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優雅な無駄を満喫する船の旅 アテネ~ベネチア アドリア海を巡る

優雅な無駄を満喫する船の旅 アテネ~ベネチア アドリア海を巡る

 移動の手段としてのみ考えれば船の旅はおよそ非効率だ。船で1週間進む行程は鉄道ならば数日、飛行機ならばわずか数時間で目的地へと到着できる。だがそんな無駄――いやここはそれを“ゆとり”と表現しよう――があるからこそ船が良い。分刻みで観光スポットを巡る、あるいはガイドブックの内容を確認する。そんな観光名所を収集するような旅から自身を解放し、流れる時間を気ままに楽しむ旅ができるかもしれない。
 選んだ航路はアテネを出航しベネチアを最終目的地とする1週間のクルーズだ。アテネの港街ピレウスを出航したクルーズ船はエーゲ海をぐるりと時計回りにギリシャ近海を周航し、アドリア海を北上して水の都を目指す。
 客室に備えられたベランダデッキから徐々に遠くなっていくアテネの街並を眺める。公園の親子連れ、2人の子どもが船に向かって大きく手を振っている。彼らに手を振り返していったん部屋に戻り、ウェルカムドリンクのシャンパンを片手にもう一度デッキに出てみる。あの親子連れがいた公園は後方に離れ、目を凝らして探してみても子どもたちの姿はもう確認できない。数室先のデッキには黒いキャップを被った紳士が同じように離れゆく景色を眺めている。目が合ったので軽くグラスを掲げて乾杯。

(上段左から)ギリシャ近海を進むクルーズ船。波は穏やかで揺れはほとんど感じない/プールサイドデッキでドリンク、あるいは読書、さらには室内から流れゆく風景を眺めるなど、ゲストはそれぞれ思い思いのゆっくりとした時間を過ごす


文・写真:佐藤 久

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