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上流階級がこよなく愛した大自然 イギリス湖水地方 ウィンダミア

上流階級がこよなく愛した大自然 イギリス湖水地方 ウィンダミア

イングランド北西部に位置する湖水地方は、緑豊かな低い山が連なり、大小500以上の湖や池が点在する、イングランド最大の国立公園だ。息をのむほど美しい自然が国内外の人々を魅了し続けている。

ナショナル・トラスト発祥の地

オレストヘッドの丘。雲の切れ間から差し込む光で表情が変わる景色をのんびり眺める。放牧された羊が草を食べ尽くした箇所が茶色い

オレストヘッドの丘。雲の切れ間から差し込む光で表情が変わる景色をのんびり眺める。放牧された羊が草を食べ尽くした箇所が茶色い

 ロンドンから列車で約3時間、オクセンホルム駅から単線のローカル線に乗り換えて約20分、終着駅ウィンダミア駅が湖水地方の玄関口だ。ウィンダミア湖をはじめ大小500以上の湖が点在する広大な国立公園内にこの先の列車のアクセスはない。
 産業革命によって世界最大の経済力をもったイギリスは全土に鉄道網を敷き、18世紀後半以降、深刻な自然破壊が進んでいた。1844年に湖水地方での鉄道開発が計画された時、真っ先に反対したのは、この地に生まれた詩人ウィリアム・ワーズワースだった。反対運動はその教え子らへ引き継がれ、1895年には、歴史的遺産と自然環境の維持を図ることを目的とする市民団体ナショナル・トラストが誕生する。公害に汚染された都市で生活する人々が、自然景観を楽しみ、心を癒やすことができるよう、自然環境を共有財産として保護することを提唱したのだ。

湖水地方ジャパンフォーラム会長コリン・フォックス氏。「過去の偉人たちが守ってきた美しい自然景観をぜひ見に来てください」

湖水地方ジャパンフォーラム会長コリン・フォックス氏。「過去の偉人たちが守ってきた美しい自然景観をぜひ見に来てください」

 1902年に出版されたピーターラビットの絵本などに湖水地方の抒情的風景を数多く描いたビアトリクス・ポターは1943年にこの世を去った。ポターが印税により取得した広大な土地は、その遺志によりナショナル・トラストに寄付され、保護されている。ポターが生前暮らした農園「ヒルトップ」には、ポターが描いた絵本の世界がそのまま残されており、観光客が訪れる。趣旨に賛同した多くの人が寄付を重ね、現在では国立公園の敷地面積の4分の1がナショナル・トラストの保有地だ。現在ナショナル・トラストには約400万人の会員がおり、イギリス全土でさまざまな保護活動を行っている。


イギリス湖水地方 ウィンダミア(イギリス)
国名:グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国 面積:24万4000平方キロ 人口:6221万人(2010年) 首都:ロンドン
(カンブリア州)
湖水地方国立公園を含むイングランド北西部に位置する州 面積:6768k㎡ 人口:49万人(2006年)アクセス:東京-ロンドン 飛行機で約12時間半。ロンドン-オクセンホルム-ウィンダミア 列車で約3時間半。あるいはマンチェスター国際空港-ウィンダミア駅 列車で約2時間

文|中田重昭 羽田祥子(編集部)
写真|中田重昭(編集部)湖水地方ジャパンフォーラム
協力|湖水地方ジャパンフォーラム

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