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菊池亜希子インタビュー「私が嫌いになれないもの……喫茶店とバタートーストかな」

映画『海のふた』

菊池亜希子インタビュー「私が嫌いになれないもの……喫茶店とバタートーストかな」

細く伸びた長い手足とマニッシュなショートヘア。
時に少年を思わせる少しアンニュイな表情に心奪われる。
そんな彼女が主演する映画『海のふた』がこの夏公開される。

 女優として注目が高まる一方、文化系おしゃれ女子の間では既に知れた存在の菊池亜希子。モデルを務めるファッション誌では、彼女のファッションやライフスタイルをまねる女性たちが続出。写真でも分かるとおり、すらっと長い手足にショートヘア、中性的な魅力に溢れた彼女は、自分のスタイルを好む女の子にとって、憧れの的なのだ。
 そんな彼女の主演映画『海のふた』がこの夏公開される。都会での生活に疲れ、生まれ故郷の西伊豆で、自分が好きだと思えるメニューだけのかき氷店を開く――。
 この作品の原作はよしもとばななの同名小説で、ファンにとっては待望の映画化。西伊豆の海辺の町を舞台に描かれ、映画化では、よしもとばななの故郷・土肥をロケ地に使うなど、小説の雰囲気を大切にした映画に仕上がっている。

どうしても嫌いになれないもの

 映画の冒頭で、西伊豆に戻ってきた菊池演じる主人公まりは、迎えに来てくれた幼なじみにここでかき氷店を開くことを伝える。幼なじみに「なぜかき氷のお店なの?」と尋ねられ、「どうしてもかき氷だけは嫌いになれなかったんだよね……」と答える。
 とても印象深シーンなのだが、彼女にも嫌いになれないものがあるかと尋ねてみると、まりの感覚に近い答えが返ってきて驚いた。
「私の場合は喫茶店ですね。それもおじいちゃんやおばあちゃんがやっているような昔ながらの喫茶店。私の実家の周りには、そんな喫茶店がいっぱいあって、両親が共働きだったこともあり、学校が終わると近所の知り合いのおばちゃんの喫茶店で一人お茶するような子どもでした。それに、家族でよくモーニングを食べに行ったのも楽しい思い出です(ちなみに彼女は喫茶店のモーニング発祥の地の一つといわれている岐阜県出身だ)。
 それと、もう一つ嫌いになれないものがあって、それは喫茶店で食べるバタートースト。業務用のパンにべっとりとバターを塗って、こんがりと焼けたトーストは、これからも絶対に嫌いになれない自信があります!」と人懐っこい笑顔で答えてくれた。彼女曰く、コーヒーから昇る湯気やおしぼりの匂いなど、喫茶店が持つ空気感といっしょに食べるからこそバタートーストもおいしいのだという。何だかその気持ちとっても分かる気がする。

学生時代から好きだったことが、今の私につながっている

 この飾り気のない気さくな雰囲気の彼女が、大好きなお店や喫茶店など、お気に入りをいっぱいに詰め込んだ街歩き本「みちくさ」(小学館)は、実際に彼女が街を歩き、路地裏に分け入って見つけだしたお店を、彼女の味のある手描き地図といっしょに紹介している。おしゃれ女子にはたまらない街歩きのバイブルだ。
 実は学生時代に都市と建築を学んでおり、大学時代に所属していた研究室では、常に街を歩き回って調査をし、その街の可能性をいつも考えていた。この学生時代の経験が現在の「みちくさ」や雑誌の企画につながっていると彼女は言う。ちなみに、彼女が編集長を務める「菊池亜希子ムック マッシュ」(小学館)は、累計32万部を超えるヒット本。まったく侮れない女性だ。
 映画の話に戻ると、まりがかき氷店を開く際、自分でお店の壁にペンキを塗ったり家具を作ったりするシーンがある。こちらも学生時代に学んだ身体の部位を使って空間のサイズを測る手法なんだとか。
「リハーサルで歩幅で部屋のサイズを測って見せたら(それも大股で)、豊島(圭介)監督に『何やってんの?』って聞かれ、『体の部位で大体のサイズが分かるんです』って答えたら、『それ採用!』ってなっちゃって(笑)。実際に家の棚のペンキなども自分で塗ったりしているので、ペンキを塗るシーンの腰の入れ具合の本気度もぜひスクリーンで見てもらいたいですね」

菊池亜希子=まりなのか?

 今回の作品のまりと雑誌やメディアを通して見えてくる彼女、そしてインタビューで見せる気さくな雰囲気。菊池亜希子=まりといった印象がどんどん深まってくる。この感覚について彼女に聞いてみた。
「そういった部分もいっぱいありますが、まりは瞬発的に思ったことを言い、本能的に身体が動く大胆なタイプ。そういう部分は、羨ましくもありました。まりと自分を重ね合わせて演じていたわけではありませんが、ロケが進むにつれ肌も日に焼け、気を抜いたらすぐにあぐらをかいちゃったりして、開けっぴろげな姿が画面に映し出されていると思います(笑)。実家にいると気が緩んでつい出ちゃう『あなたは女の子なんだから!』と母親に言われるあの感じが出ていると思います」
 まりの好きな物、こだわり、そしてひと夏の心の触れ合いで、ほどけていく心。「菊池亜希子≒まり」を、この映画を通してあなたにもぜひ確認してもらいたい。


kikuchi_2よしもとばななの同名小説、待望の映画化!
『海のふた』
7月18日(土)より
新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

Story

『海のふた』は、よしもとばななが原マスミの同名楽曲にインスピレーションを受けて執筆した新聞の連載小説が原作。よしもとが毎夏に家族で訪れていたという西伊豆の海辺を舞台に、東京での生活に疲れ、地元でかき氷店を開いたまりと、祖母を亡くしたことからまりの実家に預けられる顔に火傷の傷を持ったはじめちゃんのひと夏の交流や、心の再生を描く。監督を務めるのは、ドラマ『週刊真木よう子』、映画『花宵道中』などを手掛けた豊島圭介。

監督:豊島圭介
原作:よしもとばなな『海のふた』(中公文庫)
挿入歌:原マスミ“海のふた”
出演:菊池亜希子、三根梓、小林ユウキチ、天衣織女、鈴木慶一ほか
配給・宣伝:ファントム・フィルム
uminofuta.com

Profile

菊池亜希子(きくち・あきこ)
1982年生まれ。モデルとして活躍し、「菊池亜希子ムック マッシュ」編集長を努めるなどマルチに活動している。女優として映画『森崎書店の日々』で初主演。その後、映画『わが母の記』『深夜食堂』ドラマ『問題のあるレストラン』など映画・ドラマ・舞台と出演が続く。映画『グッドストライプス』公開中。

文|江崎充哉(編集部) 写真|村山玄子

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