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UQ WiMAX が切り開く新たなモバイルインターネットの未来 UQ コミュニケーションズ 代表取締役社長 田中孝司

UQ WiMAX が切り開く新たなモバイルインターネットの未来 UQ コミュニケーションズ 代表取締役社長 田中孝司

既存キャリアとは全く違うもの

今回UQブランドで発売されたデータ通信カードの入るパッケージはメタリック・ブルーだ。イー・モバイルや NTTドコモなどのイメージカラーは暖色系である。田中孝司社長によれば、既存のキャリアによるサービスとは全く違うものだということを前面に打ち出したかったという。
「従来の携帯電話(3G)はCDMAという技術に基づくものですが、我々のネットワークはWiMAXという技術に基づいています。技術面だけでなく、ビジネスの展開面でも大いに違いがあります。携帯電話会社のサービスは、端末とネットワークとコンテンツをセットにして売るという『垂直モデル』です。これはある意味、排他的なやり方で、資金力のあるキャリアしか参入できない形態になっています。これに対して我々は、ネットワークとデバイスをオープンにします」。

左が3G、右がWiMAXを表す。3Gは電話の基本性能である音声通話をベースに拡張、WiMAXはブロードバンドアクセスに特化して進化と、両者はそもそも生い立ちが全く異なる。

ここでいうデバイスのオープン化とは、UQのネットワークがカーナビ、情報家電など様々なメーカーによる多様なデバイスとつながるということである。 「UQブランドの製品でなくてもUQのネットワークにつなぐことができる」――ここが3Gとの決定的な相違点だ。「この違いを料金面から話すと分かりやすい。UQのサービスは、月額4480円というシンプルなものです。この月額4480円というのは、家庭に対する一つのパイプだと思ってください。
そしてここからが大きな違いになるのですが、3Gの場合は、カーナビにもモバイルインターネットを入れようとすると、新たに3Gのカードを入れて携帯電話1台分の月額料金を払わなければなりません。ところがUQの場合はカーナビが2台目の追加端末と見なされ、月額200円の追加料金で済みます(※2010年1月末まで無料)。200円ならカーナビにもつないでみたいと思う人が多いのでは」。

例えば家族が離れて生活していても、時間さえ重ならなければこの4480円のパイプを共有することも可能だ。現在はこの機器追加オプションを3台までと制限しているが、今後はもっと増やしていきたいと田中社長は息巻く。IT化の流れの中、すでに10年来「情報家電」と声高に唱えられてきたが、実は絵に描いた餅に過ぎなかった。ほんの少ししか使わない多くの家電機器に、3Gの世界ではコストがかさみすぎて現実味を帯びなかったのである。WiMAXの登場によ り、ようやくこの世界が実現し、新しい市場、新しいライフスタイルが生まれる。

ネットワーク開放による新しい市場

この料金モデルが実現する背景には、WiMAX技術による通信モジュールが3Gに比べて格段に安く済むことにある。現在の3Gの世界では、キャリアから販売代理店に渡る販売奨励金によって市場価格が成立している。言い換えると、実際の通信モジュールのコストは市場価格より高く、販売奨励金によって市場価格が下方調整されているのだ。この市場構造では、キャリアが販売奨励金にかかるコストを回収するまでの期間が弾き出され、値段が硬直化してしまう。ユーザーは契約期間に縛られることになるのである。つまり3Gの垂直モデルは、デバイスに拘束されており、トラフィック (通信量)はもとより、新しい自由なビジネスモデルの構築を阻害していると田中社長は指摘する。
「だからWiMAXの世界では、回線をMVNO(仮想移動体サービス事業者)にもオープンにするのです。既存業者で価格の叩き合いをするのではない。ネットワークを開放すれば新たな市場が生み出されるはずですから」。

新しい市場について、第一歩として田中社長の描く世界はこうだ。
「個人的な気持ちとしても欲しいなと思うのは、携帯電話に加える2台目端末。2台目について、僕はスマートフォンとは違うものだと思っています。携帯電話で長いメールを打つのではなく、キーボードの付いたパソコンがもっと使いやすくハンディなものになって然るべきだと思うのです。
今の3Gは、すでにいろんなアプリケーションが入っていて、その中から自分が選ぶ仕組みです。でも本当に便利なのは、自由にインターネットにつなぎ、自分仕様にできること。これからのビジネスパーソンは間違いなくこの2台目端末を必要とするでしょう」。
第一のパートナーとしてインテル社が資本参加していることは大きな強みだ。2台目端末の実現には、バッテリー稼働を前提とした省電力でも高いパフォーマンスを発揮するCPUが不可欠だが、CPU技術で世界をリードするインテルと手を組むとなればUQには追い風となる。
2台目端末を皮切りに、カーナビ、情報家電などへと市場はますます広がっていくだろう。

新幹線、駅、空港…真の「いつでもどこでも」を実現

7月1日から有料サービスを開始したUQ。総務省へ申請した計画よりも前倒しで進めているサービスエリアの展開だが、まだまだこれからだ。現在は東名阪を中心としているが、2010年度末には全国主要都市へ拡大、人口カバー率76%を目指す。
早々、約400万人と見込まれるビジネスユースに向けて、使える場所が「点」である無線LAN(Wi-Fi)とのローミングを図りながら、UQは使える 場所を「面」に展開していく。移動中も「いつでも・どこでも」インターネット接続を実現する。この秋(10月1日~)からはオプション料金無料で、東海道 新幹線N700系内をはじめとした主要交通機関を中心に、駅・空港などでのWi-Fiサービスを提供する。

UQは、加入前にエリアとパフォーマンスを確認してから契約できるよう、15日間利用料無料という「Try WiMAX」なるサービスを用意している。また、10月1日から、海外からの出張者などに便利な1日利用プラン(日額600円、24時間利用可能)も設ける。
「先日、村井純先生から言われたんです。『WiMAXのビジネスモデルは、インターネットのビジネスモデルと同じ(モバイル版)だよね』と」。
「ミスター・インターネット」と評される重鎮からの期待と称賛を言葉にすると、終始にこやかな田中社長の表情が一層ほころんだ。インターネットの広がりが世界に革命を起こしたように、WiMAXの普及はこの世に全く新しい市場を作る――田中社長は日本から世界へと、新しいモバイル・ネットワークの未来を切り開く。


田中孝司(たなか・たかし)
1957年大阪生まれ。京都大学大学院工学研究科電気工学第2専攻修了後、79年に国際電信電話(現・KDDI)に入社。IP事業やソリューション商品開発、モバイルソリューション事業に携わり07年に取締役執行役員常務に就任。同年8月、ワイヤレスブロードバンド企画(現・UQコミュニケーションズ)の設立にともない、代表取締役社長を兼務

発行人後記
日本のインターネットインフラ環境は「はやい、やすい、うまい(質がいい)」で世界一である。UQ WiMAXの接続範囲が広がれば、高速・ユビキタスという点でも他国の追随を許さない。ワークスタイルやライフスタイルが激変する中、時間と空間の制約を 自由にする高速モバイル環境は時代の申し子かもしれない。“Addicted to Connected.” 移動職である私には天恵に思える。

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