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BERLIN~遺跡・絵画・彫刻・戦跡 ベルリンで出合うミュージアム・ホリデー~

BERLIN~遺跡・絵画・彫刻・戦跡 ベルリンで出合うミュージアム・ホリデー~

文化大都市ベルリンを往く

 ドイツ連邦共和国の首都ベルリン。冷戦時代、その象徴ともいえる存在だったベルリンは、大小170以上の博物館・美術館・宮殿などが集まる文化都市でもある。カレーソーセージやビール、バウムクーヘンは脇へ追いやり、今回は文化的側面にスポットを当ててベルリンを旅する。
 ベルリンに集まる文化的遺産は多種多様だが、大別すると古代遺跡・建造物・発掘物といった歴史的遺産、中世から現代までの絵画・彫刻といった美術的遺産、またベルリンの壁に象徴される後世に語り継ぐべき世界大戦の記憶と記録に分けられる。
 ドイツはイギリス・フランスと並んで近東、エジプト(オリエンタル)の発掘を経済的にも人的にも積極的に行ってきた。バビロンのネブカドネザル宮殿や空中庭園を発見したり、シュメール文明を発掘した。またドイツの発掘チームは足掛け100年でエジプトの発掘を行っており、パピルスが大量に出土したアブシールや、紀元前1535年ごろの首都アル・アマルナの発掘を行い、考古学的に成果を残している。これらの発掘物も、世界屈指の絵画コレクションも第2次世界大戦後、ソビエトやアメリカに引き取られたり、東西ドイツ、東西ベルリンに分けられたりと、バラバラになっていたが、東西統一後、それらのコレクションも再び統一を果たした。その名も「博物館島」があるミッテ地区や、文化フォーラムのあるポツダム広場周辺は、歩いて行ける範囲に博物館・美術館が集まっているのが嬉しいが、それぞれすべてを見て回るには丸1日を費やす必要があるだろう。
 3日間有効のミュージアムパス(大人19ユーロ)は60もの博物館・美術館に入場可能で、人気トップ10に入る新旧国立博物館、エジプト博物館、ペルガモン博物館、ユダヤ博物館なども含まれる。ほとんどの施設ではオーディオガイドがついており、3カ所以上回ればおつりがくるお得なチケットだ。木曜は閉館時間が遅く、日帰りツアーや市内観光の後でも十分見て回れる。逆に月曜は休館しているところが多いので、行程を決める際に考慮すると無駄がない。

ANCIENT

古代遺跡・彫刻との出合い

ドイツ考古学100年の集積

 新旧国立博物館を含む5つの博物館・美術館が立ち並ぶ「博物館島」にあるペルガモン博物館。ここほどダイナミックな室内博物館は他に類を見ないだろう。入口を入るとすぐ、博物館の名前でもあるペルガモン王国(現トルコ)の大祭壇へと続く階段が来訪者を圧倒する。紀元前170年ごろの「ゼウスの大祭壇」は、その土台が神々と巨人族との戦いを描いたレリーフで飾られている。鉄道技師であり考古学者でもあったカール・フーマンらによって1873年から1886年にわたって発掘されたもので、ヘレニズム期の傑作と言われている。全長100mにわたる壮大なレリーフの中でも、処女神アテナが不死身の巨人アルキュアネウスを大地から引き抜き、打ちのめそうとしている場面が有名だ。残念ながら女神の顔は崩れ落ちてなくなっているが、力強い女性の姿が描かれている。それぞれの神の名前はレリーフ上部や下部に刻まれ、当時の人々もそれを見ながら神話の世界を楽しんだという。
 ゆっくり回っている時間がないという人には30分のハイライトツアーがお勧めだ。日本語のオーディオガイドに沿って進んでいくと、エーゲ海の町ミレトゥスの市場門が現れる。1100年ごろに起こった地震と、世界大戦からのダメージに耐えてきた高さ約17mの門は、ダークグレーで荘厳な雰囲気が漂う。また目の前にあるモザイクが見事だ。ハープを持った少年とさまざまな動物が静と動で表現されている。続いて市場門をくぐると、鮮やかな青が目に飛び込んでくる。「イシュタール門」といわれるバビロニアの遺跡だ。およそ紀元前575年に愛と戦いの女神イシュタルに捧げるために建立された。毎年新年を祝って、神々の像がこの門をくぐりその先に続く道を行進したという。脇の壁には行列に付き添うようにライオンの像が描かれている。

左:頭はライオンで体は女性のセクメト像<br />右:鮮やかなターコイズブルーで彩られた「イシュタール門」

左:頭はライオンで体は女性のセクメト像
右:鮮やかなターコイズブルーで彩られた「イシュタール門」

 同じく博物館島にある新国立博物館は、第2次世界大戦中に爆撃で損傷し70年間放置されたのち、2009年に再開された。エジプトとパピルスコレクション、先史時代・古代史コレクションが集められている。特筆すべきは、エジプト新王朝のファラオ、アメンホテプ4世の正妃ネフェルティティの胸像だ。古代エジプトの彫刻家トトメス作といわれ、その工房跡から1912年に発掘された。発掘にあたったドイツの考古学者ルードウィヒ・ボルハルトが発掘物の分配で胸像を獲得し、ドイツへ持ち帰った。撮影が自由なベルリンの博物館にあって、この展示室だけは撮影が禁止されていることからも価値の高さがうかがえる。キリッと結んだ唇、すっと通った鼻筋、涼しげな目元、ネフェルティティは古代エジプト女性美の象徴として、多く模倣されている。同博物館内にもいくつかネフェルティティ像があるが、この胸像に勝るものはない。エジプト政府が返還を求めているのも頷ける。

 先史・古代史コレクションの中で興味深いのは南ドイツで発見された青銅器時代の「ゴールド・ハット」だ。70cm以上もあるコーン型の黄金の帽子は、大きさ、形もさることながら、そこに刻まれた模様が驚きだ。ぐるりと飾っている目玉のような真ん丸の模様、実は月の満ち欠けを描いた太陰太陽暦なのだという。およそ57カ月の暦が1つの帽子に刻まれている。紀元前1000年から800年に作られたと見られているが、当時の天文学の高いレベルが窺える。新国立博物館はペルガモン博物館とつながる予定で、その入口には頭がライオンで体が人間の女神セクメトの像が鎮座している。

ドイツ地図

ドイツDATA
国名:ドイツ連邦共和国/面積:35.7万平方キロメートル(日本の約94%)/人口:8,180万人(日本の約64%)/首都:ベルリン(人口約344万人)/主要産業:自動車、機械、電子工学、化学など/実質GDP(単位十億ユーロ):2,248(2010年、欧州1位)/実質GDP成長率:3.6%(2010年)/1人当たり名目GDP:30,569ユーロ(2010年)/財政赤字対GDP比:―3.5%(2010年)/ドイツは日本にとり欧州最大の、日本はドイツにとり中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国/2011年は「日独交流150周年」/ベルリンへのアクセス:ヨーロッパ各都市経由で成田から約13時間


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