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玉木宏インタビュー 「ある日、70億分の1の君と出逢うことについて」

映画『すべては君に逢えたから』 

玉木宏インタビュー 「ある日、70億分の1の君と出逢うことについて」

その出逢いを彼は「奇跡」と言った。やや下がり気味の優しい目尻に、ほんのり照れくささを携えて。俳優、ミュージシャン、写真家などジャンルを問わず多彩な才能を発揮し続ける、玉木宏。1998年のデビューから時を重ね、精悍さを増したその表情には、どこか大人の男の余裕すら漂う。そんな彼が意識し大事にするものこそ「出逢い」――出演作『すべては君に逢えたから』のテーマでもある。作品の世界観にも通ずる、彼自身の70億分の1の物語をお届けしよう。

Humanity

舞台はクリスマスシーズンの東京駅。1日100万人以上の利用者を誇るメガステーションを背景に、10人の男女が織り成す6つの愛の物語が交錯する。映画史に輝くラブストーリー『ラブ・アクチュアリー』の日本版をイメージしたという本作で玉木が演じるのは、過去の苦い経験から女性不信気の若き社長。ラブストーリーでは複雑な役柄だ。加えて本作は、ひとつの映画において複数のショートストーリーが同時展開する、これまで邦画には珍しいスタイル。短いスパンの中で難しい役柄を印象的に演じるにあたり、意識したのはある目線だったと振り返る。
「限られた時間の中で変に伏線を張った遠回りな演技をすれば、観客は混乱するでしょう。だから、怒る、泣く、感情をむき出しにしたストレートな業現を心掛けました。ある意味では、とても人間らしい役柄だったと思います」

この「人間らしい」は、役者としての現在のテーマでもある。
「若い頃には、どちらかといえばテンションだけでも演じきることができる役回りが多かったのですが、年齢とともに、人間らしい深い役柄をいただく機会が増えました。これはやりがいも、プレッシャーも大(笑)。だって、人間が人間を演じ、その人間を人間が見るわけだから、説得力がないとだめでしょう。それをもたせるためには、作っていく部分(演技)にプラス、自然とにじみ出るような人間味も必要も外せない要素だと思うんです。自分が何を経験し、人生をどう過ごしてきたかということが、演技を通し観客にはきっと伝わるはず。そう考えると、僕はまだまだ経験不足。だから今は食わず嫌いをせず、何でもチャレンジするよう努めているんです。もし食べてみて口に合わなかったら吐き出したって構わない、というくらいの心意気でね(笑)」

自分に返る場所

いつも役作りの際には、演じる役柄から自分をかけ離し、作品のイメージに徹するスタイルをとる。それは彼が俳優の役割を「作品のテーマを伝える素材」であると捉えているからにほかならない。出演作を通し、蓄積される経験値、豊かになる感性――そんな等身大の玉木宏を受け止めてくれるものが、音楽だという。
「俳優とミュージシャンは『表現者』という括りは同じかもしれませんが、スタンスは全然違うでしょう。そういう意味で、音楽は本当の自分を出せる場所。歌詞も書きますが、そこでは背伸びせず、ありのままの僕でいようと思っています」

70億分の1の奇跡

人生における幸福な奇跡を描いた本作。ところで、玉木は奇跡の出逢いを信じているのだろうか。
「信じます。だって世界人口は今や70億!その中で、ある日、ある時、ある場所で誰かと出逢うなんて、すごすぎる確率だと思いませんか。ましてその人と、互いの貴重な時間をともに過ごすことができるともなれば、こんなに素敵なことはないでしょう。そういう出逢い、大事にしたいですね」
視線を伏せ、手で髪をいじる姿は少し照れているようにも見える。
「でも、奇跡は必然だと思っているんです。偶然ではなく。出逢うべくタイミング、シュチュエーションで人は出逢っていると思う。あ、別に僕、ロマンチストではないですからね(笑)」

