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1/レンズ越しの世界

生きていくのに最低限必要なものと、カメラとフィルムだけを持ち、人生の旅に出る――。

1/レンズ越しの世界

刺激という名の香辛料を求めて

 どうしてだろう、あの国を目指したくなった。考え始めたら、止まらなくなった。かの地で途轍もなく渦巻いているであろう何かに、身を投じてみたくなったのだ。アポロニウスも、マニ教の創始者であるマニも、そうだったのだろうか。大航海時代には、数々の船乗りもこぞってインド大陸を目指し、昔からインドへも旅が尽きることは無かった。この国には、時を超えて人々を引き付ける、何か魔力みたいなものがあるのかもしれない。

 きっと行きたいとか、行きたくないとかそういう気持ちには関係なく、自然と呼ばれて向かってしまう場所。そうして辿り着いてみても、やはりインドは期待を裏切らない。街並みのどこへ視線を向けても色鮮やかで、何度も感嘆の声を上げる。息が詰まるほどの人の多さに慄き、同時に客引きの多さに辟易する。カラッカラに乾燥した強烈な暑さに生きていることを実感し、朝から晩までカレー料理という食習慣に絶望さえ感じる。
それでも――。

〝インドの普通〟は全て極端で、度を越えている。礼拝堂だと思っていた巨大なタージマハールも、実は一人のための墓だった。天を仰ぎ見るような圧倒的なスケールと、計算し尽された美しいフォルムと、王妃を想うあまりの愛のカタチに、この国で初めての涙を流す。インドに来てからとういうもの、いつも感情を振り回されてばかりだ。でもそれは不思議なくらい心地いい。


花村謙太朗 / Kentaro HANAMURA

1984年3月4日生。愛知県出身、東京都在住。旅で写真を撮り始めたことを機に、フォトグラファーを志す。ポートレート写真家・山岸伸氏に師事し、2011年6月に独立。人物、風景を主に被写体とし、活躍の場は広告、雑誌、WEBなど多岐に渡る。

 

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