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ボルネオ島 コタキナバル~オランウータンの故郷

ボルネオ島 コタキナバル~オランウータンの故郷

オランウータンやテングザル、世界最大の花フラレシアなど、固有の動植物を育むボルネオ島。
東南アジア最高峰キナバル山や透明度の高い海、湿地帯や熱帯雨林などの大自然が多くの観光客を呼び寄せる。
マレーシアで日本から最も近い都市であるコタキナバルは、ボルネオ島の玄関口だ。

固有の生態系を育む大自然

ロッカウィ動物園で人気を集めるショーに登場する色鮮やかな鳥。観客とオランウータンのココナツ皮むき競争などのプログラムも

ロッカウィ動物園で人気を集めるショーに登場する色鮮やかな鳥。観客とオランウータンのココナツ皮むき競争などのプログラムも

 世界で3番目に大きな島、ボルネオ島。インドネシア語でカリマンタン島と呼ばれるこの島は、マレーシア、ブルネイ、インドネシアの3つの国に分かれている。
 広大な熱帯雨林が希少な動植物を数多く育む。マングローブが生い茂る湿地帯、東南アジア最高峰のキナバル山、透明度の高い美しい海など、多彩な大自然が世界から観光客を呼び寄せる。また近年は良質な石炭の採掘地として経済的にも重要な意味を持つ。
 ボルネオ島の北西部に位置するコタキナバルは人口47万人を有する。首都クアラルンプールから空路2時間半、羽田空港からの直行便なら5時間半。日本から最も近いマレーシアであり、ボルネオ島の玄関口にもなっている。

オランウータンの故郷

 オランウータンはマレー語で「森の人」を意味し、ボルネオ島とスマトラ島にのみ生息する希少動物だ。近年、ジャングルの減少と密猟により野生のオランウータンの数が激減している。
 セピロック・オランウータン・リハビリテーションセンターでは、密猟や生き別れなどで親を失ったオランウータンを育て、野生に戻す活動を行っている。ミルクや果物を与え、遊ばせる。成長すると、人間がえさを森の中に置き、オランウータンが木やロープを伝って取りに行くという訓練を重ね、徐々に置き場所を変えることで自力でえさを探す力を養う。すべての訓練が終わるとヘリコプターで山に運び、森に放す。ひとり立ちさせるまで7年から10年程度かかるという。
 雄大な夕日を望むパンタイ ダリット ビーチに面したシャングリ・ラ ラサリアリゾートに隣接する熱帯雨林もオランウータン保護区に指定されている。セピロックの施設同様、保護され育てられているオランウータンが自立の訓練を受けており、こちらも見学可能だ。生まれて数カ月の幼いオランウータンが職員の手を借りて人間の目の高さほどのロープにつかまる様子や、3歳と7歳のオランウータンが遠くから木を伝ってやってきて、所定の場所に置かれたえさを食べ、高い木の上を行ったり来たりしながら自由に遊ぶ様子など、段階に応じた訓練の様子を公開している。

「地球にやさしい」油

 高速道路沿いなどでヤシの木が一定の面積にぎっしり植えられているのを多く見かける。大きな茶色いココナツを実らせるココヤシではなく、パーム油の原料となる小さな赤い実をぎっしりつけるオイルパーム(アブラヤシ)である。マレーシアでは昔から住民が庭先で栽培したココナツからヤシ油を採取してきたが、オイルパームは大規模プランテーションで栽培される。油脂の中で最も安く、単位面積当たりの収穫量が多く、酸化しにくく、再生産が可能な油であり、温暖化ガスを排出せず地球にやさしい、などあらゆる好条件から、食用のほか、洗剤やバイオ燃料の原料として急速に需要が高まった。その約6割がマレーシアで生産されている。そしてコタキナバルを州都とするサバ州にはシンガポールの面積の20倍に相当するオイルパームのプランテーションがあり、マレーシア最大のオイルパーム生産地となっている。オイルパームは海抜500メートル以下の低地にのみ育つため、低地の熱帯雨林が次々とプランテーションに変わった。熱帯雨林はまた、材木出荷用の産業用樹木のプランテーションへも転換された。
 その結果、生物多様性が極度に失われ、オランウータンの住処が奪われた。面積の減少だけではない。広大だったジャングルがプランテーションによって分断されたために、広範囲を移動しながら生活するオランウータンの導線も断ち切られた。ボルネオ島固有の生物であるボルネオ象も熱帯雨林と湿地帯を広範囲で移動しながら生きている。その個体数もオランウータンと同じ理由で大きく減少している。
 サバ州は本格的な保護に動き出した。熱帯雨林のプランテーションへの転換に一定の制限を設け、保護林を指定し、各地で植林を行っている。セピロックなどオランウータン保護施設の運営も活動の一環だ。ボルネオ象の保護のための生態調査も始まっている。

マングローブの林に生息する
テングザル

マングローブなどが生い茂る湿地帯。ボートに乗ってテングザルやホタルなどを探す

マングローブなどが生い茂る湿地帯。ボートに乗ってテングザルやホタルなどを探す

 マングローブ林の保護区となっているクリアス・ウェットランドでは、ボルネオ島の熱帯雨林にだけ生息するテングザルを見ることができる。現地旅行代理店などがウェットランド・クルーズとしてツアーを催行している。コタキナバル市街から車を走らせること2~3時間、オイルパームのプランテーションや民家を眺めながら、かなり悪路のドライブとなる。クリアス村に到着すると、ボートに乗って川の両岸に生息するテングザルの群れを探す。天狗の名の通り鼻が長く、おなかが中年男性のようにでっぷりと膨らんでいる独特の姿がユーモラスだ。テングザルは川辺の木を寝場所にするため、夕暮れの時間が最も見つけやすい。昼間は川から離れて森の奥に移動してしまうのだ。
 他にもシルバーリーフモンキーやカニクイザル、運が良ければ水中のワニに出会うこともある。辺りが真っ暗になると、大きな懐中電灯で強力な光を発してホタルを呼ぶ。運が良ければクリスマスツリーのようなホタルのイルミネーションが見られる。
 ボルネオ島の動植物を多く集めたロッカウィ動物園は、コタキナバル市街から気軽に足を運べる場所にありながら固有の動植物を一度に見ることができるスポットだ。オランウータンやボルネオ象、マレーグマなどが広い施設に飼育されているほか鮮やかな鳥やオランウータンのショーなども開催されている。


コタキナバル周辺地図

(マレーシア)
国名:マレーシア 面積:329,750km2(日本の約0.9倍) 人口:2,840万人(2010年) 首都:クアラルンプール 民族:マレー系(66%)、中国系(25%)、インド系(8%) 言語:マレーシア語、中国語、タミール語、英語 主要産業:製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(錫、原油、LNG) 実質GDP(億ドル):552(2000年)、701(2005年)、1,738(2010年) 通貨:リンギット(約27.1円 2012年3月9日現在) 在留邦人数:9,705人(2010年10月現在)

(ボルネオ島)
面積:725,500km2(日本の約1.9倍) 人口:約1,750万人(インドネシア領、マレーシア領、ブルネイ・ダルサラーム国の合計)

文|羽田祥子(編集部)

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