奇跡の法則

奇跡について、自らの思いを切々と語るロマンチスト(!?)の実体験が気になるところ。
「人生を動かすきっかけとなった出逢いはいろいろあるけれど……。僕は子供の頃から大のテレビっ子で。テレビに出たいという一心で俳優を目指してきました。そして今、テレビだけではなく、映画や舞台にも出演できているという意味では、現事務所社長との出逢いが奇跡でしょうか(期待はずれかな……笑)。恋に仕事に、人生のいろいろな場面で、人それぞれに奇跡の出逢いは起きるはず。でも、それを輝かせることができるかどうかは自分次第だと思うんです。アンテナを張り巡らせて奇跡に気づいたら、時には、幸せを掴むために自らアクションを起こすことが大事。勇気を出して!」

恋(濃い)しいものたち

そんな玉木は、カメラの趣味が高じ、近年では写真家としての活動もスタートさせた。
「つい先日は、撮影の仕事でミャンマーへ。趣味と違い、あらかじめ撮影テーマが決められているなど難しさを感じる点もありますが、それも自分のステッアップに繋がると前向きに捉えています。実は最近、仕事で東南アジアに行く機会が多かったのですが、久しぶりに帰ってきて、四季の趣と食事の美味しさに改めて感動しました」
名古屋出身の玉木が恋しくなった味とは、もしや……。
「味噌味(笑)。味噌カツ、味噌煮など、地元・名古屋の濃い食文化が大好き!東京でもよく食べるんですよ」

Wish you a happy winter

来年、開業100周年を迎える東京駅と6つの愛の物語が幸福な出逢いを果たし誕生した本作には、玉木自身も特別な思いがあるようだ。
「東京駅は、俳優になるため上京した僕にとって、まさに夢の玄関口でした。日本のような小さな島国で、今回のようにどこかひとつの場所をテーマに映画が作られることは、これまであまりなっかったと思います。そうした新鮮さとともに、ほっこりとした温かい気持ちをお届けできれば幸せです」

tamaki


映画『すべては君に逢えたから』 ~クリスマスシーズンの東京駅発、幸せを願う男女10人の6通りの愛の物語~

Story

人間不信に陥ったウェブデザイン会社社長、仙台と東京の遠距離恋愛、母親と過ごすクリスマスを夢見る少女、余命3ヵ月を告げられた新幹線の運転士、気になる先輩に告白できない女子大生、49年前の果たされなかった約束――。それぞれが抱える思いが、クリスマスをきっかけに動き出す。毎日何万人もの人とすれ違うなかで、たったひとりに出逢う〝奇跡〟によって生み出される一人ひとりのストーリー。年代も境遇も性格も、バラエティに富んだ10人の中に、きっとあなた自身も見つかるはず。

出演:玉木宏 高梨臨/木村文乃 東出昌大/本田翼/市川実和子/時任三郎 大塚寧々/賠償千恵子 小林稔侍

監督:本木克英/脚本:橋部敦子

(c)2013『すべては君に逢えたから』製作委員会

(c)2013『すべては君に逢えたから』製作委員会

制作プロダクション:白組 特別協力:JR東日本 企画協力:ジェイアール東日本企画 配給:ワーナー・ブラザース映画

11月22日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー

Profile

玉木宏(たまき・ひろし)

1980年愛知県出身。『ウォーターボーイズ』(01)で注目され、NHK連続テレビ小説『こころ』(03)で全国的にその名を知らせる。続く『雨鱒の川-初恋のある場所-』(04)で初の映画主演を務める。その後、高視聴率をたたき出したTVドラマ『のだめカンタービレ』(06/CX)に出演、映画版も大ヒットし、不動の人気を獲得する。主な出演作は『MW-ムウ-』『真夏のオリオン』(09)、中国映画『銅雀台』(12)など。次回作は『神様はバリにいる』『幕末高校生』(14)。

インタビュー・文|松永理佐(編集部) 撮影|花村謙太朗 ヘアメイク|渡辺幸也(ELLA) スタイリング|尾辻ますみ

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