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-Intercity- 天上から落ちた仙人の宝石 China

九寨溝に魅入る

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その昔、天上にはタガという男の神とひとりの仙女が住んでいた。
ふたりは仲が良く、男は、風と、雲と、太陽の光からなる宝鏡を愛する彼女に贈った。
ある時、悪魔のいたずらで、仙女の手からするりと鏡が落ちると、地上で砕け、散らばってしまった。
その破片は108に分かれて山を彩り、森の中で美しい湖となって姿を変えたのだという。
ガラスのように澄み切った水、湖の底に何千年も横たわる樹木、果てなく続く金色の芦の原。
ひとたびこの地に足を運べば、その伝説は真実だったと知るだろう。
それ程までに、九寨溝は美しい。
これは、ふいに天上から落ちてきた仙人たちの宝石なのだ。

水と森が生んだ奇跡の秘境、九寨溝

五花海(ごかかい)…九寨溝の中でも特に呼び声の高い湖。豊富な藻類や湖底に沈殿する植物などによって、赤、橙、青、緑など多様な色彩を見せてくれる。展望台からの眺めもまた格別。“九寨溝一絶”(九寨溝にしかない景色) と讃えられていることには納得の他ない。

五花海(ごかかい)…九寨溝の中でも特に呼び声の高い湖。豊富な藻類や湖底に沈殿する植物などによって、赤、橙、青、緑など多様な色彩を見せてくれる。展望台からの眺めもまた格別。“九寨溝一絶”(九寨溝にしかない景色) と讃えられていることには納得の他ない。

 四川省の西部にある九寨溝は、もともと「寨」という9つのチベット族の集落があったことから名付けられた。標高2000メートルから3400メートルの渓谷に、鬱蒼とした原生林の中、青く澄みきった108の湖が点在する。それを14の滝がつないで、まるで棚田のように連なるカルスト地形を総じて、九寨溝という。
 1970 年代に、森林伐採の労働者によって偶然発見されたという九寨溝は、絶滅危惧種に指定されているジャイアントパンダや孫悟空のモデルであるキンシコウなどの生息地としても知られる。
 この地は3、4 億年前は海の底だったと言われている。その後、地殻変動により貝やサンゴが堆積した石灰岩が地上に姿を現した。そして、湧き水にたっぷりと含まれた石灰(炭酸カルシウム) のおかげで不純物は沼底に沈殿し、透明度の高い水が生まれた。湖底に佇む倒木にも石灰は付着し、水中に美しく咲いた「石灰華」という樹氷を見ることができる。
 そうして、水底に積もった真っ白な石灰や苔、水中の浮遊物、水面で反射する太陽光などによって、水の色は青、緑、黄など神秘的な変化を見せてくれる。これこそが幾通りにも光り輝く九寨溝の色の秘密となっている。
 石灰は、森の形成にも大きな役割を果たしている。木の葉や土でせき止められていた堰を固め、堤を経て、やがて天然のダムへと成長させる。そこには、苔が生え、木が育ち、次第に森へと広がっていく。
 九寨溝の神秘的な景観は、悠久の時を経て大自然が育んできた奇跡の産物といえるのだ。

樹正瀑布(じゅせいばくふ)…九寨溝四大瀑布の1つ。小規模ながらも、樹林の中を水量豊富に流れ落ちる様は大変美しい。

樹正瀑布(じゅせいばくふ)…九寨溝四大瀑布の1つ。小規模ながらも、樹林の中を水量豊富に流れ落ちる様は大変美しい。

樹正群海(じゅせいぐんかい)…樹正瀑布の流れを引き継いだ、大小19の湖が棚田状に連なる湖沼群。秋になると、紅葉と湖水のコントラストが非常に美しい。

樹正群海(じゅせいぐんかい)…樹正瀑布の流れを引き継いだ、大小19の湖が棚田状に連なる湖沼群。秋になると、紅葉と湖水のコントラストが非常に美しい。


無題

文・写真|花村謙太朗

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