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伊藤淳史インタビュー「30代は大事です!」

映画『ボクは坊さん。』

伊藤淳史インタビュー「30代は大事です!」

お遍路さんで有名な四国八十八ヶ所霊場の札所の一つ、栄福寺の住職・白川密成氏が
「ほぼ日刊イトイ新聞」にお坊さんの日常を綴った人気連載がついに映画化された。
普段知る機会が少ないお坊さんの世界には、笑いや涙、人生の学びが溢れていた。
そんな映画『ボクは坊さん。』の魅力について主演の伊藤淳史に聞いた。

プロの目にかなう演技を心がける

 お坊さんといえば、お葬式や婚礼など、人生の節目に関わる重要な存在だが、その世界を知る機会は意外にも少ない。そんなお坊さんの日常をテーマにした映画『ボクは坊さん。』が10月24日に公開された。
 主演を務めるのは俳優・伊藤淳史。ちょっと頼りなさげで、悩める青年を演じることが多い彼だが、今回の作品でも、祖父の死により突然寺を継ぐこととなり、不安や悩みを抱えながらも、幼なじみや檀家の人たちに支えられ、次第に頼もしい住職へと成長していく若き僧侶・白方光円を演じている。今回、お坊さんを演じるにあたり、彼がどのような役作りを心がけたか聞いてみると……。
「お坊さんの世界って、一般的にちょっと遠いイメージがあるかと思います。実際のお坊さんの日常を垣間見る機会もなかなか無いですし。もしかしたら、僕の演技に雑な部分があっても、一般の方には分かり難いかもしれません。でも、実際のお坊さんがこの映画を見て、『これはあり得ない!』と思われたら、その時点で間違いなく演者として失格です。その道のプロから見ても違和感のない演技を常に心がけましたし、そうでなければいけないと思いました」
 子役時代から役者の道を歩んできただけあり、30代という若さにも関わらず、役者としてしっかりとしたポリシーを持っていると感じられるコメントだ。役作りについて、このように答えてくれた彼は、今回のお坊さん役を演じるにあたり、ごまかしがきかないお坊さんならではの所作を学ぶため、クランクイン前に栄福寺に赴き、原作者の白川密成(しらかわ・みっせい)氏から直接指導を受けるなど練習に励んだという。
「栄福寺で実際に(白川)密成さんにお会いして、事前に練習してきたお経を聞いていただいたのですが、もちろんまったくダメで(笑)。その後、密成さん直々にお経やお勤めなどを猛特訓していただきました」
 そんな練習の甲斐もあり、見事白川氏から読経のお墨付きを得ることとなる。努力家の彼らしいエピソードだ。

今治市や高野山ロケでの経験

 本作では、今治市(愛媛県)と高野山(和歌山県)で、3週間にも及ぶロケが行われた。伊藤自身、とても役に集中できたと振り返る。中でも印象深いシーンとして、光円の成長を陰ながら見守ってくれた檀家の長老(イッセー尾形)の葬儀で、会葬者に説法を唱えるシーンを挙げてくれた。光円がそれまでの迷いを断ち、真に住職となった瞬間を描く、作品の中でも重要なシーンの一つだ。
「ご長老の葬儀で、会葬者に向けて話をするシーンがあります。最初に台本を読んだとき、この仏の教えに則った素晴らしい説法を、芝居とはいえ僕に話せるのか……。という不安な気持ちが正直ありました。今回の撮影では、ほぼストーリーに沿った手順で撮影が行われ、ご長老が亡くなられたシーンは、今治ロケの最終日近く。その間、休みなくお坊さん役を演じてきたこともあり、とても自然な形で撮影に臨むことができました。撮影前に抱いていた感覚と、実際にお芝居を演じきった後のギャップがいい意味で感じられた思い出に残るシーンです。真壁(幸紀)監督とも現場でよく話していたんですが、今回の作品は、原作の舞台である栄福寺や高野山で撮影ができたことに尽きますね。その場所が持つ空気感の中で演じられたことで、余計なことを一切考えず、役と芝居と作品に向き合うことができたことがとても大きかったと思います」

30代をどう生きるか

 昨年31歳になった彼は、この作品で初めて年下の監督との仕事を経験した。共演者にも年下の役者が多く、現場では積極的に上の世代と下の世代をつなぐことを心がけたという。そんな伊藤は同世代たちをどう見ているのだろうか?
「僕は先輩から役者の楽しさや活力、素敵な時間をいっぱい頂きました。僕はもちろんまだまだですが、年下の若い世代に少しでも何か与えられたらと考えています。僕と同世代の皆さんも、同じような立場の方が多いと思いますが、上の世代から受け継いだ大切なモノを、下の世代にしっかりと伝えて行くことも一つの役割だと考えています」
 30代は瞬間、瞬間に選択した道が、まるでジャブのように、その後の人生に大きな影響を与えると、最近考えることが多くなったという伊藤は、「日常のいろんな場面に、将来の自分にとって大切な何かが散りばめられていると感じます。『30代って大事だぞ!』って思いながら生活するだけでも、きっとその後の人生に違いが現れるはず。自分自身で『30代をどう生きるか』を常に考えながら生活することは大切ですね」と語り、あの人懐っこい笑顔で微笑んでみせた。


in_main1『ボクは坊さん。』

10月24日(土)より、全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
©2015映画「ボクは坊さん。」製作委員会

Story
白方光円、24歳。突然の祖父の死をきっかけに書店員の仕事を辞め、四国八十八ヶ所霊場、第57番札所・栄福寺の住職になったばかり。この寺で生まれ育ったけれど、住職として足を踏み入れた“坊さんワールド”は想像以上に奥深いものだった! 初めて見る坊さん専用グッズや、個性豊かな僧侶との出会いにワクワクしたり、檀家の人たちとの関係に悩んだり。お葬式や結婚式で人々の人生の節目を見守るのはもちろん、地域の“顔”としての役割もお坊さんには必要。職業柄、人の生死に立ち合うことで“生きるとは何か? 死ぬとは何か?”と考えたりもする。坊さんとしての道を歩み始めたばかりの光円に何ができるのか。何が伝えられるのか。光円は試行錯誤を繰り返しながら、人としても成長していく……。

出演:伊藤淳史、山本美月、溝端淳平、濱田岳、イッセー尾形

公式サイト bosan.jp

Profile
伊藤淳史(いとう・あつし)
1983年11月25日生まれ、千葉県出身。『鉄塔武蔵野線』(97/長尾直樹監督)で映画初主演をはたし、その後、映画やテレビドラマで幅広く活躍。主な映画出演作に『独立少年合唱団』(00/緒方明監督)、『海猿』(04/羽住英一郎監督)、『西遊記』(07/澤田鎌作監督)、『フィッシュストーリー』(09/中村義洋監督)、『踊る大捜査線』シリーズ(10、12/本広克行監督)、『ボクたちの交換日記』(13/内村光良監督)、『チーム•バチスタ FINAL ケルベロスの肖像』(14/星野和成監督)、『ビリギャル』(15/土井裕泰監督)など多数。公開待機作に『劇場版 MOZU』(15年11月公開/羽住英一郎監督)がある。また、ドラマ『無痛~診える眼~』(水曜22時/フジテレビ系)に出演中。

文|江崎充哉(編集部) 写真|福永晋吾

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