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白と黒のカラースキーム @Go Ayano

映画『白ゆき姫殺人事件』

白と黒のカラースキーム @Go Ayano

この世にはどのくらいの数の色が存在するのだろう。
一説によれば、人が肉眼で認識できるものは、ある条件下で最大750万色。通常でも187万5千通りもの色が私たちには見えるという。
しかし、時に人は、目に映らないものにさえ色を見出す。例えば、情熱は赤、冷静は青といった具合に。それができうるのならば、彼が纏う色とはいったい……。
どこか捉えがたい特有のムードを醸し、時代を魅了する俳優 綾野 剛。演じるキャラクターごとにまったく異なる表情をみせ、自らに多彩な才能を開花し続ける彼の次なる出演作が、湊かなえ原作の映画『白ゆき姫殺人事件』。
無数の情報が錯綜する現代社会を、スリリングかつ重層的に描いた”ゴシップエンターテインメント”の世界観を通し、彼のカラースキームに迫る。

真実を探求する才能を成長させよ @Go Ayano

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他人の噂話や妄想から形成されたある人物の虚像(情報)がネットに飛び出し急速に拡がり、やがては限りなくリアルへと近づいていく。SNS全盛の現代において、決して他人事では済まされない恐の戦慄を覚える本作で、殺人事件の真相を追うツイート中毒の映像ディレクターを演じた綾野に、まずは役柄にちなんで、作品の印象をひと言つぶやいてもらうことに。すると彼は、しばし深く考えを巡らせた後、やや険しい表情を浮かべてゆっくりと口を開いた。
「……『真実を探求する才能を開花させよ』です。どういうことかと言えば、今、世の中に出回っている無数の情報にはすべて誰かの主観が入っているわけです。信憑性が高いと思しきニュース報道ですら、多かれ少なかれ、制作者側の視点から事象を取り上げ構成されていることでしょう。そう考えると、日々もたらされる情報を何でもそのまま真に受けてしまうのではなく、それが真実か否かを個々人がきちんと判断する力を養わなければならない。本作には、情報に流され、自ら考えることを怠りがちな現代人への辛辣なメッセージが含まれていると思います」
いきなりのシビアな洗礼に少々面食らっていると、彼は次第に表情を和ませ、「一番大事な部分を最初にお伝えできれば、後は雑談していても大丈夫でしょう」と笑いを誘う。彼にかかれば、周囲の空気すら如何様にも染め上がる。

気づきの布告

本作で演じた赤星は、事件取材で得た情報を次から次へとツイートし世に広めてしまう、綾野いわく「風も扇げないほどペラペラな薄い人間性をもった、浅はかな男」。そんなダメンズ役を通し、彼が表現したものとは。
「現代の大衆性です。そもそも、なぜみんなツイッターでつぶやきたがるのか。あくまで一理ですが、自分が発信源となって何らかの情報を流し、それに対して他者が共感してくれる高揚感を味わいたいからだと思うんです。その状態に酔いしれ、無責任にも正確さに欠ける情報を流してしまう赤星の姿に、自分を重ねる人はきっと多いのでは。今の世に蔓延する情報軽視の危うさに、早く気づいてほしいという思いで演じました」
それを踏まえたうえで、利便性の高いコミュニケーションツールとしてSNSライフを楽しんでほしいと、彼は添える。
現代人への「気づきの布告」というべき、警鐘的なメッセージが滲む本作の撮影では、綾野自身もその啓示を受けたようで。
「中村義洋監督の、役者に対する“気づかせの演出”はすごいです。例えば、あるシーンの撮影が終わり、次のスタンバイへ移るときのこと。監督が僕の傍に寄ってきて、耳元で『急ごう急ごう。何せ、綾野君はスケジュールがシビアで時間がないからね』とブラックジョークを。『すみません』と頭を下げそうになったそのとき、“赤星はそんなやつじゃないだろ?”という監督の声が頭の中で聞こえたような気がしました。カメ
ラが回っていないときの何気ないやりとりの中にも、役者からよりリアルな演技を引き出すための監督なりの演出が含まれているんです」
かねてより憧れだったという中村組への初参加を振り返る綾野。総じての感想を、「大収穫」以上の「全収穫」と、満足げな笑みで締めくくった。


映画『白ゆき姫殺人事件』

(c)2014『白ゆき姫殺人事件』製作委員会 (c)湊かなえ/集英社

(c)2014『白ゆき姫殺人事件』製作委員会 (c)湊かなえ/集英社

Story

誰もが認める美人OLが惨殺された。この不可解な事件を巡って、一人の女に疑惑の目が集まる。同期入社の地味な女性、城野美姫。テレビのワイドショー取材により、美姫の同僚・同級生・家族・故郷の人々がさまざまな噂を語り始める。加熱するテレビ報道、炎上するネット、噂が噂を呼ぶ口コミの恐怖、果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも……!?

出演:井上真央 綾野 剛/菜々緒 金子ノブアキ 小野恵令奈 谷村美月 染谷将太/蓮佛美沙子 貫地谷しほり 生瀬勝久 ほか

原作:湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』(集英社刊)

監督:中村義洋 脚本:林 民夫 音楽:安川午朗

企画・配給:松竹

2014年3月29日全国ロードショー

shirayuki-movie.jp

twitter @shirayuki_movie

 

インタビュー・文|松永理佐(編集部) 撮影|花村謙太朗

ヘアメイク|井村曜子(eclat) スタイリング|澤田石 和寛

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