ホーム / Interview / BUAISOインタビュー / 安田顕インタビュー「愛しき脇役 『亀岡拓次』的 人生の歩き方」
安田顕インタビュー「愛しき脇役 『亀岡拓次』的 人生の歩き方」

映画『俳優 亀岡拓次』

安田顕インタビュー「愛しき脇役 『亀岡拓次』的 人生の歩き方」

「この俳優さんいいよね~! でも名前なんだっけ?」「確かあの映画やあのドラマにも出てたよね……!?」。
みなさんにもこんな経験あるんじゃないですか。名前は分からないけど、
映画やドラマで印象的な演技をみせる俳優や女優さんたち。
そんな脇役が主役(?)の映画『俳優 亀岡拓次』に、個性派俳優として今最も旬な男・安田顕が挑戦!
さて、どんな映画に仕上がったのか――。

 映画やドラマは、主役を引き立ててくれる脇役の存在があって初めて成立するもの。主役を引き立てつつも印象深い演技をみせる俳優のことを、「名脇役」や「バイプレーヤー」と呼び、注目するマニアも多い。最近ではバラエティ番組でブレイクした名脇役が話題になったりもしている。
 今回紹介する映画『俳優 亀岡拓次』は、まさにそんな脇役人生を淡々と歩む一人の俳優の物語。亀岡を演じるのは、映画やドラマを中心に、シリアスからコミカルな役までをこなす俳優の安田顕だ。「名脇役」との呼び声が高い安田が、なんと主演を務めるこの作品は、芥川賞に5度もノミネートされる、人気作家の戌井昭人の同名小説を原作に、2007年度日本映画監督協会新人賞に輝く、映像作家の横浜聡子が監督・脚本を担当している。
 そんな豪華な面々が手がけた『俳優 亀岡拓次』について、主演を務めた安田に作品の魅力について聞いてみた。

主役が脇役を演じる?

 安田が演じる俳優の亀岡拓次は、大物監督からインディーズまで、幅広い作品から声がかかり、泥棒やチンピラ、ホームレスなどいわゆる名もなき脇役を演じている。主演俳優が小さな役ばかりの脇役を演じるという、このユニークな設定が実に面白い。
「僕自身、この亀岡に対して、自分が置かれている環境や職業的にも、ポジション的にも、近しいものを感じています」
 亀岡を演じた安田自身も、この役柄には強いシンパシーを覚えたようだ。
 しかし、俳優が同じ俳優を演じるという難しさに対して、安田はどのような観点からこの亀岡という男の役と向き合ったのだろうか……。
「この作品で脇役を演じはしていますが、作品として求められている演技は違います」。こう切り出した安田は、演技に込めた彼への想いを口にした。
BUAISO_0003(selects) (2)「役名も与えられない脇役たちは、普段カメラのレンズに抜かれることはありません。ですから、自らフレームの中に入って行こうと、ついつい意識してしまいます。そのため、少しでも印象付けたいという欲求が絶対に拭えないはずです。でも、亀岡にはその欲求が無い。役に入り込まないこと。それが監督から作品に彼が呼ばれる理由なんでしょうね。ですから、僕は亀岡が小器用に映ったら失敗だと思ったんです。煩悩の塊なのに欲のない亀岡だからこそ、みんなに愛され、役者として重宝がられる。芝居に入り込むような演技をしないように心がけながら、僕は亀岡と亀岡が演じるであろう役を演じました」
 そんな亀岡を、同じ役者として安田は羨ましくも感じている。
「器用であれ、不器用であれ、亀岡は現場に愛されています。仕事をご一緒した監督や脚本家から、『彼を』と次回作に指名していただいた時の喜びは、僕にはすごくあります。亀岡には常にあるのだと思うと羨ましく感じますよ。僕自身にも少しずつそういう経験が増えてきていることがとても嬉しいですね」

ロケ地が醸す作品の空気感

 この作品では亀岡とともに日本各地の撮影現場を巡るロードムービー的な楽しみ方も味わえる。横浜監督が大友良英に音楽を依頼する際、ジャック・タチ監督のロードムービー映画『トラフィック』のサントラを渡したという話は、映画好きならニヤリとさせられるに違いない。
「この作品では、いろんな場所でロケをしました。長野県の諏訪もその一つ。ちょうどクランクインが春先で、まだ雪が降ったり、寒さが影響したり、僕も『諏訪っていろんな場所で撮影ができるんだな~』なんて考えたり。その土地が持つ空気感や醸し出される雰囲気など、ロケにはスタジオとは違う感覚ってあるんですよ。この作品には、そんなロケならではの雰囲気が随所に散りばめられていて、場所って(作品に)影響があるんだなって改めて感じさせられました」
 こう撮影を振り返った安田に、そのロケで起きた彼らしいエピソードで締めくくってもらおう。
「ロケ地でフィルム・コミッションの方たちから、激励の言葉と共に、僕の名前を書いたお酒を差し入れていただいたんです。『ありがたいな~』なんて思いながら後でそのお酒を見直したら、僕の名前の安田と映画の役名の亀岡がこんがらがったのか『安岡さんへ』って書いてありました(笑)。そういうところも含めて亀岡役はオーバーラップしますね(笑)」


宣材画像『俳優 亀岡拓次』

山形、モロッコ、三ノ輪、四谷・・・・呼ばれればどこへでも。
なるべく仕事は断りません。
“最強の脇役俳優”の不器用で愛すべき恋と人生。
笑って心温まる奇想天外エンタテインメント‼
2016年1月30日(土)、テアトル新宿他全国ロードショー
©2016『俳優 亀岡拓次』製作委員会

Story

亀岡拓次、37独身。職業は脇役メインの俳優。泥棒、チンピラ、ホームレス……演じた役者は数知れず。“最強の脇役”ぶりで仕事が途切れることはないが、プライベートは一人お酒を楽しむ地味な生活。そんなカメタクがロケ先で出会った居酒屋の女将・安曇(あずみ)に恋をして……。世界的巨匠からもオーディションの声がかかり、人生に大きな転機が訪れるのか……?

出演:安田顕 麻生久美子 宇野祥平 新井浩文 染谷将太 浅香航大 杉田かおる 工藤夕貴 三田佳子 山﨑努

監督・脚本:横浜聡子
原作:戌井昭人「俳優・亀岡拓次」(フォイル刊)
音楽:大友良英
製作:日活 アミューズ GYAO ローソンHMVエンタテイメント
クリエイティブオフィスキュー 北海道テレビ
2016年/日本/カラー/シネマスコープ

公式サイト:kametaku.com

Profile

安田顕(やすだ・けん)
1973年12月8日生まれ。北海道出身。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。舞台、映画、ドラマなどを中心に全国的に幅広く活躍中。出演する舞台、映画、ドラマでは硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。最近の映画出演作には、『龍三と七人の子分たち』(15)、『新宿スワン』(15)、『みんな!エスパーだよ』(15)ほか多数。またTVドラマにも多数出演しており、「アオイホノオ」(テレビ東京 14)の庵野ヒデアキ役や、「問題のあるレストラン」(フジテレビ 15)の女装ハイジ役、「下町ロケット」(TBS 15)など個性的な役が多い。

文|江崎充哉(編集部) 写真|福永晋吾 スタイリング|九(Yolken) ヘアメイク|西岡達也(vitamins)

Scroll To Top