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異文化を受容して繁栄する都市 ドバイ

異文化を受容して繁栄する都市 ドバイ

 世界一の高さを誇るバージュ・カリファ、ホテルや別荘地が並ぶヤシの木型の人工島パーム・ジュメイラ、世界最大規模のショッピングモール、ザ・ドバイ・モールなど、「何だかすごいもの」を次々生み出す不思議な都市、ドバイ。人口の8割を占める外国人とエミラティ(ローカル)と呼ばれる2割の自国民が共存共栄している。ペルシャ湾に面した平坦な砂漠地帯にあり、中東地域のちょうど真ん中に位置する。埼玉県ほどの面積を持つ細長い土地に約200万人が居住する都市であり、アラブ首長国連邦(UAE)を形成する7つの首長国のうち、首都アブダビに次ぐ規模を持つ。
 全身を覆い隠す民族衣装を身にまとったエミラティは、日に5回の祈りを欠かさず、アルコールを口にせず、結婚式を男女(新郎新婦とも)別会場で行う敬虔なイスラム教徒だ。外国人は軽装で街を歩き、アルコール提供の許可を受けたホテルのレストランなどでワインを楽しむ。街のあらゆる場所でTシャツ姿と民族衣装姿の人々がごく普通に食事を共にし、会話を交わす。一目でそれと分かる足首までの真っ白な民族衣装を身にまとうローカル男性たちには、自分たちがこの国を支えていくのだという誇りと風格が感じられるのが印象的だ。そして肌と髪を覆い隠す黒い衣装を身に付けた女性のローカルたちの顔は、人形のように可愛らしく、美しい。

「世界中から人を呼び、多くの人がドバイで経済活動を行うことで自国の利益を生み出す。」これがドバイの基本方針だ。エミレーツ航空が1985年に2機で営業を開始し、世界各地へ就航を拡大してきたのもそのためだ。国民の異文化受容性が高いせいか、ある都市に就航するとその地の料理や音楽などがドバイで流行する。ドバイ国際空港には24時間ひっきりなしに航空機が離着陸し、巨大ターミナル内の免税店は昼夜を問わずラッシュ時のような賑わいを見せる。出発ゲート前にずらりと並ぶリクライニングチェアで目を閉じる人も多い。ドバイを最終目的地とする人だけでなく、ヨーロッパやアフリカ各地に向かう経由客を吸収している。
 真珠漁、漁業、貿易を主要産業とする静かな町だったが、1966年の石油の発見以降、急激な経済成長を遂げたドバイ。しかし首長はそれほど多くない石油埋蔵量を鑑み、石油依存型でない経済基盤を目指した。イギリスのシティを手本にした金融産業を確立し、港や空港を整備して経済特区を設置して仲介貿易のハブ地としての基盤を築き、他国で集客に成功した分野での「世界一のすごいもの」を次々誕生させて、世界から人とビジネスを呼び込んでいるのだ。

 世界一高いバージュ・カリファを背景に繰り広げられる「世界最大規模の」噴水ショーには週末ともなれば身動きできないほどの人が押し寄せ、時間ごとに人数を制限した展望台へのチケットがすぐに売り切れる。空からは、ヤシの木型の人工島を自らの目で見ようとスカイダイバーが次々と落ちてくる。ラグジュアリーホテルはいずれも高稼働率を誇り、近年はロシアからの観光客が急増している。巨大ショッピングモールに入居する高級ブランド店では定期的にセールが行われる。現地企業が51%以上の資本を保有するために可能となる、世界で最もお得なショッピングを目的に、夏冬のセールシーズンを狙ってドバイを訪れる人も多い。
 日本とまったく異なる文化を持つ中東諸国。「アラブの春」以降、日本でも頻繁にニュースを目にするようになったが、原油輸入などの経済関係を除いて一般的には身近な存在ではないかもしれない。ドバイは伝統文化を残しながら国際性豊かに発展してきた、というよりも、国際性豊かになることで発展してきた、特異な(首長)国である。外国人ビジネス客だけでなく観光客にもフレンドリーな稀有な中東の国、それがドバイなのかもしれない。



アラブ首長国連邦(UAE)

首都:アブダビ 面積:83,600平方キロメートル 人口:751万人(2010年世界銀行) 宗教:イスラム教 言語:アラビア語 通貨:ディルハム(1AED=21.6円 6月12日現在) GDP:2,976億ドル(2010年世界銀行) 実質GDP成長率:1.0%(2010年世界銀行)

(ドバイ)
面積:3,885平方キロメートル 人口:202万人(2012年3月) アクセス:成田空港、関西国際空港から直行便で10~11時間 日本との時差:マイナス5時間
ドバイ政府観光・商務局
www.myfavoritedubai.com/

文・写真:羽田祥子(編集部)

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