは想像力を働かせ、怪獣、正義のヒーロー、どんなものにもなれた。そんな彼が名付けたショコラトリー「ROZILLA(ロジラ)」。名前は路地裏×ゴジラに由来する

京都に生まれ育った小山氏は、五条の路地裏が子どもの頃の遊び場。そこでは想像力を働かせ、怪獣、正義のヒーロー、どんなものにもなれた。そんな彼が名付けたショコラトリー「ROZILLA(ロジラ)」。名前は路地裏×ゴジラに由来する

 パリで開かれる世界最大のチョコレートの祭典、「サロン・デュ・ショコラパリ」の会期中にフランスでもっとも権威あるショコラ愛好会C.C.C.(クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ=チョコレートをかじる人たちのクラブ)のコンクールの結果発表が行われる。このコンクールに小山氏は2011年に初出品するといきなり最高位ならびに最優秀賞を受賞。初参加のショコラティエとしては史上初の快挙となり、2015年現在、5年連続の最高位を獲得、3度にわたり最優秀賞とのW受賞を果たしている。また、ロンドンで世界大会が開催される、国際的なチョコレートのコンクール「インターナショナルチョコレートアワーズ」にも2013年の初出品以降、金賞をはじめとする多数の賞を連続受賞している。
 そんな世界から注目される存在でありながら、驕り高ぶった様子は微塵もない。それどころか、快進撃を続ける小山氏から思いもよらない話を聞くこととなった。

思いっきり心配性なのです。

ショコラトリーのラボで一粒ずつ丁寧に作られたショコラは宝石のように美しい。小山氏の感性による、さまざまな素材とのマリアージュで生まれる香り高いショコラ。その至高の味わいに魅了される

ショコラトリーのラボで一粒ずつ丁寧に作られたショコラは宝石のように美しい。小山氏の感性による、さまざまな素材とのマリアージュで生まれる香り高いショコラ。その至高の味わいに魅了される

 2011年、初出品にして最高位を受賞すると喜びと同時に「なぜ自分なのか」という思いが込み上げた。そんな問いの答えを求めるかのように、作品で使用したカカオのことを探りたくなりマダガスカルに向かう。
「カカオをもっと知ることで何かに気付けると思えたからです。それからは、エクアドル、ベトナム、インドネシア、コロンビアと毎年のようにカカオ産地を訪れるようになったのですが、カカオのことを知れば知るほど知識の隙間に気付き、埋めようとするとさらなる隙間が生まれる。次々連鎖するように出てくる足りない部分を埋めることに懸命な日々です」
SUSUMU  KOYAMA‘S CHOCOLOGY 2014。C.C.C.にて最高位と審査員による評価が満点だった作品に与えられる「エクセレンス」のアワードを受賞。「味覚の錬金術師」と称えられている

SUSUMU KOYAMA‘S CHOCOLOGY 2014。C.C.C.にて最高位と審査員による評価が満点だった作品に与えられる「エクセレンス」のアワードを受賞。「味覚の錬金術師」と称えられている

 連鎖に終わりはないようだ。とはいえ、その言葉とは裏腹に小山氏の表情に曇りはない。むしろ、みなぎる意欲が伝わってくる。
「カカオ豆はワインやコーヒーのように産地によって味が大きく変わります。ベリー系のような酸味やナッツのようなフレーバー、緑茶のような風味を醸すものもあります。それら生の豆を口にするだけでボンボンショコラに仕立てる時のパーフェクトマリアージュが閃き、最高の味と香りが引き出せる着地点を分かるようになりたいのです」
 そして、カカオティエでありたいと続ける。
「既成のクーベルチュールからショコラを作り出すショコラティエではなく、カカオ豆の原産地や栽培から醗酵、焙煎に至る作業など、クーベルチュールになる前の工程に深く精通した表現者になりたい」
C.C.C.が毎年発行するガイドブック。エントリーされたブランドと、コンクールの審査結果が掲載されている

C.C.C.が毎年発行するガイドブック。エントリーされたブランドと、コンクールの審査結果が掲載されている

 クーベルチュールとは、製菓用チョコレート。メーカーが作る既製の原料チョコレートのことだ。これを作り出す職業を”クーベルチュリエ”と呼び、彼らが栽培から手掛けたカカオ豆、あるいは生産者から直接入手したカカオ豆から丹念に作り上げたクーベルチュールを用いて、パティシエやショコラティエ、カカオティエがチョコレート菓子を作る。
「私の中でクーベルチュリエは、チョコレートに関わる職種の中でも別格の位置づけです。高い知識水準であったり、先祖代々から継承された環境であったり、なりたいと思っても簡単になれるようなものではありません。ですから、その人たちの立ち位置に近い“カカオティエ”になりたいのです」


メイン画像解説

カカオはフルーツ。実の外側は硬い皮で覆われておりカカオポッドと呼ばれている。カカオ豆と呼ばれるチョコレートの原料は、ラグビーボールのようなカカオポッドの中にある白い繊維質の果肉に覆われた種のこと。そのまま口にしてもマンゴスチンやライチに似た甘みがおいしい。このカカオ豆を醗酵、乾燥させてから焙煎し、粉砕してペースト状にしたものがカカオマスとなる。土壌の特徴、カカオの品種、栽培環境、醗酵過程、乾燥に用いる手段、焙炒などさまざまなファクターによってチョコレートの味は変わってくる

PATISSIER eS KOYAMA(パティシエ エス コヤマ)

兵庫県三田市ゆりのき台5-32-1
TEL 079-564-3192
www.es-koyama.com

文|竹井雅美(編集部) 写真|バンリ 写真提供|パティシエ エス コヤマ

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